長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

ネコの、日本軍兵士、子どもの人権、21世紀を

最近読み終えた本。

『ぼくはネコのお医者さん~ネコ専門病院の日々』
          (東多江子/文、講談社青い鳥文庫、2018年2月)

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私も猫を2匹飼っている。
日本では、飼い猫の数は増え続け、
ついに飼いイヌの数を上回ったそう!

猫も生き物ですから、いつも健康というわけではない。
私の飼い猫も調子が悪くなったことがあり、
動物病院のお世話になった。
猫はしゃべれないから、なぜ調子が悪いのか、
見ただけではわからない。獣医さんは心強い存在だ。

この本は、
猫だけを診る動物病院で獣医をしている・服部幸さんが主人公。
なぜ猫専門の病院をつくろうと思ったのか、
またその日常を丁寧に取材。
服部さんやそれぞれの飼い主の猫への思いが伝わってきて、
とても共感したり、涙したり。
猫と病気、飼い主としての責任も考えさせられる。
そして、こんな猫専門病院が近くにあったらなあーと。


『日本軍兵士~アジア・太平洋戦争の現実』(吉田裕、中公新書、2017年)

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1944年8月から45年8月の敗戦にいたる
「絶望的抗戦期」を中心に、日本軍兵士のリアルに迫る。
軍隊は社会の反映。兵士を無惨な死に追いやった構造や思想。
そして無能。いまの安倍政権とだぶりまくる。


『子どもの人権をまもるために』(木村草太編、晶文社、2018年2月)

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とても良い。たくさんの大人に読んでもらい、
子どもの人権問題をとおして、
自分自身の人権感覚も磨いてほしいと思う。
家庭・学校・法律や制度の角度から、
子どもの人権をまもる実践をしている方々の力作論考集。


『21世紀をつくる君たちへ』(木村孝編著、学習の友社、2018年2月)

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学習運動に関わる哲学者たちが若い人に語る。
ちょい難しいけど。表紙が若者むきでないけど。

ムヒカの
「モノを買うとき、人はお金で買っているように
思っています。でも、じつはそのお金を稼ぐために
働いた人生の時間で買っている」が秀逸。まさに。

5年連続の新入職員研修

先週金曜日(6日)の午後は高松へ。
香川医療生協(民医連)の新入職員研修にて講師仕事でした。
ここは5年連続でこさせていただいてます。

もちろん昼食はうどんです。
はい。そこは失礼のないように。

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25人のフレッシュなみなさんに
「ものの見方・考え方~民医連職員として」というテーマで。
持ち時間は3時間!

リハビリの方が多かったですね。
水曜日の健和会とはまただいぶん雰囲気が違います(笑)。

時間がたっぷりあるのと、人数もちょうどよいので、
自己紹介やディスカッションもふんだんに。
自己紹介では名前・職種・好きな場所を。

ディスカッションは、
絵本『わたし』を読んでの感想と気づき、
人権ってなんだろう、人間の尊厳に値する生活とは
などで。

最後のまとめ・感想がそれぞれ素晴らしかったです。
この時期は、こうやって若いみなさんと楽しく学習する機会があり、
ありがたいなあと思います。嬉しいです。

ひめは今日も旅に出る(1)

相方が、『民医連新聞』(10万部ぐらいの発行?)で
「ひめは今日も旅に出る」というコラム連載を始めました。
月2回の連載です。全国の民医連職員がおもな読者です。
相方が働いていた民医連です、はい。

さっそく「読んだよ!」の反響をいただいてます。
みなさんの励ましの言葉、相方の執筆の力になります。

当初、半年12回ぐらいのつもりでしたが、
書く材料がたくさんあるので、1年間の連載になるかも?
ALS患者となっての日々を綴っていく予定です。

私のブログでも毎回ご紹介したいと思います。
(ちょっと字が小さいかも)
お楽しみに!

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「書く」ことへの巨大なエネルギーと執念。

きのうの小倉での講師仕事。
なんと会場近くに松本清張記念館が! 出身地らしいです。

これは寄らねばならないと、
お役目終了後、さっそく訪れました。

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けっこう大きい。小倉城がおとなりにあります。

じっくりと1時間半ほど見学。
いやー。すごかったです。
「書く」ことへの巨大なエネルギーと執念。
題材を掘りつくして書く。時代を書く。
さすが、大作家です。作家のなかの作家。
編集者が語る清張の仕事ぶりが面白かったです。

ぼくも「書かねば!」とおおいに刺激を受けました。


ところで、
清張作品どんだけ読んだかなと前日に本棚みたら、
あまり読んでない。
しかも10数年~20年前に集中的に読んだので、
題名みても作品の内容が思い出せない…。

手元にあるものから再読するのもありですね。

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小倉、健和会の新入職員研修会へ

きのう(4日)は、北九州市の小倉へ。
健和会(民医連加盟)の法人新入職員研修にて講師仕事でした。

1時間で「人間らしく働くこととは」をテーマに。
新入職員さんが120名もいる、大規模法人です。
圧倒的に看護師さんが多かったです。

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現場に入る前の、まだまだ硬いかんじの新入さん120名。
職場に慣れることと、
慣れながらも問う力や人権感覚をみがきつづけること。
話の半分ぐらいは、
相方の病気と、患者家族になっての経験をお話しました。
思いが伝わったかしら。

『労働組合たんけん隊』、新人さんにぜひ!

新年度ですね、その2。

新しく働きはじめたみなさんに、
ぜひ労働組合のことを知ってほしい! と強く思います。

拙著『労働組合たんけん隊』(学習の友社、1,000円+税)は、
そうしたみなさんを読者の想定として書いています。

「労働組合で買って新人にプレゼントしようかと思う」と
話されていた組合も。

ぜひご活用を!

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「職場や労働条件は変えられる」(『友』4月号)

新年度ですね。
新しく働きはじめたみなさんに読んでもらいたいと思いながら、
『学習の友』4月号に
「職場や労働条件は変えられる―労働組合と憲法はその力」
という一文を書きました。

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若干の加筆を行い、以下に掲載します。
(中見出しもブログ用に変えています)


働き始めることで
 4月に新しい職場で働きはじめたみなさん、こんにちは。
新しい環境、新しい生活はどうでしょうか。まだ慣れない
でしょうか。
 働きはじめること。そのことで「変わること」には、何
があるでしょうか。

サイクル、人間関係、生活の成り立ち
 まず生活サイクルが変わりますよね。職場の始業時間ま
でに、通勤しなければなりません。通勤手段はどんなもの
をつかっていますか? 出勤前はあわただしい時間です。仕
事は定時で終わっていますか? いきなり残業している、と
いう人はいるでしょうか。仕事時間が伸びると、生活時間
がそのぶん削られてしまいます。
 変わることの2つ目は、人間関係でしょうか。何人の職
場で働いていますか。同期は何人かいますか? 仕事をつう
じて生まれる人間関係。新しい出会いにワクワクしたでしょ
うか。あなたに仕事を教えてくれる先輩や上司とのコミュ
ニケーションは良好ですか。いきなり即戦力として扱われ
るなんてこともありますよね。そんなの無理なんですけど。
職場の人間関係は、働き続けていくための大事な要素のひ
とつになります。
 変わることの3つ目は、得られた賃金で、あなたやあな
たの身のまわりの人の生活が成り立っていく、ということ
です。自分の生活を自分でプロデュースしていく力がつい
ていきます。賃金の多い少ないは、生活の質を決める大事
な問題です。
 ほかにも、さまざまな「変わること」「変わっていくこ
と」があるはずです。仕事に慣れるまではもう少し時間が
かかるでしょうね。毎日いろいろなことを経験し、その経
験は、あなたの力を伸ばしてくれることでしょう。

どう生きるのか、という問い
 もうひとつ、みなさんに考えてほしいことがあります。
新しい環境に慣れていこうとする意識や意欲が強い時期
ではありますが、同時に、その環境自体を問う力をつけ
てほしい、ということです。それは「いまの環境に順応
することと同時に、その環境をより良いものにするため
に、あなた自身がどのような行動をするか」という課題
であり、根本的な問いをたてるならば、「どう生きるの
か」という問題です。「社会人」という言葉には、この
社会や職場の一員として、そのありように主体的にかか
わることへの期待もふくまれているのではないでしょう
か。

『君たちはどう生きるか』より
 漫画『君たちはどう生きるか』(原作・吉野源三郎、
漫画・羽賀翔一、マガジンハウス)が爆発的ヒットを続
けています。
 登場する主人公の名は「コペルくん」。吉野源三郎さ
んが1937年に出版し、戦後、多くの人に読み継がれ
てきた原作の漫画化です。この物語のなかでコペルくん
は、自身の体験とおじさんとの対話を通じて、社会や人
間の本質を問い、苦悩しながら人間らしい生き方を考え、
「発見」していくのです。
 コペル君にあてたおじさんのノートのなかに、こんな
一節があります(原作と漫画どちらにもあります)。
 「人間は、どんな人だって、一人の人間として経験す
ることに限りがある。しかし、人間は言葉というものを
もっている。だから、自分の経験を人に伝えることもで
きるし、人の経験を聞いて知ることもできる。その上に、
文字というものを発明したから、書物を通じて、お互い
の経験を伝えあうこともできる」

学ぶことで広がる問いや視野
 私たちは、地球が太陽のまわりをまわっていることを
知っています。学校で習いますから。でもそれは、人類
の先輩たち(まさにコペルニクスなど)が苦労して「発
見」してきた知識と観測にもとづいた理論を学ぶことが
できるからです。学ぶことで、自分の経験だけでの判断
や、狭いものの見方とは違う「視野」をもつことができ
るのです。
 自分の経験を積み上げていくことと同時に、私たちは
もっと広い視野から、歴史的出来事にも学び、ものごと
の本質や、「どう生きるのか」の問いを豊かにつかむこ
とができます。
 働くことに対する考えも、同じだと思います。実際に
働きはじめることで得られる自分の経験にもとづく考え
は、認識の出発点ですから、とても大事なものです。同
時に、他者の経験や社会的視野から、「働くこと」や
「どう生きるのか」を深めてみることを、ぜひしてほし
いと思います。

雇われて働く人に共通する問題を考える
 この『学習の友』4月号には、さまざまな方が「働き
方」「労働組合」についての自分自身の経験を紹介され
ています。それぞれは別の体験です。でも雇われて働く
人に共通する問題も浮かび上がってくるのではないでしょ
うか。それは、読者のみなさん自身の「これから」を考
えるひとつの材料になりうるでしょう。労働組合という
ものへの認識にもつながるものです。
 私たちは、働いていくうえで、さまざまな「困難」
「壁」「問題」にぶちあたることがあります。「仕事を
辞めたい」と思うこともあるかもしれません。カギは労
働条件であり、職場の環境です。それは、みなさんが
「ひとりで解決しよう」と思っても、難しい問題として
立ちふさがります。
 労働条件が崩れてしまうとき、あなたの生活も崩れて
しまいます。そういうリスクが「働くこと」にはありま
す。あまりに低い賃金、生活が侵食される長時間労働、
1人ひとりが尊重されない職場の人間関係・・・。「働け
るだけで幸せ」なのではありません。働いて、なおかつ
自分の生活が人間らしいものになることが必要です。職
場のなかでも、あなたがあなたらしく働けることが大事
です。でもそれを押しつぶす力があることも事実です。
それは、いまの資本主義社会のあり方そのものの仕組み
からきています。ぜひ社会科学の学習もしてほしいと思
います。

人権をまもる組織としての労働組合
 労働条件や職場の環境をよりよいものにするには、使
用者と交渉するしかありません。1人ひとりバラバラだ
と立場の弱い労働者が、使用者と対等に交渉するために
は何が必要か、そのことを労働者は歴史的な実践をつう
じて発展させてきました。それが、労働組合と、労働組
合による団体交渉・ストライキです。働きやすい職場を
つくることと、生活を壊すような「低賃金」や「働きす
ぎ」を防止するために、「みんなで交渉する」「みんな
でたたかう」という方法です。その手段を、労働者の先
輩たちは獲得してきたのです。
 歴史のなかで、労働組合は「人権をまもる組織」とし
て発展し、憲法にまで書き込まれることになりました。
 日本国憲法は28条で「勤労者の団結する権利及び団
体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」
とうたっています。これを労働基本権、または労働三権
と言います。労働条件を対等に交渉するための「3つの
手段」です。労働組合をつくり(入り)、使用者と交渉
し、ときにはストライキを構えて譲歩をせまる。このよ
うな活動を法的に保護されているのは、労働組合だけで
す。
 労働者は、ひとりでは労働条件の交渉がまずできませ
ん。交渉ができなければ、自分の働き方や生活について
は「他人まかせ」になってしまうことを意味します。だ
から憲法は、労働三権を無条件で労働者に保障して、対
等の立場で使用者と交渉できるように応援しているわけ
です。これを使わない手はありません。私たちには憲法
がついているのです。

職場も社会も変わってきた
 さて、冒頭、「働きはじめて変わること」を少しだけ
見てきました。じつは「変わること」はあなたの生活や
人間関係だけではありません。職場も社会も「変わる」
のです。いまの職場や働き方も、じつは「変わってきた
結果」の姿なのです。
 みなさんが8時間以上働くことは、原則許されていま
せん。使用者がみなさんを8時間以上働かせるためには、
労働者の過半数を組織する労働組合(もしくは労働者代
表)と使用者が特別に協定を結ばないとできないのです
(労働基準法36条)。この「8時間労働制」というの
は、労働者の先輩たちが百数十年前から声をあげて「要
求」してきた労働条件のひとつです。昔から8時間だっ
たわけではありません。8時間労働でなければ、労働者
の生活が人間らしいものにならない、あなたらしい生活
が侵食される。そういうものとして闘いとられてきた大
事なルールなのです。

あなたがあなたでいられるために
 この「人間らしく」「あなたらしい生活」をまもるた
めにあるのが、日本国憲法です。憲法は、あなたがあな
たでいられることをもっとも価値の重いこととして大事
にしています(13条・個人の尊重)。そしてそのため
の自由や権利を保障しています(基本的人権)。あなた
は国や会社の従属物ではありません。あなたをモノや道
具のように扱うことも許されません。差別されません。
排除されません。それを確認しているのが憲法です。
 今号の特集で手記を寄せられているみなさんは、人間
らしく働くことや、自分らしさを押しつぶそうとするも
のとたたかってきました。働き続けられる職場をつくる
ために仲間と行動してきたのです。そのたたかいの背中
を押しているのが、日本国憲法なのです。それは、先人
の長くきびしいたたかいのなかで獲得されてきた、私た
ちを守る手段であり武器なのです。

違和感にふたをしない生き方
 職場や労働条件は、変わります。良いようにも、悪い
ようにも。それは、みなさんの生活、もっといえば人生
に大きな影響をあたえます。そうであるならば、そこに
積極的に関与し、他人まかせにせず、職場や労働条件を
仲間と一緒により良いものにしていきませんか。
 「どう生きるのか」という問いは、壮大な問いのよう
にも思えますが、現実の環境に対して、自分がどう判断
し行動するのか、そのものさしであるとも言えます。
「おかしいな」と思ったことや、違和感にふたをしない
生き方の選択です。そして「おかしい」といえるために
は、それを共有できる仲間と一緒に声をあげることが大
事です。労働組合は、あなたの思いを表現できる場でも
あるのです。

自分のものさしを豊かに
 いま、この憲法を変えようという政治の動きがありま
す。安倍政権はもともと憲法を守る意志がありません。
それは国民1人ひとりを大事にしない政治であり、人間
を大事にしない政治です。そんな政治が続く限り、私た
ちの働き方も生活も良くならない。だから労働組合は、
憲法をめぐる政治的なたたかいにも参加します。私たち
の生活に関わることだからです。
 「おかしい」に気づく力を育てるのは、仲間との学び
や議論です。自分の経験だけの「ものさし」ではなく、
他者や歴史の学びを通じて得られる「ものさし」を身に
つけ、みがいていきましょう。この『学習の友』も、そ
の材料になるはずですし、勤労者通信大学の入門コース
も、「社会がみえる」学習教材です。ぜひまわりの仲間
と一緒に、自分のものさしを豊かにしていきませんか。
より良い未来をつくる力を、私たちはもっています。

 

新年度ですなあ。

今日(2日)午前中は、
生協労組おかやまのパート部会・新入労組員研修にて講師。
労働組合そもそも話を1時間ほど。

学ぶことで自分の「あたりまえ」を相対化し、
自分(たち)の力を認識してほしい!という思いです。

同じ建物では、生協ともう1社の新入職員研修、
あと1社の入社式がされていて。新年度ですなあ。

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広島で最低賃金の問題を講義

きのう(1日)は、
広島県労連の「パート・臨時・嘱託労組連絡会 春の行動」での
講師仕事でした。10時から。最低賃金がテーマでした。

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最低賃金の問題は、なにより人権・尊厳の問題として
とらえることが大事と強調。
予定にはなかったグループディスカッションも
勝手に組み込みました。みなさんしっかり交流しておられました。

以下、講義のレジュメです。


はじめに:あるシングルマザーさんとの関わりで

一。労働者は何と引きかえに賃金をもらうのか
 1。労働契約とはなにか

  「労働契約において、労働者の主たる義務は労働提供義務
  であり、使用者の主たる義務は賃金支払い義務である」
                (有斐閣『労働法』より)

  「労働者とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払わ
  れる者」              (労働契約法2条)

 2。時間を切り売りしている
  ◇労働者といっても、それぞれには違いがいっぱい
   (違いは目に見えやすい)
   *職種、仕事内容、雇用形態、性別、能力、資格、民間・公務・・・
   *違いをひとつひとつ取り除いていくと・・・。残るのは、自分の
    労働力を時間決めで使用者に販売している(使わせている)、
    という点。「使わせ方」にルールをつくる必要。
  ◇「人たるに値する生活」(労働基準法1条)。そのためには
   ゆとりが必要。
   *ゆとりとは、「当面の必要を満たしたあとに、自由に使うこ
    とが出来る空間・時間や体力、他のことを考えるだけの気力
    があること」(三省堂『新明解国語辞典』第7版)
  ◇時間は有限。1日24時間。1年365日。平均で80数年の寿命。
   *「自分の時間」の価値はみな平等。あなたの時間の価値と、
    私の時間の価値は同じ。でも雇用形態などで、時間当たりの
    賃金単価や待遇には大きな格差が。これは差別。
   *8時間労働制は労働者の人権のかなめ。自分の時間の確保。
    健康で文化的に生活する最低限のライン。そして8時間労働
    の収入によってのみ生活できること。8時間働いて得た賃金
    で生活できないとしたら、そうしたものは権利とはいえない。
  ■フルタイムで働いて、現在の最低賃金で「人たるに値する生活」が
   営めるだろうか。

  ◇私たちは人間!(尊厳がある。取り替え可能なモノや道具ではない)

    「何人も、社会の一員として、社会保障をうける権利を有し、
    かつ、国家的努力および国際的協力を通じて、また、各国の
    組織および資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な
    発展とに欠くことのできない経済的、社会的および文化的権
    利の実現に対する権利を有する」(世界人権宣言22条)

    「何人も、労働するものは、自己および自己の家族に対して
    人間の尊厳に値する生活を保障し、かつ、必要な場合には、
    他の社会的保護の手段によって補足される公正かつ有利な報
    酬をうける権利を有する」(世界人権宣言23条)

二。日本の最低賃金制度の問題点
 1。最賃額の低さと、上がり方の遅さ
  ◇月収や年収換算が大事。「尊厳のある生活保障」という本来の
   役割を果たせていない。
  ◇広島県の最低賃金の推移
   (4月時点。直近25年間。カッコ内は5年間の上昇額)
   *1993年564円→1998年627円(63↑)→2003年644円(17↑)→
    2008年669円(25↑)→2013年719円(50↑)→ 2018年818円(99↑)

 2。地域間格差を広げる要因に
   (A~Dで目安ランク付。そんな制度でいいのか?)
  ◇大都市をかかえる県と、地方県は引き上げ幅が違う。
   例:東京と鳥取を比較。格差拡大。
   *1998年 東京679円×鳥取584円(格差 95円)
   *2008年 東京739円×鳥取621円(格差118円)
   *2018年 東京958円×鳥取738円(格差220円)

 3。経営者の支払い能力が優先される
  ◇最低賃金を決定に際して考慮される3要素
   ①労働者の生計費、②労働者の賃金、③賃金支払い能力。
  ◇審議会において、経営者側が主張する支払い能力が他の要素より優位に
   *「事業の支払い能力」が考慮要素になるのは日本だけ。

 4。最低賃金審議会の過程・決定の議論が不透明
  ◇審議会の専門部会は非公開とされるのが普通。密室で決定されてきた。
  ◇地方の最賃審議会は、中央の審議会決定に沿ってほぼ機械的に議論
   している場合が多い。

三。今後の課題と私たちの運動
 1。最低賃金の意味・役割についての社会的理解を広げる
  ◇「賃金は労使間協議が基本。国が賃金額を押しつけるのは
   おかしい」にどう反論するか?
   *審議会委員にもそういう意見をもつ使用者が多い。
  ◇労働者・労働組合側でも、認識を変える取り組みを。
   *職場や地域でのアピール。学習会をひらく。
    しっかりディスカッションする。

 2。全国一律最低賃金の確立を
   (そのためには、運動も地域・全国で結集して)
  ◇格差拡大をとめ、ナショナルミニマム(国家が国民に保障する
   最低限の生活水準)の確立を。
   *全労連「最低生計費試算調査」では、健康で文化的な最低限
    の生活のためには、月額22万~25万円必要で、全国どこでも
    ほぼ同額。時給1500円相当。
  ◇全国的運動・政治的アクションを。政治の影響力は大きい。
   引き上げ率3%も政治判断。

 3。最低賃金審議会の改革
  ◇広島の審議会の具体的分析を。具体的な戦略をもとう。
   *経営者委員・労働者委員・公益委員、それぞれが代表として
    ふさわしい委員か?
  ◇なにより目安を審議する中央最低審議会の閉鎖性と不透明性の
   打破が求められる

さいごに:人権感覚をみがこう。「わたしの尊厳」を奪おうとする
     ものへの異議申し立て。エネルギーが必要。あきらめな
     いことは、あきらめることよりずっとたいへん。仲間が
     いるからがんばれる。声を出す勇気、たたかい続ける覚
     悟は共同性に支えられる。

 

桜満開。春の京都を満喫。

行けるときに行っとこうツアー2018 第1弾in京都。
30日~31日の2日間の旅でした。

相方がALSと診断されてから、通算9度目の旅行となりました。

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自宅前にて。今回もレンタカーを借りて、車での移動です。
いちばん大きなウェルキャブ車を借りると、
車いすからの移動も簡単ですし、必要な荷物もたくさん積めます。

京都まで車で3時間ぐらいです。

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相方の妹さんとおいっこ、さらに京都で友人と合流し、
5人でまず山科の桜の名所に。菜の花と桜が見事でした。

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京都の友人が買い揃えてくれたお弁当。
外で味わうからより美味しい。

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30日の夜は、京都のお仲間のみなさんとお食事会。
貴重で大切なご縁。ありがたいなあと感じます。
相方は久しぶりの生ビールにご満悦でした☆
食事もどれも美味しく、創造的で、大満足でした。


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31日の午前中は、ホテル近くにある東本願寺に散歩。
おいっこに車いすを押してもらいました。

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桜と東本願寺。絵になります。
いったんホテルに戻り、香川の友人がこの日から合流。

6人で、昨年も京都旅で行った「とらや」で
美味しい和菓子と抹茶グラッセを。

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京都らしさをたっぷり。

つづいて、京都の友人おすすめのお弁当屋さんで
お弁当を買い込み、鴨川へ。
まさに、まさに春爛漫というお天気と満開の桜。
グッドタイミングすぎる旅でしたね。

気持ちいいー!!

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春の京都を満喫し、
夕方京都を出て、岡山に帰ってきました。

あと何回、こうした旅行ができるかはわかりません。
1回1回の旅を、大事にしたいです。
ともに旅をしてくれる友人たち、
さまざまなサポートと支援があってこその旅行です。
感謝を忘れません。

京都、たのしんできます。

今日(30日)と明日(31日)は、
京都へ行ってきます。観光です。

2018年最初の「行けるときに行っとこうツアー」。
昨年は7回、このツアーを敢行できました。
今年も暖かくなってきたので、始動です。
泊まりの旅は昨年11月以来。

昨年の今頃は、相方も調子を崩した時期だったので、
こんなに旅行ができるとは思っていませんでしたが、
さまざまな方のサポートや支援があり、
こうして大好きな旅行を楽しめています。感謝です。

さあ、桜満開の京都へ。

楽しんできます。