最近読んだ本。
『沖縄からの本土爆撃~米軍出撃基地の誕生』
(林博史、吉川弘文館、2018年)
米軍の沖縄戦そのものが、
日本本土進攻のために出撃基地確保という目的をもっていた。
4月1日の上陸後、すぐさま滑走路の接収・整備・拡張が行われ、
沖縄戦の真っ最中、すでに南九州や奄美諸島などへの爆撃が
頻繁に行われていた。
そして次第に民間人への無差別爆撃へと変貌していく。
知らなかったことばかり。1つ1つの爆撃を丹念に追求。
記録と記憶の歴史空白を埋めるこうした研究はきわめて貴重。
「沖縄に建設された基地―本書で扱ったのは飛行場であるが、
その後方支援施設も含めて―は、人々を殺傷し生活を破壊する
ための出撃基地であった。米軍はそうした非人道的な殺傷行為
を正当化し、今日にいたるまでなんらの反省もしていない。
反省しない者は同じことを繰り返す。その後も朝鮮戦争の際に
嘉手納基地は、東京の横田基地とともに朝鮮半島へのB29に
よる無差別爆撃の出撃基地となったし、ベトナム戦争の際には
B52によるベトナムへの無差別爆撃の出撃基地になった。
…今日でも中東方面など世界各地への米軍による侵略と軍事介入
の出撃・中継拠点であり続けている。沖縄の米軍基地が日本の
人々を、まして沖縄の人々を守るための存在だったことなど
一度でもあっただろうか」「戦時中の報道などを見ると、爆撃
した米軍機が沖縄からやってきたことを記しているものが思い
のほか多かった。しかし今日、そのことが空襲を調べてきた
一部の市民や研究者を除くとほとんど日本人の『記憶』からは
消え去っているように思われる。沖縄の米軍があれほどの
非人道的な犯罪行為をおこなっていたことは、今日の日米軍事
同盟を盲目的に信奉し、沖縄の米軍が日本を守ってくれていると
信じたい日本人にとっては消し去りたい『記憶』、というよりは
抹殺したい歴史だからかもしれない」(226~227P)