今日(27日)はさきほどまで、
倉敷医療生協労組パート部の「無期転換ルール」お昼休み学習会。
本日は水島協同病院にて。
メリットがぴんとこないという感想が複数。
医療生協の場合は雇い止めの不安もまあないですし、
労働組合に入ることをためらうこともないし、
たしかに「今までと何が変わるのか」という点では
打ち出し点がピンとこないのかなと思いました。
もう1回あるので、語り方考えよう。
以下、講義の概要です。
1。無期転換って?
◇有期契約通算5年で無期<期間の定めがない>へ
転換可能に(労働者の申込み必要)
*「同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を
超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申込みによ
り、無期労働契約に転換します。このルールは、有期労
働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を
図ることを目的としています」(厚生労働省HP)
2。労働契約のそもそもを考える
◇使用者と労働者とは、法的には対等な契約関係。だが。
*そもそも使用者のほうが立場が強い。企業にとっては、
「いつでも雇い止めできる労働者」を一定かかえてい
るほうが、経営上都合がよい。必要でなくなればやめ
てもらう。
◇有期雇用とは
*企業の都合が雇用の安定より優先。調整弁。正規は無期。
パートや契約社員、派遣労働者など、非正規雇用のほと
んどは有期雇用。立場が弱いところに集中。より立場が弱く。
*ヨーロッパでは無期が原則
(有期雇用は合理的理由がなければ認められない)
*労働者にとっての不利益点(一般的な特徴)
・雇い止めの不安。収入たたれる。新しい雇用先を見つけ
なければならない労力。
・雇い止めの不安から、①使用者と労働条件を交渉しにくい、
②職場で意見が言いにくい、③有給休暇など当然の権利
行使がしにくい、④労働組合に入ることをためらう。
・契約期間中はやむを得ない理由がない限り辞職できない
(無期は2週間の予告期間をおけば自由に辞められる)。
じつは有期雇用のほうが辞めにくい。
3。無期転換がなぜ大事なのか
◇有期雇用の不利益点の改善
*雇い止め(契約不更新)の不安の解消。労働条件や職場
改善についての意見が言いやすくなる。正当な権利行使
もしやすくなる。労働組合に気がねなく入れる。
*雇用の継続による職場の質の確保。知識・技術・人間関係の蓄積。
◇無期転換を勝ち取った事例
*生協(coop)では、パートやアルバイトなどの多くが有期
雇用で働いていたが、労働組合のねばり強い交渉と取り組
みにより、約35,000人の無期雇用転換が実現している。お
かやまコープは3年から無期転換できるようになっている
(労組の要求で法律以上のルール)。
◇なにより、人権の観点から。
*労働者はモノではない。生活は有期ではない。労働契約も
人間らしいものに。
4。職場の仲間に伝えていこう
◇自動的に無期転換にはならない。労働者本人の申込みが必要。
*「通算5年」は2013年4月以降の期間がカウントされるので、
2018年4月に申込権が発生する。現在、有期雇用者の約3割
が5年以上同じ職場に勤めている(全国平均)。無期雇用転
換の集団申請を運動として組織しよう。
◇口頭での申込みも可能だが、申込み書式もあるので活用を。
理事会に周知徹底努力させよう。
◇不当なことを許さない
*医療生協ではあまりないと思いますが、無期転換ルールを
口実にした雇い止めなど違法・脱法行為が起きる可能性の
ある職場もある。そういう人がいたら、迷わず「労働組合
へ相談を」と伝えよう。
◇メリットをわかりやすく伝える
*労働組合の役割・価値とセットで。労働条件にこだわり、
議論するトレーニングを積もう。その人の状況や考え方に
あわせた働きかけを。デメリットはない。自信をもって。
◇引き続き、正規と非正規の格差や差別の解消をともに求めていく
*非正規労働者が「集まる」「語りあえる」「聴きあえる」場
をたくさんつくろう。
*処遇改善には、当事者自身が声をあげる必要がある。パート
労働者の要求可視化。そして数が多いほど交渉力が高まる。
仲間を増やすることが底上げに。
*じっくり、ていねいに、労働組合の役割を伝えたい。納得と
共感が必要。声をあげる勇気、たたかう覚悟は、仲間がいる
から湧いてくる。仲間を増やそう。