明日は東京で会議です。
勤労者通信大学「入門コース」(2018年度開設予定)の
教科委員会2回目です。
「入門とはなにか」についてそれぞれが議論して
深めるという面白い感じの会議になりそうです。
で、私の問題提起は「わかりやすく伝える、とは」です。
以下その簡単なレジュメ。
1。日頃の「伝える」活動(書いたり、話したり)で大事にしていること
◇根本は「伝えたい」という思いの強さ
「『届く言葉』には発信者の『届かせたい』という切迫がある。
できるだけ多くの人に、できるだけ正確に、自分が言いたいこ
のことを伝えたい。その必死さが言葉を駆動する」
(内田樹『街場の文体論』文春文庫、2016年3月)
*この思いの強さが、「工夫」「模索」「挑戦」「失敗」「反省」
「調査」を生み出す。手法的・技術的なものはそのなかで身につ
いていく(と思う)。技術を習得しようとするのも熱次第。
「これまで努力してきて、ある程度それが実現したと思ってい
るのは、文章をわかりやすくすることである。これは才能とい
うよりも技術の問題だ。技術は学習と伝達が可能なものである」
(本多勝一『日本語の作文技術』朝日文庫、1982年)
◇想定読者(聴講者)のイメージを豊かにもてているか
*どのような人が自分のこの文章を読むだろうか。「あの人が読
んだら」「あの人に読んでもらったら」というイメージを持ち
ながら書く、話す。相手の立場にたつ。
*私は若い人が比較的まわりにいて、若い人との学習会も多いの
で、想定する相手の具体的イメージがわきやすいという有利な
条件をそもそも持っている。
◇自分にしか書けないこと、話せないことは「何か」を知っておく
◇紋切り型に頼ると安心だが読者の感覚と離れる危険が大きい。
つねに緊張関係をもつ。
◇導入部の「視野の低さ」
―「日本の現状は」「情勢は」よりは「生活や仕事の生の感覚」から
◇大量のインプットの努力は大前提
2。入門、ということについて
◇対象の設定をどこに置くか、そのイメージをもつ
◇入りやすい、ということ(引きずり込みたいという強い意志)
「古典のように評価が確定しものや職業上必要なものなら、面
白くなくても我慢して読まれることはある。(略)・・・しかし、
そういった読者との『甘え』の関係に期待できない私たちは、
素手でたちむかわなければならない。読んでいただくためには、
全力を傾注して読者を文章の中へ引きずりこむ必要がある」
(本多勝一、前掲書)
◇橋渡し。次の学びへの問題意識・きっかけの提供。
こんな学びの世界があるという提示。