長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

長野・松本のALS患者さんが来宅

きょう(16日)午前中、
長野・松本のALS患者さん(60代女性)と、夫さんがわが家に来宅。
ほんとうに素敵な出会いと時間でした。

ことの発端は8月下旬。

私が長野民医連の4年目職員研修で講演し、
相方の病気のこと、
民医連新聞の「ひめは今日も旅に出る」のエッセイのことを
いろいろお話しました。

終了後、ある参加者の方が走りよってきて、
「じつは私の担当でALSの方がおられて…。
最近元気をなくしていて、ぜひエッセイも紹介
したいし、連絡をとることって可能でしょうか?」と。

そのケアマネさんとの詳しい会話は忘れて
しまったけど、名刺を渡したのは覚えていて、
しばらくは「連絡があるかも」と思っていたけれど、
最近はすっかりこの話は忘れていました。

で、先日突然、学習協の電話に、
「Sといいます。松本のALS患者の夫で…」
と連絡があったのです。

で、ご夫婦の新婚旅行が倉敷で、
40年ぶりに行ってみよう、そして岡山に行くなら
ぜひひめに会いたい! と連絡をいただいたのでした。

患者のSさん(女性のほう)は、
2016年4月に信州大学病院でALSと診断を受けたそうで、
相方と半年ずれているだけで、ほぼ発症時期は同じ。

進行が進んでいるのは発語の部分(といってもかなり聞き取れました)と
足の動き。杖をつきながら、わが家の階段を登ってくださいました。
呼吸や手の動きはまだ進んでなく、呼吸器もしておられません。
この病気はほんとうに1人ひとり進行具合が違います。

それで、診断を受けてからは、
「どうしてこんな病気になったのか…」となかなか
受け入れることができず、
とくに今年に入ってからは気落ちが激しかったと
話をしてくださいました。
「朝起きたら、動くようになっていないか…と毎日思うんです」と。

そんなとき、偶然にもケアマネさんが私の講演を聞き、
相方のエッセイをそのSさんに読んでもらおうとなったわけです。

それ以降、毎号毎号、ケアマネさんが届けてくれる
相方のエッセイをSさんは楽しみにしていて。
何度も何度も読んで、
「どうしてこんな(前向きな)考え方ができるのだろう」と
いつか話を聞きたいと思っていたそうです。

大学病院での医師の話は、「そうだそうだ!」と共感されたり(笑)、
エッセイにすごくエネルギーをもらっていることを話してくださいました。
「私の考え方もすごく変わった」と。

話をお聞きしながら、ジーンとしました。
相方ががんばって1回1回書いているエッセイが、
実際に同じALS患者さんに届いて、こうしてご縁が生まれたことに。

Sさん、相方のことを「ひめ」「ひめ」って呼ぶんです(笑)。
不思議な感じですけど、それがまたうれしくて。

Sさんは不安定ながらもまだ歩けるのですが、
わが家で使っている介護用具や医療機器もあれこれ紹介し、
これからの在宅療養の少しでもお力になればいいなと思いました。

笑顔がすてきなSさん。支える夫さんもすてきな方でした。
信州のりんごと、Sさんが作られた造花をいただきました。

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今日は、
私と相方が仲間たちに結婚を祝う会をしてもらってから
16年の記念日です。

2年前の今日、ブログやフェイスブックで
相方の病気のことをみなさんに公表しました。

こういう日に、新しいすてきな出会いに恵まれたこと。
ほんとうに幸せな気持ちです。