長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『問いかける技術』メモ

『問いかける技術~確かな人間関係と優れた組織をつくる』
(エドガー・H・シャイン、原賀真紀子訳、金井壽宏監訳、英治出版、2014年)
を読み終える。

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関係構築・チーム構築における「謙虚に問いかける」姿勢の
価値と役割、という視点で読む。
これも、これまでの実践を整理するよい学びになった。

以下、自分用のメモ。

「社会学的に見ると、質問せずに一方的に話すことは、相手を上から見下ろすような格好になるのだ。つまり、『あなたはこのことを知っているべきですが、まだご存じないでしょうから教えてあげましょう』というのを言外に示唆しているに等しい」(30P)

「一方で、質問するという行為は会話の相手に力を与えると同時に、一時的に私を弱い立場に置くことになる。私が知りたかったこと、あるいは知る必要があることについて、相手はなんらかの情報を持っているのだということが示唆されるからだ。つまり、その人が会話の方向付けをおこなうことになる」(31P)

「質問したからこそ教えてもらえたという連鎖的な流れを繰り返すことによって、相手との関係が発展し始める」(32P)

「私が本書で語ろうとしている『問いかける』という行為は、相手に対して興味や好奇心を抱くという態度から導かれるものなのだ。そこには、もっと率直に語り合えるような関係を築きたいと願う気持ちが含まれている」(49P)

「『謙虚に問いかける』を実践することの究極的な目的は、信頼し合える人間関係の構築なのだ」(54P)

「実例があるので紹介しよう。ディジタル・イクイップメント社の創業者であるケン・オルセン氏が社員と接するときの聞き方だ。彼はよく社内を歩き回っては技術者の席で立ち止まり、『今、君はどんな仕事に取り組んでいるの』と話しかけていた。口先だけでなく、ほんとうに興味を持って聞くので会話は長く続き、技術的な話だけでなく個人的な話もできて、それはとても充実した時間だったという。…彼から謙虚に問いかけられることを、大勢の社員が体験していた」(85~86P)

「一つはっきりと言えるのは、謙虚な姿勢で尋ねようとしているときは先入観をできるだけ排除し、頭のなかをすっきりとさせて会話を始め、相手との話が進むにつれて自分はなるべく聞くことに専念するように心がけよ、ということだ。実のところ、あなたが興味を持ってくれているかどうかを相手が判断する最大の決め手は、どんな質問をされたかというだけではない。どれくらい熱心に聞いてくれたかというのも決め手になるのだ。会話が続いていくと、なぜあなたがその人に関心を持ったのか、どのような姿勢でいるのかということが、その先々のあなたの質問から透けて見えるようになる」(87P)

「あなたがそれに取り組む姿勢こそが大事なのであって、『こういう場合はこうやればよい』という定石は存在しない」(128P)

「へりくだった言い方でメンバーにこう聞いてみるといい。これからずっと互いに助け合えるチームになるために、なにを変えたらいいだろうか』」(201~202P)

「リーダーであるあなたは、『今ここで必要な謙虚さ』というスタンスをみずから手本として示さなければならない。そうすることによって、実際の職場で自分がやると決めたこと、やろうとしていることについて、メンバーが勇気を出してあなたに率直な意見を伝えることができるように、その環境を整えてあげるのだ」(204P)