長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

準備はたいへん。行きたいという意志が大事!

先週末の奈良旅。
今回は、旅の準備やバリアフリー視点でのことを
ちょこっと書きたいと思います(といいつつ長いです)。

【介護者は最低2人必要】
相方は、重度障害者ですし(気持ちはまったくそうでないのですが)、
人工呼吸器24時間装着、車いす移動、
などなどいろいろ手助けが必要。
呼吸器装着前は2人で旅行などもできましたが、
今はぼく以外に最低1人の介護をしてくれる人を確保せねばなりません。

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たいてい相方の妹さん(2人のうちどちらか)か、
めいっこさんが旅行に同行してくれますが、
日程やら合わせてもらうのがなかなかたいへんで、
苦労するところです。

【持っていくものがたくさん】
昨年秋の富士山旅行から、ふだん自宅で使っている
「スカイリフト」という移乗用リフトを
旅にも持っていくようになりました。
これがあるのとないとでは、
決定的に介護者の負担・本人の負担も違います。
というか、もはやこれなし旅行は不可能でしょう。
必須品です。

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(上の写真がスカイリフトです)


問題は、このスカイリフトは車イスほどの大きさがあるので、
かなり持ち運びがたいへんだということです。
おまけに、旅に持っていくものはこれだけではなく、
自宅で使っているシャワーチェア、
痰を出すためのカフアシストという機械、
何かあった場合の酸素ボンベなどなど・・・。
通常の荷物以外に、旅に行くために必要なものがたくさんあります。

【車は福祉車両のハイエースで決まり】
したがって、今年の「行っとこう旅」では
すべて福祉車両のハイエース
(車いすごと乗れて、車いす2台ぶんが乗るスペースがある)を
レンタカー屋さんで借りています。
青森など、飛行機で行く場合も、
現地でこうした大型の福祉車両を借ります。

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(この車にスカイリフトはじめ荷物をたくさん詰め込む)

ちなみに、大型の福祉車両を扱っている
レンタカー屋さんはかぎられていて、
旅行の日程が決まりしだい、確実に確保できるよう予約をします。

「行っとこう旅」は、男性はぼくひとりのことが多く、
運転は基本ぼくのみになっています(汗)。
まあこういう大型車は選挙のお手伝いで乗りなれているので、
運転は大丈夫なんですけどね。

【お宿を決めるのがたいへん】
次の絶対確保条件は、バリアフリールームがあるホテルです。
民宿や小さいビジネスホテルはまず厳しいです。
今回も、奈良のホテルをいろいろ探しましたが、
安心して行けそうなとこというところで、
奈良駅前の有名なホテルにお宿を決めました。

さらにバリアフリールームがあるだけではダメで、
ホームページでトイレ周りやバス周りをチェックし、
写真がなければ送ってもらい、
さらにベッドの高さなども確かめなければなりません。

11月に予定している沖縄の旅も、
難航しているのがこの宿選びです。
3つほど候補があり予約はしているのですが、
どこも一長一短あり、悩ましいところ。
宿の快適さは旅行の成否を左右する大事な要素です。

【行きたいところのバリアフリー度をチェック】
旅先で行きたいところはたくさんありますが、
やはりバリアフリー度を事前チェックすることは欠かせません。
今回の奈良旅は、さすが観光地でもありますから、
東大寺や薬師寺など、車イスでもまあ大丈夫でした。

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あと障害者用トイレさがしや、
行きたい食事店などのバリアフリー度はやはり事前に電話で確認します。
そこまでしても、行き違いなどがあり、
奈良旅でも2日目のランチのお店では、
バリアがいろいろあって難儀しました。

ふらっと行きたいところに、ということはできないのです。

【暑さ寒さの対策】
これもなかなかたいへんです。
今回も2日目などは真夏のような暑さでしたが、
お店に入ると逆に冷房がききすぎていて寒い。
相方の場合、ずっと車いすで身体を動かしませんでの、
そうした気温の変化に対応するのがたいへんです。
羽織るものやアームカバーなどは必須です。

【それでも、旅には行ける】
いまの主治医から
「こんなに旅行に行くALS患者は初めて」と言われています(笑)。
障害者になると、
どうしても人の手をたくさん借りなければならないし、
旅行ともなれば、人一倍の準備が必要です。
だから行きたいのに、遠慮してしまう人が多いのかなと思います。

もちろん、呼吸器が持ち運びしやすくなっているとか、
社会のバリアフリー度が少しずつ高まっているとか、
以前とは違った条件があるとは思います。
でも根本は、「旅に行くことをあきらめない」という
意志なのかなあと感じています。
与えられた枠のなかで我慢して過ごすのではなく、
自分の枠にこだわり、それを広げていく。

さあ、来月も旅だ、旅!