長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

今年観た映画が20本に到達す。

ということで、最近みた2本について。

 

『タイピスト!』

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 これよかった。

オープニングからセンスよく、ワクワク。

1950年代のフランスの匂いぷんぷん。

 

音楽、ファッション、ストーリー、デザイン・・・

「映画、堪能しましたー」って感じ。

純粋に楽しめます。

主人公の女の子がベリーキュート。まいりました、はい。

 

シネマクレールで上映中です。

 



 

『風たちぬ』

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宮崎作品は『千と千尋の神隠し』までは

素晴らしいと思いますが、以後の作品は

正直がっくりさせられていました。

 

そして、今回はがっくりどころか

「もう2度とこの作品はみないだろう」

という強度な違和感。

最後の作品がこれですか…。

 

端的に言えば以下。

1)「いまこの時代に」「あの時代を描くときのテーマ」がこれですか。

「飛行機づくりの夢」・・・。まあ、宮崎監督の趣味はわかりますよ。

 でも、政治の右傾化さけばれる今この時代に、あの戦中の時代を

 描くのであれば、もっと違うテーマがあったと思います。

 宮崎監督の大好きな子どもたちに、こんな作品を残していいんでしょうか。

 キレイすぎです。全体的に。戦中ではありません、この映画は。

 しかも、タバコのシーンが多すぎ。それだけでぼくはウンザリでした。

 

2)科学や技術は中立では決してない―ゼロ戦の描き方など

 主人公はゼロ戦の設計をした堀越二郎という実在の人物なんですが、

 美しい飛行機をつくりたいという「夢」をずっと追っかけています。

 「俺たちは武器商人じゃない。いい飛行機をつくるだけだ」と相棒の

 設計士が言うのですが、技術者は直接的には戦争には加担している

 という感覚は弱いのでしょうが。「結果」には、当然責任をともないますよ。

 原爆を開発した科学者と同じです。中立なんてありえないです。

 しかもゼロ戦の最初の成果は日中戦争ですよね。

 その圧倒的な能力で中国軍との空中戦を制し、

 侵略戦争の先鋒を担った飛行機です。

 わたしは映画の上映中、ゼロ戦を見ると、

 この飛行機によって殺されたり侵略を受けた中国の

 人のことを想像していました。

 この映画、中国や韓国でも上映するんですかね?

 宮崎監督、この映画がアジアでどう受けとめられるか、

 考えていたのでしょうか?

 

(3)主人公ふたりの関係性にまったく共感できず。

 これはもうひと言です。女性が男性の「仕事への使命」のために

 命をけずってでもつくすという、その関係性にかなりムカつきました。

 しかも、その堀越の「仕事」とは、人類や社会のために役立つものかと

 いえばそうではなく、ゼロ戦の設計です。

 なぜ、彼女を追い返し、療養させなかったのか。理解に苦しみます。

 あんな「愛」の形に、私はまったく共感できませんでした。