長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

武藤将胤著『限界を作らない生き方』

『限界を作らない生き方
 ~27歳で難病ALSになった僕が挑戦し続ける理由』
     (武藤将胤、誠文堂新光社、2018年6月)を読み終える。

f:id:benkaku:20180618100051j:plain

クレイジー(すごいという意味で)と呼ばれる
人間になりたかったという、
ひとりの若者が難病のALSになってからのチャレンジを語る。
柔軟な発想と底知れぬエネルギー。
自分の生き方を貫く強い意志と行動力。すごい。

相方がALSとなってから、
ALSの闘病記は10冊近く読んだけど、
間違いなく、本書がいちばん刺激的で、
共感するところが多かった。

武藤くんの歩み、ALSとなってからの苦悩や生活、
そしてこの分野での革新的な取り組みの数々。
ご家族や友人のインタビューもあり、内容豊富。

あらためて感じたのは、
病気になる前の生き方やものの見方が、
罹患後の生き方、目標設定などに強い影響をおよぼすこと。

ALS患者の武藤将胤ではなく、
武藤将胤がALSとなった。
でも、その生き方は変わらないし、
ハンディキャップをさらなる跳躍のバネに
しているということ。

きのうのソワニエ看護専門学校での授業の冒頭、
本書を学生さんに紹介した。
読書紹介は毎週しているが、
「読んでみたい」「自分なら…」
「ALSのこともっと知りたい」などいつにない強い反応があった。

武藤くんが若くて、世代的に近いので、
ALSのことを自分に引き付けて考えてくれた
学生さんが多かったのだろう。
もちろん武藤くんのバイタリティーもあるが。

「障害者のためのツールを見ていると、日常生活の
中の支障を減らせばいいだろう、最低限のことが
できればいいだろう、といった視点で考えられてい
ることが多いのです。疾患や障害のある人は、『と
りあえず日常生活を無事に送れることだけでありが
たい』と思っていなければいけないのでしょうか。
それ以上のこと、好きなことをやることを我慢した
り、表現活動をあきらめたりしなければならないも
のでしょうか。ALSに限らずさまざまなハンディ
を背負った人も、それぞれの制約を超えて『好きな
こと』がもっといろいろできるようになったら、前
向きにイキイキと生きていく意欲をかきたてられる
ようになると思います。僕は、ハンディがある人が
できること、その可能性を拡げたいのです」(38~39P)

武藤くんのスピリットが凝縮している言葉だ。
彼は、ほんとうに信じられないスピードで、
多くの人を巻き込みながら、
この可能性を拡げるチャレンジをし続けている。

たくさんの人に、読んでもらいたい1冊。

【本書の構成は以下】
1。制約が僕を進化させてくれる
2。自由にどこにでも行くことをあきらめない
3。障害者も健常者も、男性も女性も、
 すべての人が快適にカッコよく着られる洋服を
4。人生に限界なんてない!
 人とつながり続けるために僕がやっていること
5。『好き』を人生の推進力にする方法
6。未来のために、今できることをやり続けよう