7日・8日は、倉敷で労働学校交流会2018。
労働学校を開いている6県から参加がありました。
私は1時間の問題提起の役目。
労働学校をなぜひらくのか、労働学校という形態について、
具体的活動の技術交流の大切さ、など。
その後、18年ぶりに労働学校を開催した
ちば労働学校の経験報告をききました。
それを受け、それぞれの活動や問題意識を交流しました。
夜は楽しく懇親会も。
各地の労働学校は受講生の減少がつづいています。
運動の柔軟で抜本的見直しが必要だと感じます。
以下、問題提起のレジュメです。
一。労働学校をなぜひらくのか?
1。労働者が労働者らしくなる。労働組合が労働組合らしく。
職場や社会を変える力に。
◇労働者としての自覚。連帯という生き方。現状を問う力。
敵を見誤らない力。
◇自分の立ち位置への自覚。そのためにどんな学びが大事か。
*そもそも論。社会科学、基礎理論学習。
憲法学習。人権感覚をみがく。
*部分・表面の情報にふれるだけでは、この認識への到達は
むずかしい。現象から本質へ。下流から上流へ。
ものの見方をみがく学び。弁証法を日常活動にも活かす。
*歴史的な視野で「いま」を見る力。自分(たち)の生き方を
歴史的にとらえる。
◇自らの生活や人生を仲間とともにプロデュースしていく力を育てる
「学習活動は、あらゆる教育活動の中心に位置づけられ、人間
をできごとのなすがままに動かされる客体から、自分たち自身
の歴史を創造する主体へと変えていくものである」
(ユネスコ「学習権宣言」)
2。学習運動(学習協)の立場から
◇労働運動との共同・協力の架け橋。活動家育成の場所として
信任・信頼される。
◇学習運動・労働学校の担い手づくり
*「聴く」学習なので入りやすい。学習運動の入口になる役割。
「楽しいよ」と言える。
◇労働学校から『学習の友』読者・会員・勤労者通信大学につなげたい
3。労働組合の立場から
◇圧倒的に足りない「組合活動の担い手」。とくに若い世代の活動家養成。
*自らの組合の学習方針、年間計画での取り組みもあるが。それだけは
不十分。
◇学習活動家になってほしいというよりは、労働組合の担い手になって
ほしい。
◇しかし具体的に「誰を行かせたいか」となると、困難。一般的な呼び
かけで来ることはまずほとんどない。1人ひとりをオルグする必要。
そこまで手がまわらない。
4。受講生の立場から
◇学びたい要求をもっている人は一定存在する。
*自分を成長させたい。社会のしくみを知りたい。
◇労働学校に行くと、楽しいし勉強になる。
◇知りたいが増える。友だちができる。異職種・異文化交流も楽しい。
二。なぜ労働学校という形態にこだわるのか
1。学校ということ
◇一定の期間、連続的に行い、系統的・多面的に学びを深める場
(とくに基礎的理論)。
◇職場・職種をこえた交流ができる貴重な機会。異質なものとの
出会いとその効能。
◇「集まること」の長所を生かした学習形態。討論の重視。
交流もとことん。
◇人間らしさにこだわり、人間らしさを育てあう場
2。学びの質と量の関係
◇労働組合の行う「労働学校」「講座」「セミナー」との差別化
*連続学習。多種多様な人が集まる。基礎理論は学習協では
ないとできない。
◇学びの量・交流の量は、質的変化を生み出す
*長久個人の経験では、最低8回以上はカリキュラムが必要
(交流ふくめ)
3。形態からくる困難について
◇毎週「通う」という物理的困難。多忙化。財政的基盤がないため
受講料も一定。
◇初めての人には「壁」が高いという側面も
(気心知れた仲間内での学習ではない)
三。労働学校の具体的活動―総合力が問われる。技術交流が大事。
【曜日や時間帯の設定、会場の確保】
◇平日夜か。土曜日などにするか。スタート時間は。終了時間は。
連続的に使える会場の確保。会場費の高低。駐車場はアクセスは。
きれいか。学びやすい環境か。
【カリキュラムの設定と講師選定】
◇カリキュラムは生命線。何回のカリキュラムか。系統性重視か、
単発型か。テキストの有無。おもしろそうか。労働学校でしか
できない学びか。どのようにカリキュラムを決めるか。講師の
確保と選定。講師との内容打ち合わせ。講師の力量はとても大事。
【開催時のタイムスケジュールや運営の工夫】
◇講義時間は何分か。討論時間は何分か。受講生が参画できる
工夫はあるか。ニュースは発行されているか。どのようなニュースか。
開始前や終了後の交流などは。岡山労働学校では開始前や休憩時に
音楽をかけている。グループ討論はどのようにすすめているか。
グループ分けは固定か、毎回違うか、主催者が決めているか。
感想文用紙はどのようなものか。感想を受講生と共有しているか
(ニュースなどで)。
【受講生どうしの交流がすすむ仕掛けや工夫】
◇交流の時間や機会をどうつくっているか。岡山では1回目は交流
メインにしている。グループ討論の進め方は。コンパや学習旅行
やフィールドワークは。終了後の夕食交流会などは。岡山では
講義前の15分間、受講生によるワンポイント講座をしている。
【募集・宣伝活動】
◇開校のどのくらい前にチラシができて宣伝活動に入っているか。
チラシは誰がつくっているか。洗練されたものになっているか。
チラシの配布先は。労働組合への要請活動は。ネットでの宣伝
は(とくにSNS)。1対1の対話がどれだけできているか。
募集を推進するための会議をしているか。対象者名簿はあるか。
協力者を広げられているか。
【運営委員会(学校の主体者)の確保と成長、集団づくり】
◇募集でも労働学校の運営活動でも核になるのが運営委員会
(チューター団)。運営委員のリクルート方法は。成長をどのよ
うに保障しているか。会議の頻度は。運営委員会の団結を強め
られているか。つねに入れ替わりがあるなかで継続的に確保す
るという難しさ。
■することは山ほどある。どの活動もレベルアップ必要。しかし
活動「技術」の交流機会が少ない。カリキュラム問題でも相当
な議論と交流が必要。知識重視の問い直しも課題。学習運動の
全国的な連携の弱さがある。労働者教育協会のイニシアチブも必要。
さいごに:運動を組織する側の喜びややりがい
◇人が変わることに出くわす。その手助けに関われる。
自分も変化する。
◇さまざまな力がつく。働きかける側は、働きかけられる側
以上に学ぶ。