『百花』(川村元気、文春文庫、2021年)
物語の軸は認知症なんだけど、シングルマザーの
母と息子の関係がちょっと変わっていて、その謎も後半明らかになる。
特別な起伏もなく暖かい雰囲気で、やわらかい気持ちで読めた。
映画化もされているようだけど、小説で十分満足した。
『わたしたち』(落合恵子、河出書房新社、2022年)
落合さんの小説読むのは初めて。最初はやや入っていきずらかったけど、
中盤以降は一気に。やや説明過剰のプロレタリア文学みたいでしたが(笑)、
落合さんの伝えたいことが、
戦後を生きた4人の女性たちの物語から伝わってきました。
『この国の戦争〜太平洋戦争をどう読むか』
(奥泉光・加藤陽子、河出新書、2022年)
作家の奥泉さんと、日本近現代史研究者の加藤さんが、
対話形式で太平洋戦争をめぐる様々な「なぜ?」を紐解いていく。
単純な「物語」に回収されそうな歴史認識を批判的に更新していく。
勉強になった!
『手の倫理』(伊藤亜紗、講談社選書メチェ、2020年)
「さわる」と「ふれる」の違いから入り、倫理、触覚、信頼、
コミュニケーション、共鳴、不埒な手、と展開する。
著者のこれまでの研究や体験の蓄積が、
考察に深みをあたえているように思う。わかるわかる、と思いながら読めた。
今年のソワニエ授業に反映しよう。