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長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

茨城セミナー講義概要(4)

ブログ連載

学習運動の具体的形態
 
では基礎理論をどうやって学んでもらうか。学習教育運動は、
半世紀以上の歴史のなかで、学習運動の具体的形態をつくり
あげてきました。そしてこれからも磨き続けていかなくては
なりません。大事なことは、いずれの形態にしても、集団学習
との結合を重視している、ということです。
 『学習の友』は、学習教育運動のベースになる雑誌です。
ほかの雑誌にはない、なによりの特徴は、職場や活動のなかで
「使われる」ことを想定し、集団学習用に編集されていること
です。連載記事の最後についている「考えてみよう」や、1つ
の記事が長すぎず読み合わせにピッタリというのも『友』なら
ではです。たとえば執行委員会最初の20分でひとつ記事を
読み合わせて感想交流する、なんてこともできる雑誌です。
わかりやすさも追求していますので、使い勝手のいい雑誌だと
思います。
 勤労者通信大学は、「基礎コース」「憲法コース」「労働
組合コース」の3つからなっていますが、どのコースもそも
そも論を深め、基礎的理論を系統的に学べる通信制の学習制度
です。独習が基本ですが、可能なかぎり集団学習を組織して、
感想を交流、疑問も出し合いながら学習をすすめていくことを
推奨しています。
 労働学校は、都道府県学習協が独自に主催するもので、内
容にもそれぞれの特色があります。おおまかには、継続的で
連続的な学習機会とともに、グループ討論、交流企画もある
ものが多いです。さまざまな職場、年齢の方が地域から集まっ
てきますので、視野もぐっと広がる特徴をもっています。
 ほかにも、講座や学習会、合宿など、その都道府県の力量
や問題意識にあわせてさまざまな取り組みを行っています。
繰り返しますが、基本は基礎理論学習であり、集団学習を
組織する、という点にこの運動の特徴があります。

青年の育つ環境が乏しい
 
学習活動は、青年のもつエネルギーを豊かに引き出します。
よく、「青年は学習といってもなかなかこない」という意見
があります。青年のなかに学習を入れるのは難しいのでしょ
うか。たしかに簡単ではありません。でもなぜでしょうか。
彼ら彼女らに責任があるのでしょうか。
 冒頭の「育つ主体と環境」の話を思い出してください。彼
らには育つ力があります。ただ、あまりに環境が乏しいので
す。主権者教育、労働者教育、民主主義的体験を、学校教育
の中で保障しきれていません。育つ土壌を準備してあげられ
ていない側の責任ではないでしょうか。また、家庭で、学校で、
地域で、職場で、どれだけの大人が「たたかう姿」「学ぶ姿」
「政治に参画する姿」を見せ、語りかけているでしょうか。
きっかけが少ないのです。
 現代の生活はとても多忙になっています。職場も多忙です。
そんななかで、文化・娯楽は山のようにあります。映像文化
も無限にあります。そんななかで、「学習」に自分の労力と
時間をさくというのは、考えてみればそんなに簡単ではない
のは当たり前です。だからこそ「魅力」が必要なのだと思い
ます。ほかのものに負けないような魅力です。私は、基礎理
論学習には、その力があると思います。私たちの生き方や視
野が豊かになる学びだからです。だから自信をもって働きか
けましょう。

継続的な育ちあう場を
 
いま求められる学習運動の課題とはなんでしょうか。いろ
いろあると思いますが、そのひとつは、「学びの集団」をど
う職場や地域につくるか、だと思います。継続的な「育ちあ
う場」を小さな単位でもたくさんつくっていく。これが大事
だと思います。
 目立たない変化を積み重ねる努力をさきほど強調しました
が、その実践です。たとえば、倉敷医療生協労組での実践を
紹介します。2014年に月1回全10回で、「超入門!
ろうどうくみあい講座」というものをやりました。主体は
青年部で、青年部の役員さん中心に呼びかけ、講義50分、
感想交流30ほどの学習会です。多いときは10数人、少な
いときだと3人ぐらい。でも必ず月1回はやります。継続す
れば、勤務があわず毎回は参加できなくても、全体をとおし
ては数回ぐらい参加できる。そもそも論は繰り返しやれば、
必ず活動への自信につながります。
 ある介護福祉士さんは、「長いものには絶対にまかれない
ぞ」という生き方に自信をもて、団体交渉でも堂々と発言し
周囲を驚かせたそうです。ちなみにその介護福祉士さんが翌
年青年部長になりました。また別の参加者は「こんないい学
習会なのに、人が少ないのはもったいない」と感想文で書き
ました。それがきっかけともなり、こうした労働組合のそも
そも論の学習をもっと参加しやすい形でやろうと、今年は
お昼休みの時間を利用して、連続8回の講座を3か所で行っ
ています。学習会に何回も参加した青年は必ず変化します。
そうした場を保障できるかどうかなのです。身近にたくさん
あれば、参加しやすくなります。
 講師の確保がたいへん、という場合は、『学習の友』を
使ってください。読み合わせて感想交流をするだけでも、ず
いぶん違いますし、楽しいと思います。労働者教育協会は
いま拡大月間中ですので、じゃんじゃん活用してもらいたい
と思います。

学びあう運動文化の再構築
 
学びあう運動文化の再構築も必要だと思っています。たと
えば、本や雑誌を紹介しあうということがめっきり減ったの
ではないでしょうか。「この雑誌のこの記事良かったから読
んで感想教えて」「この本おもしろかったよ!」などの交流
があたりまえの雰囲気として運動や組織のなかであればいい
なと思います。さらにネット・SNSも活用して、「学び」
をどんどん情報発信することも大事です。
 学習運動の側も、知的魅力を磨き続ける努力が不可欠です。
わかりやすく魅力的なテキストや教材、労働学校や講座の
カリキュラムももっと工夫する必要があると思います。さら
に学習会スタイルも磨きをかけましょう。講師の話を一方的
に聴いて終わるような学習会は、おもしろくありませんし効果
も限定されます。参加者が主役となる、学びあいや気づきあい
が次々と起こってくるような学習会のあり方を研究・交流する
必要があります。