長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

孤高の人、頼る、ケアと編集、花の、星の

最近読み終えた本。

■『孤高の人(上)』(新田次郎、新潮文庫、1973年)
初版から50年以上、ぼくが読んだのが今年2月の90刷…。
超ロングセラーの山岳小説。昭和初期に社会人登山家として
誰もやったこのない道を開拓した“単独行の加藤文太郎”を描く前編。
加藤の出発点となった
神戸の六甲山系に行きたくなった(まだ登ったことない)。

■『孤高の人(下)』(新田次郎、新潮文庫、1973年)
面白かったし、加藤文太郎がすごい登山家だったというのもわかる。
わかるけれども、結婚したばかりで小さな子どもがいるなか、
死の危険がある冬山に行くのは、
どうしても納得がいかない…(結果31歳で亡くなる)。
たとえどんな理由があったとしても…。だから読後感が最悪(苦笑)。

■『頼るのがうまい人がやっていること』
            (有川真由美、秀和システム、2025年5月)
頼ること=弱さや甘えなどと捉えられる社会のなかで、
1人で抱え込み孤独になっていく…。でも、頼ることで人間関係が強化され、
自分も相手も元気になる。頼ることもスキル。
具体的なアドバイスがたくさん。

■『ケアと編集』(白石正明、岩波新書、2025年4月)
医学書院<ケアをひらく>シリーズの編集者の本。
このシリーズは学ぶことが本当に多くて10冊ぐらいは読んでいるはず。
「今の世の中の基本的な価値観と逆のことをやっている」ケア。
編集は似ているところがあると著者。興味深く読んだ。

■『花のたましい』(朱川湊人、文藝春秋、2025年3月)
映画「花まんま」を観たあと、友人に教えてもらった、
サイドストーリー本(原作は未読)。
4本の短編集で、映画に出てきた登場人物を思い出しながら読めました。
人と人とのつながり、1度きりの人生の尊さを感じる。

■『星の教室』(髙田郁、角川春樹事務所、2025年2月)
『みをつくし料理帖』『あきない世傳 金と銀』の髙田郁さんが、
夜間中学校を舞台にした小説を! 先日本屋で見つけて即買い。
最初からウルウルしながら読みすすめ、最後までウルウル。
あとがき読み、髙田郁さん自身が作中に登場する用瀬さんの
ような取材をされたんだなあと感銘を受けた。
大阪が舞台というのも髙田小説らしい。超おすすめ。