長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

明日! 「じつはすごい労働組合の歴史」

【告知】 明日!岡山県学習協「労働組合たんけん隊講座」第4講義。3日18時半~岡山市勤労者福祉センター。「じつはすごい労働組合の歴史」(講師長久)。

冒頭、だいたいこんなことを導入として話そうと思っています(以下長文)。

アメリカの国立公文書館の入口には、「過去は現在・未来の序章である」という言葉が刻まれているそうです。「序章」を私なりに言い直せば「幕開け」です。過去を学ばなければ、現在も未来も、その幕を開けてくれません。つまり何も見えないわけです。だから、私たちは歴史を学ぶのです。

 私たちは往々にして、狭いスパンや自分の経験だけで「まわり」「現在」を見てしまいがちです。いま、労働組合の活動はいろいろ困難を抱えています。労働条件は改善されない、担い手が少ない、仲間を増やすのもたいへん、活動へ偏見もある…。「この活動にほんとうに未来があるのか?」と考えてしまうこともあるのではないでしょうか。

 ものごとの変化は、つねに一直線に進むわけではありません。変化のしかたは、ジグザグ・うねうね。ときには逆流もあります。労働者のたたかいも、勝ったり負けたり。いや、負けてきたことのほうが多いかもしれません。でも視野のスケールを、50年・100年・200年にしてみると、労働者の「権利」「働き方」は大きく発展してきています。労働組合(運動)は、社会的影響力をもつ存在へと成長してきたのです。そこには、確実に「大きい発展の流れ」が見えてきます。

そして、その発展の流れをつくりだしてきた力は、名もなき無数の労働者たちです。平和と民主主義、労働者の権利は、ひとりの力で発展させられるものではありません。小さな1人ひとりの力を集める以外に、みんなの力を大きくすることはできませんでした。だから、ねばり強く、苦労をともないな がらも、団結するという「生き方」「たたかい方」を労働者は選びとってきたのです。

 そこには、あきらめなかった人たちが、たくさんいました。やむにやまれず行動に立ち上がり、仲間を広げた人たちが、たくさんいたのです。そし て、理想をかかげ、それを「あたらしい常識」にしようとした人たちによって、古い過去が退場させられてきたのです。

私はこうした歴史を学ぶと、いつも「背中をおされる気分」になります。先輩たちのたたかいに心がふるえます。そして活動への確信がもてるのです。

ふだんはあまり考えもしませんが、私たち1人ひとりの「生活」「労働」のなかには、歴史が刻印されています。歴史を知ることは、今をよく理解するためであり、それが未来を見通す力になります。それは現在というものを相対化するための1つの方法です。「あたりまえ」と思っていたことがそうでなかったという発見は、ものの見方の転換です。そして、大きな流れのなかで、「今の自分」「今の社会」「今の活動」をとらえることができるなら ば、それはきっと、日常の活動の底力になっていくと思います。