昨夜(12日)の岡山労働学校第5講義、
「資本とは何か、賃金とは何か」の
労働力商品の再生産のところのレジュメを
そのままはっつけます。
三。労働力商品の適切な再生産のために
1。労働力も商品ということは…
◇他の商品と同じように、「使用価値」と「価値」がある。
そして、価値の大きさは、
「労働力の生産に社会的に必要な労働時間の大きさによって決まる」
*労働力の生産とは?
*労働力は、労働者の身体に備わっているエネルギーの総体。
それを生産するとは?
◇生活のなかで、労働力エネルギーは再生される。
*人間らしい生活ができてはじめて、労働力の適切な再生産が可能
*つまり労働力の生産に必要な労働時間の大きさとは、人間らしい
労働力の再生産のための「生活諸費用」となる。それが労働力
商品の価値の大きさ。
*労働力の対価としての賃金=人間らしい生活費。その「価値の
大きさ」を基礎に、売買がされる。ではそれは、現代日本では
いくらぐらいでしょう?(要討論)
*適切に労働力を長持ちさせ、再生産できる「働き方」でなければ
ならない。
*基本は40年ぐらい、生活のために売り続ける。背負わされた宿命。
*「労働力の安売り=命の安売り」「労働力の酷使=命の酷使」
*労働法(働くルール)がある根本的理由。健康であることの
資本主義的意味。
・「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を
充たすべきものでなければならない」(労働基準法1条)
2。労働力の価値(賃金)の3つの要素
①労働力の所有者である労働者本人の生活費。
②家族の生活費。養育費。
*労働者は、いつかは寿命がつきたり、老齢となって労働する
ことができなくなります。しかし、労働力はたえず市場に補充
されなければなりません。そのためには、次の労働者を育てる
ことが必要だからです。
③知識・技能・熟練に必要な養成費。
*特定の知識や技術や熟練を身につけるために支出される養成費も
必要です。
☆注意!
労働力の価値どおりに賃金が支払われても、資本家は価値を増やす!
◇資本家は、等価交換をつうじて、合法的に価値を増やす。
◇搾取、というものがキーワード。資本は搾取を追求する「怪物」です。
◇そのしくみを、マルクスは解明しました(次週解説)
3。実際の賃金形態が、賃金の本質(労働力の適切な再生産費)を隠す
◇働いた結果(労働の対価)のように「見える」
*労働者の賃金はたいていの場合、月末払い。つまり後払い。
私たちが多く体験する商品売買(前払い)と違う。働いた
結果にたいして支払われるように見える。
*パート労働者は「時間給」→何時間働いたかによって賃金が決まる。
*成果主義賃金→どれだけ働いたか、成果があがったかで賃金が決まる。
*こういう体験を通じて、どれだけ働いたか=賃金の大きさという
観念ができあがる。「労働の価格」のように見える。
◇雇用形態により賃金差別、さまざまな賃金形態
*「賃金=生活費」からかい離する
4。労働力の安売り市場になっている日本
◇労働力の価値どおりに賃金が払われていないのが日本の現実。
*安く買い叩かれている状態。競争環境が野放しに。
◇圧倒的に資本家(雇う側)の立場が強い
*4割となった非正規労働者、派遣労働の自由化、所得保障が
されない失業者…
*生産手段をもっている資本家は、雇用する側(選ぶ側)であり、
雇われる側の競争環境を利用し、圧倒的に強い立場に。本当は
労働者に依存しているのに脅せる。
*労働契約は自由契約にまかせておいてはダメな分野
(労働法の強化が必要)
◇さらに、社会保障や税金で再収奪されている
(賃金額だけ見ていては不十分)
*賃金-社会保険料-税金+社会保障給付
*賃金が増えても、税金の増で「ゆとり」減。
社会保険料増でも「ゆとり」減。
*社会保障や福祉(教育・医療・保育・介護など)の充実で支出減。
◇競争を制限する仕組みの必要性
*日本の労働者の賃金依存率の高さ(ローン・教育費・家族の養い)を
なんとかする。
*労働者間の競争圧力を緩和する仕組みを
・社会保障の充実により「生活不安」を軽減する
(もの言える労働者に)
・失業する権利(劣悪な労働を拒否する権利)
ー失業時の所得保障で安売り阻止
・交渉力を強める―労働組合の拡大強化(団体交渉・ストライキ
・労働市場における規制強化(政治変革)
-派遣労働禁止、最賃大幅引き上げなど
さいごに:労働者として生きていく覚悟(学ばないと見えてこない)
*自分の労働力を大切にする
(自己責任でなく制度的・法律的・組織的に保障する)
*おなじ「宿命」を背負わされた「雇われ組」と手をつなぐ。
団結をひろげる。