きのう(24日)の夜は、倉敷医療生協労組で
「超入門!ろうどうくみあい講座」(月1回・全10回)の
第1回目「労働者って誰のこと?」の学習会でした。
若い組合員中心に12名が参加(1年目おおし!新鮮!)。
私の講義のあと、感想交流。
みなさん率直な感想を語られ、こちらも元気に。
次回は3月25日に「労働時間とはなにか」で学びます。
今後がとっても楽しみな学習会です。
以下、講義の概要です。
はじめに:この講座の目的
労働組合のことは、学校では教えてくれない
労働組合は「ある」ことがあたり前ではない。
一。資本主義の「生産活動」のあり方
◇人間が生きていくためには…ものをつくりだす活動が土台
◇ほとんどの労働生産物が「商品」という形で現われる社会。
◇つくる=生産活動の大部分は雇用関係で成りたつ。
*雇う人(生産手段をもつ資本家=経営者)と雇われる人(労働力を売る労働者)
二。労働力を売るしか生きる道がないのが労働者
1。労働力という「商品」を時間決めで売っているのが「労働者」
◇「労働」は、生産手段(土地、建物、機械、原材料など)と労働力との結合
*“労働力”とは、労働者の体に備わっている、身体的精神的エネルギー・
働く能力の総体のこと。労働者が売っているのは、「労働」ではなく「労働力」。
2。自分の労働力以外に、「売るものありません!」=労働者という存在
◇「はたらく人」=「労働者」ではありません。
◇お金の手に入れ方の違い
自宅では基本的に働けない人。雇われ組。生産手段のもとに出勤する人。
*資本主義社会における労働者という存在
・「身分的・人格的自由」「生産手段からの自由(失業・貧困の自由)」の
二重の意味での自由。
*自分の労働力を売らなくても、ずーっと食べていける人
(お金に困らない人)は、労働者ではない。財産があるとか。
三。労働力商品の再生産-安売りNO!酷使NO!そのためには…
1。労働力を売り続けなければいきていけないのが労働者(背負わされた宿命)
◇明日も、あさっても、1週間後も、来月も、来年も・・・40年前後!
このサイクルがずっと続く・・・
*労働力商品は、自分の生命活動と一体化。
かけがえのない唯一の「売り物」。
*適切に労働力を長持ちさせ、再生産できる「働き方」でなければならない。
*「労働力の安売り=命の安売り」「労働力の酷使=命の酷使」
*労働法(働くルール)がある根本的理由。健康であることの資本主義的意味。
*憲法25条の「健康で文化的な生活」の視点で考える。
・「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を
充たすべきものでなければならない」(労働基準法1条)
2。じっさいの雇用契約は対等でない―競争をどのように制限するのか
◇圧倒的に立場が強いのは「雇う側」
*生産手段をもっている資本家は、雇用する側(選ぶ側)であり、
雇われる側の競争環境を利用し、圧倒的に強い立場に。労働者と
資本家は経済力の不均衡が存在する。「対等平等な契約」はない。
お金を持っていれば、持久戦に持ち込める。
◇日本の労働者の状態
*雇われ組5200万人
◇もの言えぬ立場に―競争を制限する仕組み(脱貧困への道)の必要性
*日本の労働者の賃金依存率の高さ(ローン・教育費・家族の養い)。
*働かなければ食べていけない宿命。失業すればあっというまに降参。
*労働者間の競争圧力を緩和する仕組み
・失業する権利(劣悪な労働を拒否する権利)ー失業時の所得保障の充実
・競争を緩和する仕組み。労働運動の広がりと前進。社会保障の構築。
・労働市場における規制(働くルール)の強化(政治変革)
◇労働者として生きていく覚悟
*自分の労働力を大切にする
(自己責任でなく制度的・法律的・組織的に保障する)
*おなじ「宿命」を背負わされた労働者階級と生きる。団結をひろげる。
以上。
参加者の特徴的な感想です。
◆今まで労働者が弱い立場なのは雇われる立場なので
当然だと思っていたが、1人1人の生活の質を高めるため
には権利を主張していく必要があると感じた。・・・労働組合
の活動がとても重要になってくる。(20代・女性)
◆とりあえず、ただただ働くことに疑問をもつことがあまり
なかったので、物事1つ1つ考えることが必要だと思いました。
労働のサイクルを充実させていくためにも、学習会への参加を
続けたいと思います。人らしく生活をおくるための活動、少し
ずつでも取り組みたいです。(20代・女性)
◆今まで、労働力が売り物だという考え方をしたことがなかった
ので、新鮮な感覚を覚えました。自分自身の唯一の売り物で
ある労働力の価値を維持、高めるために、労働組合活動を
継続していくことの必要性を感じました。(20代・男性)
◆途中からでしたが、労働者のおかれている現状について学ぶ
ことができ、勉強になりました。働くルールについて、改めて重要
だと思いました。(20代・男性)
◆ある国で『知っている日本語は?』と質問すると、『カロウシ』
(過労死)であった。本日の講義を整理すると納得する部分が
あると感じた。(20代・男性)
◆労働者みーんなに共通する一致点で団結をひろげるっていう
のは、すごく分かりやすいキャッチフレーズ(考え方)だと感じまし
た!!(20代・男性)
◆労働についてあまり考えたことがなかったですが、話を聞いて、
労働者は労働力を売って生活していかないといけない状況である
ことがよくわかった。(20代・女性)
◆労働力商品の再生産という言葉を初めてきいて、もっと体を大切に
していかないとだめだなあと思った。正規と非正規の割合がほぼ同じ
になってきていて、今後どうなるんだろうと思った。(20代・男性)
◆医療・介護の現場では、長時間・過密労働が常態化しており、
労働力を再生産するまもなく、日々疲労が蓄積されていき、辞めて
いく仲間が後をたたない。いい仕事をしていくためにも、要求をしっ
かり出していくことが大切。若い人たちの新鮮な感想に励まされま
した。(書記長の感想)