最近読み終えた本。
『子どもの貧困Ⅱ-解決策を考える』(阿部彩、岩波新書、2014年1月)
半分以上は「政策集」ともいうべき異色の内容。
ちょっと違和感あるところもあるけど、
欧米の貧困解決のための政策をふまえた提言。
子どもの貧困はまっさきに無くさないといけないもの。
その情熱が伝わってくる。
以下、メモ。
「人生の中で、最も貧困リスクが高い時期が子ども期である、
という現象が起こってきているのである。これは由々しき問題
である。なぜなら、子ども期の貧困は、その後の人生に深い
爪痕を残すからである。貧困状況に育った子どもは、学力や
学歴が低いリスク、健康状態が悪いリスク、大人となっても
貧困であるリスクが、そうでない子どもに比べて高い。統計的
には、子ども期の貧困は、成人となってからの賃金や生産性も
低くするので、社会経済全体にも大きな損失となる」(9P)
「貧困であることは、『生活に必要なお金が足りない』という
ような物質的な困窮、『来月の家賃が払えるか』というような
生活の不安・不安定さのみでなく、『負け組』であることに
よる心理的ストレスも加わったダブルパンチ、トリプルパンチを
受けている状況なのである」(20P)
「『文化資本』とは、家庭内に存在する『文化』のことを指す。
著名なフランスの社会学者のピエール・ブルデューは、立ち
振る舞いや、しゃべり方など家庭の中に存在する文化的な
『資本』が、職を得たり、人間関係を構築するうえで重要な
役割を果たすことを指摘したのち、その『文化資本』が家庭に
よって異なるとした」(50P)
「家庭内に存在する本の質や量、音楽・美術などの文化の
多寡に着目する学説もある。家の本棚に文学全集がそろって
おり、新聞や雑誌が当たり前のようにある家庭と、そのような
ものがまったくない家庭においては、子どもが受ける刺激にも
差が出てくる。…逆に、家の中にこのような文化資本が少ない
中で育った子どもは、文化やアートに興味をもちにくいと
考えられている」(50~51P)
「勉強に対する意欲がもてないことの背景として、貧困層の
子どもは自分自身の将来について明るい見通しをもって
いないことがあげられる」(60P)
『秘密保護法はすぐ廃止へ!』
(仁比聡平、日本機関紙出版センター、2014年2月)
昨年12月6日参議院本会議。
秘密保護法案に唯一の反対討論に立った共産党の
仁比参議院議員(弁護士)。
その1週間後の講演をまとめたブックレット(500円)。
社民党の福島さんに声をかけられたエピソードとか、
いろいろ面白い。
そして、仁比さんの情熱ほとばしる!
『お笑い沖縄ガイドー貧乏芸人のうちなーリポート』
(小波津正光、NHK出版生活人新書、2009年)
著者は「お笑い米軍基地」で注目を
あびた沖縄のお笑い芸人さん。
ぷぷぷと笑いながら読める。
飾らない、素の沖縄が伝わるとともに、
ヤマトにはない独特の「強さ」を感じた。
『命の入口 心の出口』
(西日本新聞ブックレット、西日本新聞社「食くらし」取材班、2010年)
噛むことは、生きること。ふむ。
噛むことの大切さは広く言われているけど、
大事さをあらためて認識。
以下、メモ。
「現代人の咀嚼回数は弥生時代の6分の1、食事時間は
5分の1に激減。戦前と比べても、それぞれ半分以下に
減っている」(8P)
「わが子への関心の欠如は、如実に口にあらわれる」
「米国では歯科医師が、虐待を最初に把握するという。
口の中に過去が見える。まさに歯は、人生の履歴書。
だから皆さんには、子どもたちの口の中をよーく見て
ほしいんです」(26P)
「今はいかに健康で長生きするかがテーマ。そのポイント
の1つが唾液だ。昔から、『よだれの多い子は育つ』『唾液の
多い人は長生きする』という言い伝えがあるように、唾液には
さまざまな効能がある。唾液に30秒浸せば、発がん物質の
発がん作用も激減する」(87P)
「よく噛みなさい、と言うよりも、噛まねばならない食事を
出すこと」(95P)