長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

憲法の心に耳をすます~連載3回目

毎月、山口県の医療生協健文会の機関紙「健康のひろば」に
連載している憲法の話、3回目です。

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 憲法の3つの自己紹介として、97条・98条をみて
きました。今回は3つ目、99条です。

憲法を守って仕事をしなさい!
 
99条は、こういう条文です。
 「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その
他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」
 憲法の尊重擁護義務を負っている人たちが名指しされ
ていますね。天皇と摂政はちょっと脇に置いておいて、
そのほかの名指しされている人たちに共通する特徴とは
なんでしょう。若い人の学習会でこういう質問をしたら、
「給料がいい!」との答えが返ってきました(笑)。間
違いではないかもしれませんが、本質的共通項は「国家
権力を担う人たち」ということです。近代国家は、立法・
行政・司法の三権分立が基本システムです。そこを担う
人たち、国務大臣・国会議員・裁判官・公務員が「憲法
を守って仕事をしなさい!」と命令されているのです。
98条でみたように、この憲法は最高法規なので、権力
を担う人は憲法に反することはできないことになってい
ます。
 権力担当者に憲法を守らせる目的とはなんでしょう。
それは私たちの人権を侵害せず、国民一人ひとりの尊厳
をまもる仕事をすることを国家権力に約束させるためで
す。そう、憲法は、国民と国家権力との「約束事」です。
それを書いている命令書が憲法なのです。これを立憲主
義といいます。

権力が憲法を守らないときは・・・
 
歴史の事実が証明していますが、権力が暴走すれば、
国民の人権はふみにじられます。だから最高法規の憲法
で、権力ができることに「枠」をはめているのです。も
しこの「憲法の枠」をはみ出し、国民の人権をまもるこ
とを権力者が放棄した場合は、国民はその権力担当者を
交替させる権利と義務がある、と述べたのはイギリスの
政治思想家ジョン・ロックでした。
 いま安倍政権は憲法無視の政治を日々拡大させていま
す。主権者である私たちは、「約束違反であり、おかし
い」と、この権力を交替させる責任があるのです。

文化と政治、「死の医学」、逝かない身体

最近読んだ本。


『文化と政治を結んで』(不破哲三、新日本出版社、2016年10月)

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宮本百合子論、本と私の交流史、文学論、
水上勉さんとの交友、宗教者との懇談、
木下順二さんとの対話、益川敏英さんとの素粒子対談…。
政治家であると同時に
これだけの幅広さをもつことの超人ぶり。誰も真似できん。


『「死の医学」への序章』(柳田邦男、新潮文庫、1990年)

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精神科医・西川喜作さんのガン闘病に伴走した著者が、
「死の医学」について考察したもの。
とてもいろいろなことを考えさせられた。
死に直面すると生の質が凝縮されていく。
さっそく西川医師の闘病記となる本も注文した。


『逝かない身体~ALS的日常を生きる』(川口有美子、医学書院、2009年)

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著者の母がALS(筋萎縮性側索硬化症)に。
進行も早く、生活が変わり、
母のケアをめぐり日々揺れ動く気持ち。
人工呼吸器への考察が深まった。
10年ほど前の記録なので、社会資源の変化もあるだろう。