長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

朝井まかて3冊、同志少女、ハラスメント、続・日本軍兵士

最近読み終えた本。
朝井まかてさん時代小説は、今年に入って4冊読んだ。
でもとりあえずこれで打ち止め。次いこ、次。

■『ぬけまいる』(朝井まかて、講談社文庫、2014年)
3人の幼なじみが、それぞれ人生の苦悩を抱えながら、
江戸を出て伊勢参りの旅に出るというお話。
キャラクター設定もよくて、楽しく読めた。
こんなゆったりとした旅をしてみたいものである。

■『先生のお庭番』(朝井まかて、徳間文庫、2014年)
これは江戸後期、長崎の出島が舞台。シーボルトの薬草園を
造る依頼を受けた若い植木職人が主人公。とても面白い。
シーボルトのこともわかるし、日本の草花や四季の美しさの描写が嬉しい。

■『草々不一』(朝井まかて、講談社文庫、2021年)
これは短編集。それぞれ設定がユニーク。
表題の「草々不一」は、妻の遺言書を自分で読みたくて文字(漢字)を
習う武士の話で、しんみり良い物語だった。

■『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬、ハヤカワ文庫、2024年)
ちょっとすごすぎて放心。第二次世界大戦における独ソ戦が舞台に。
ソ連の女性狙撃兵となった少女が相対した戦場と戦闘、
人間の狂気と感情、信念、愛情などもうよくこれだけ描けるなという筆力。
何度も読み返したい傑作だ。

■『「ハラスメント」の解剖図鑑』(宮本剛志、誠文堂新光社、2024年)
〇〇ハラスメントと細分化しすぎるのには疑問があるけど、
職場でこんなことがあるんだなあという事例については
多く知ることができる。共通して感じるのは、
ケア的姿勢やコミュニケーションが足りてないということ。

■『続・日本軍兵士—帝国陸海軍の現実』
          (吉田裕、中公新書、2025年1月)
前著『日本軍兵士』からもう7年たつのか…。
戦闘ではなく、戦病死による死者が6割となったアジア・太平洋戦争。
「正面装備」以外の軽視、無理ある軍拡、脆弱な兵站。
兵士の健康や命を軽視する日本軍の実相、第2弾。