長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『シン・ゴジラ』と『トランボ』を観賞す

このかん、映画2本みました。


『シン・ゴジラ』

f:id:benkaku:20160920100142j:plain

映画としてはなかなか観応えがありました。
政府中枢はじめ関係各所のみなさんのチャキチャキぶりが
テンポよく観れた要因です。
じっさいの政府はどうなんでしょうかね。

自衛隊もまあ抑制的でした。
いちいち「できること」を確認しないといけないのは、
憲法に制約を受けている自衛隊ならではですね。
一糸乱れぬ統率ぶりが完璧すぎたような気もしますが。

でも高江で米軍ヘリパット建設のために重機運ぶ自衛隊はないです。
許しません。

最後のエンドロールに野村萬斎とあって、
「え?!どこに萬斎出てた?見逃した!」と思ったら、
ゴジラの中の人だったんですね・・・。
たしかに萬斎の動きでしたよ(笑)。さすがです。


『トランボ』

f:id:benkaku:20160920100726j:plain

これ傑作でしたね。
第2次世界大戦後、ハリウッドに荒れ狂った赤狩り。
その攻撃対象となった天才脚本家・トランボの
事実にもとづいた物語で、
ふしぶしで胸うたれるシーンがありました。

さすが脚本家というか、攻撃への切り返しも
ユーモアやふてぶてしさがあって面白かったです。
仲間との信頼関係、裏切り。家族との確執や絆もからんで、
見ごたえたっぷりです。

名前を隠しての脚本づくりの期間も長く、
『ローマの休日』の脚本を書いたのがトランボであったことは
当初知られていなかったそうです。
そのあたりの話も描かれていておもしろいです。

「思想は罪に問えない」というトランボの
言葉が印象的でした。そのとおりです。

でも、日本でこういう映画はつくれないですよね、現状。
そこがつらいところです。

『世界の憲法集 第3版』より 「尊厳規定」のメモ

日本国憲法では「個人の尊厳」という言葉は
24条の家族生活における関係性のなかで謳われていて、
あまり目立った位置にありませんが、
他国の憲法なかでは、「尊厳」という概念が人権の
中核的・核心的位置にあることがかいまみれます。

尊厳とは、
その人がその人であることを否定されないこと。
モノや道具として扱われないこと。
人間としての自由や権利を保持していること。
・・・などの多様な意味や説明ができると思います。
単純に言うのは難しいですが。

やはり、「個人(人間)の尊厳」があるからこそ、
「個人は尊重」される、と理解したほうがよさそうな
気がします。
「世界人権宣言」も尊厳という言葉が重要な位置で
何回も出てきます。

ただ日本国憲法をそのまま素直に読むと、人権とは
13条の「個人の尊重」を根本的価値とする、という
説明はまちがっていないし、適切だとも思います。
条文の位置や書き方にもよりますからね。

もちろん当然ですが、以下の各国の
尊厳規定が憲法に盛り込まれている=そうした理念が
その国で実現している、とはかぎりません。
日本国憲法がそうであるように、素晴らしい理念や
価値観を実現するのは、国民の不断の努力がどれだけ
活発に行われているかによります。がんばりましょう。


以下、メモです。

■インド憲法前文
「すべての公民に個人の尊厳と国民国家の統合・保全を
もたらす友愛を促進することを厳粛に決意し」

■スウェーデン憲法2条
「公権力は、すべての人間の平等ならびに個人の自由
および尊厳を尊重して行使しなければならない」

■スペイン憲法10条
人間の尊厳、人間の侵すべからざる生来の権利、人格
の自由な発展、ならびに法および他人の権利の尊重は、
政治的秩序および社会平和の基礎である」

■大韓民国憲法10条
「すべて国民は、人間としての尊厳および価値を有し、
幸福を追求する権利を有する。国家は、個人の有する
不可侵の基本的人権を確認し、これを保障する義務を
負う」

■大韓民国憲法33条
「3.勤労条件の基準は、人間の尊厳性を保障するよう、
法律で定める」

■ドイツ連邦共和国基本法1条
人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および
保護することは、すべての国家権力の義務である」

■フィリピン憲法2条11節
「国はすべての人間の尊厳を価値として認め、人間と
しての権利に最大の敬意が払われることを保障する」

■ベルギー国憲法23条
「何人も、人間の尊厳に値する生活を送る権利を有する」

■ポーランド共和国憲法前文
「第三共和国の福利のためにこの憲法を適用するすべ
ての者に、人の生まれながらの尊厳、自由に対するその
権利および他の者と連帯する義務を保持することに配慮
しつつこれを適用し、これらの原則の尊重をポーランド
共和国の揺るぎない基礎とするように呼びかける」

■ポーランド共和国憲法30条
「人の生まれながらの、奪うことのできない尊厳は、人
および市民の自由と権利の源泉をなす。それは不可侵で
あり、その尊重と保護は公的権力の義務である」

■ロシア連邦憲法7条
「ロシア連邦は、社会国家であり、その政策の目指すと
ころは、人の尊厳ある生存と自由な発達を保障する条件
をつくることである」

■ロシア連邦憲法21条
「1.個人の尊厳は、国家によって保護される。いかなるこ
とも、それを落としめる理由となることができない。2.
何人も、拷問、暴力およびその他の過酷なまたは人間の尊厳
を傷つける待遇または刑罰を受けてはならない(以下略)」