この連休で読みえた本。
■『積ん読の本』(石井千湖、主婦と生活社、2024年10月)
帯の「この山を見よ」がイイ。
ちなみに、読んでない本を意味する「積ん読」という言葉は、
英語にもフランス語にもスペイン語にもないらしい笑。
読むこと、本という世界の意味を広げてくれる、
積ん読名人12人へのインタビュー集。
それぞれの読書観や読書法、本棚整理法の違いも楽しめる。
書店主の辻山良夫雄さんの言葉に共感した。
「本は書いた人の世界がパッケージになったもの。本が
ここにあるということは<自分じゃない人の世界がここにある>
ということだと思います」
「自分の本棚を作ることは、読むかどうかは関係なく、
自分の宇宙を広げるような感覚がある」
「自分の体と本棚はどこかつながっている」
■『研究者、生活を語る―「両立」の舞台裏』
(岩波書店編集部、岩波書店、2024年10月)
帯にもあるように「働きながら、ケアをしながら、生きていく
―キレイゴトじゃない、27人の記録」。
苦闘、苦悩、葛藤。ケア負担を背負うことで研究時間は削られる…。
ケアはつらい、でも楽しいところも喜びもある(とくに子育てでは)。
さすが研究者のみなさんで、自身の体験の言語化がシャープだなと。
共感するところ、考えさせられるエピソードも多く、おすすめ。
全体の解説にあたる、山根純佳さん(専門は社会学)への
インタビューも良い。以下自分用のメモ。
「ケアというのは、ご飯を食べさせたり寝かしつけたり
という身体的な労働であるだけではなくて、『考えること』を
要求する営みでもあります。ケアされる本人を観察しつつ、
社会で何が求められているかを考えつつ、かつ、どんな資源
(お金、時間、人手)が利用可能かを考えつつ、望ましい状態
(what)と、実現させるための方法(how)を、日々考え続け
ているのです」
「ケアというのは実はすごく複雑な営みですが、こういう
複雑なことを1人だけでやっていると、他のメンバーはそれに
参加できなくなっていきます。ケアされる本人を観察する能力も、
本人と会話する能力もなくなっていき、育児なら、子どもが
何を大事にしているのか、学校で何が求められているのかも
わからない。つまりケアラーとして『非熟練』になっていきます。
…(略)こうして、ある種のスキルが母親に集積していくと、
他の人(主に父親)はケアに関われなくなります」
「決断する責任やニーズを満たす労力を1人がすべて負うのではなく、
パートナーを含め、複数の大人が共有してくれれば、心身ともに
負担は大きく減る」
「介護は本当に不可視化されている。育児と、介護とを一緒
にはできないなと思います。同じ『ケア』って言わないほうが
いいんじゃないか、と思うほどです」
■『被爆者からあなたにーいま伝えたいこと』
(日本原水爆被害者団体協議会編、岩波ブックレット、2021年)
先日ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の歴史が簡潔に
まとまっていている良書。人間を押しつぶす圧倒的な核の力に抗い、
再び被爆者をつくらないという生き方に何度も胸熱くなる。
来年1月ぐらいに、被爆者のたたかいの歴史を学ぶ
オンライン学習会を企画したいなと思っている。
以前にもしたことあるけど、さらに学習してやりたい。