最近読み終えた本。10月は忙しくて読書すすまず。
でも貴重な本にたくさん出会いしました☆
■『愛の労働あるいは依存とケアの正義論〔新装版〕』
(エヴァ・フェダー・キティ著、岡野八代・牟田和恵=監訳、白澤社、2023年)
ケアする人は、ケアを引き受けるがゆえに、ハンデを負いがちで、
経済的に他者に依存せざるを得ない。フェミニズムではそれを、
「二次的依存」と呼ぶ。平等概念を依存という視座から検討しなおす。
■『従属の代償 日米軍事一体化の真実』
(布施祐仁、講談社現代新書、2024年9月)
憲法9条「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」との著しい乖離。
それを作り出した対米従属政治。いま転換しなければ、米中の
軍事衝突に巻き込まれ、核戦争の危機まで…。リアルな現実を知る必読書。
■『アンペイド・ワークとは何か』
(川崎賢子・中村陽一編、藤原書店、2000年)
強い社会構造のなかで女性に偏っている無償労働(アンペイドワーク)。
それを把握し、解明してきた歴史を学べる。空気のように欠かせないが
見えないもの。それを目に見えるようにし、議論の俎上に載せた。
■『みちづれはいても、ひとり』(寺地はるな、光文社文庫、2020年)を
同年代で、隣人だった女性2人が、あるきっかけで遠くの島へ旅に出る。
読みやすかったけど、自分好みの小説ではなかったかな…。
■『「叱らない」が子どもを苦しめる』
(薮下遊/髙坂康雅、ちくまプリマー新書、2024年2月)
スクールカウンセラーである薮下さんの関わりをベースに、
環境への不適応や問題の「しくみ」を考察。
成長に不可欠な「世界からの押し返し」や、子どもの「不快」を
回避する社会など、学び多し。
■『野の医者は笑う〜心の治療とは何か?』(東畑開人、文春文庫、2023年)
これを文庫版で読めて良かった。文庫版のまえがき、あとがき、
そして本書は、東畑本に学び、親しんできた身からすると、
「つながる」感覚があった。最高。東畑さんの本をまた読み返したくなった。
たぶんする。
■『日ソ戦争—帝国日本最後の戦い』(麻田雅文、中公新書、2024年4月)
第2次世界大戦最後の全面戦争である、日ソ戦争。満州、朝鮮半島、
南樺太、千島列島で行われた戦いを概観する。
ほんと、この戦争についてはほとんど知られていない。
でも現在の日露関係にもつながっている重要な歴史。
■『死にたい気持ちに触れるということ
ーソーシャルワーカーが見ている景色』(加藤雅江、大月書店、2024年10月)
著者が、悩み苦しみながら仕事をしてきた経験が、言葉や姿勢、
人間観にあらわれている。「死にたい」ほどの苦しみに
寄り添うことの難しさ。でもともに生きようと呼びかける。