最近読み終えた本。
『どちらであってもー臨床は反対言葉の群生地』(徳永進、岩波書店、2016年)
一極の言葉で覆って「正しさ」「正解」を
言い切ろうとする風潮にたいする臨床からのアンチテーゼ。
臨床の場にかぎらず、反対言葉入り乱れるのが私たちの日常だし、
それでいいんだ、と気づくことができる。
『最低賃金で1か月暮らしてみました。』
(最低賃金を引き上げる会編、亜紀書房、2009年)
講義の予習。最低賃金額で1か月働いたと仮定し、
その生活水準を体験しようというのが「最賃体験」。
食費だけでなく、交際費や趣味のお金も削ることの精神的キツさ。
最賃の入門書としても良。
『モモ』(ミヒャエル・エンデ作、大島かおり訳、岩波少年文庫、2005年)
じつは初めて読みました。
時間どろぼうによって、人間生活からゆとりが奪われる。
1分でも、1秒でも多く人間の時間を
吸いとろうとする灰色の男たち、これまさに資本。
示唆に富む時間についての物語。名著。
『知の仕事術』(池澤夏樹、インターナショナル新書、2017年1月)
新聞や本の読み方、整理法、書くための準備など、
著者の仕事ぶりをまとめた技術論。
作家だからこその部分が大きい。ぼくともだいぶん違う。
ふつうの労働者にではマネできないところも多い。
参考程度にするのがよい。
『時計の社会史』(角山栄、中公新書、1984年)
おもしろかった。来週の労働学校準備のための1冊。
「時計がつくる知的で抽象的な人工の時間が人びとの
生活とどう関わってきたかを、比較生活社会史的に
考えてみたかった」(あとがき)とあるように、
人びとの時間認識の変化がわかる。
『人類と気候の10万年史』(中川毅、ブルーバックス、2017年2月)
すごい本だった。視野のスケールと論理性。
気の遠くなる作業の積み重ねで得られる法則性。
福井県の水月湖に堆積する「年縞」から過去の気候変動を分析。
想像以上に変動する地球の気候と人類の対応についても。