長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

県労おかやまの常任幹事会で連続基礎学習会開始

昨夜は県労おかやま(岡山市内の労働組合の共闘センター。全労連系)の
常任幹事会で講師。第1回目「労働者って誰のこと?」。

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これから月イチ全9回(~11月)で労働組合の
基礎的学習(20分講義+10分議論)を毎回の常任幹事会でしていきます。
前段学習なので時間は限られますが。

常任幹事会って、組合の幹部のみなさんが集まる場。
もそもそも論を話して議論します。
そういう問題意識をもっている、ということです(おたがい)。

昨夜の議論も参考になったし、今後に活かしていきたい
あわせて、労働組合の多面的・社会的役割をどうみんなのものに
していくのか、しっかり議論したいと思います。
こういう場をつくっていただき感謝です(*_*)


以下、昨夜の20分講義のレジュメです。

一。なぜそもそも論が必要なのか
 1。労働組合への認識が「ない」「部分的」な人がほとんど
  ◇認識をつくっていく過程。自分の経験、他者の姿や行動。
   学校教育、マスコミなど。
   *まわりに労働組合の活動をしている人が「たまたま」いるかどうか
   *学校教育やマスコミの現状では、「労働組合へのたしかな認識」が
    つくれない
  ◇職場でも「いまの姿」しか見えない。先輩たちの歴史は学ば
   ないとわからない。
   *人間は部分でだいたいの判断をする。しかし部分だけで判断すると
    間違えやすい。
  ◇活動には自分の時間をつかう。生活時間・自分の時間とぶつかる。
   時間の天秤。
   *労働組合への認識を広げ深めないと、主体的に活動参加する人は
    増えていかない。

    「労働組合ってなんのためにあるの?」
             ―人間らしい(ゆとりのある)生活のため。
    「労働条件ってどうやってきまるの?」
             ―ひとりで交渉は無理。みんなで交渉する。
    「労働組合の歴史は?」
       ―イギリスから始まり世界中に。200年以上の先輩たちの歴史。
    「労働組合の社会的役割は?」
          ―ひとりも見捨てない社会つくる。人権守るなんでも屋。
    「労働法についてどれだけ知っている?」
              ―使用者が守らないといけないルールの数々。

 2。そもそも論を大事にする
  ◇「そもそも」とは? → 「問題となる事柄を論じるのに先立って、
   その根源にさかのぼって事を説き起こす様子」
                (三省堂『新明解 国語辞典』第7版)
   *そもそも労働組合とは、働くとは、労働者とは、賃金とは、
    労働時間とは、労働法とは、団結とは、人権とは・・・。立ち返る。
    くりかえしが自信に。自分の立ち位置確認。

二。決定的に大事な認識は「自分は労働者だ」ということが「わかる」こと
 
1。労働者って誰のこと?
  ◇「わかる」とは
   *「確信の持てる(客観性のある)判断が下せる状態になる」こと
   (『新明解国語辞典』)。
   *「労働者」は社会科学の概念。経験だけではわからない科学的な
    ものの見方。そうした認識は、「行動」のあり方も変える力に。
  ◇労働者とは「雇われて働く人」「雇われないと生活困る人」
   (生産手段なし。財産なし)
  ◇ほとんどの人は所得を得るために働く。「働く形」は大きくいって3つ。
   ①自営業で働く(600万人)、②農林漁業で働く(200万人)
    ←雇用関係なし組
    *自分の「働き方」を決める裁量は自分にある
   ③誰かに雇われて働く(5200万人)←雇われ組(労働者階級)
    *使用者と労働契約。時間を決めて働く(これがないと奴隷に。
     雇用関係は人的従属性が強い)。
     ・「労働者とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払わ
      れる者」(労働契約法2条)
    *自分の働く力(労働力)を販売。
     対価として賃金=よりよく生きるための生活費。
     ・「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を
      充たすべきものでなければならない」(労働基準法第1条)

 2。労働条件というのは、生活(ときには人生)と働き方(働きやすさ)を
   左右する
  ◇いくら賃金をもらうか、働く時間はどれぐらいか、自分の希望する
   日に休めるか・・・。
  ◇休憩時間、仕事量、残業代、職場環境、配置転換、安全衛生、
   有給休暇、研修機会・・・。
  ◇職場内における正規・非正規の割合・・・
  ◇職場にハラスメントはないか、差別はないか、ものが言える
   雰囲気があるか・・・。
  ◇妊娠・出産・育児にさいして、安心して休暇を取ることができるか。
  ◇きちんとした人員がいて、民主的な風土があってこそ、
   いい仕事もできる。

   ■労働基準法第2条「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場に
   おいて決定すべきものである」。ただじっさいは、労働条件を決め
   る力(先に提示できる力)は、使用者が持っている。雇用形態、
   人事権も使用者に決定力。
   ■生活に直結する労働条件について、労働者はひとりで交渉
    (条件提示すること)できない。 

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 3。みんなで交渉する。みんなで職場と政治を変える。
  「自分さえよければ」とならない。
  ◇そのためには、「労働者の立場」ということを客観的に認識する
   必要がある。
  ◇「みんなで交渉」「使用者が譲歩しなければみんなでいっせいに
   仕事拒否」
   *雇われ組の先輩たちはこうした「たたかい方」を生み出し発展
    させてきた。
   *団体交渉とストライキを支えるのが労働組合。日常的に
    「みんなの力」を束ね強くする。
   *「人たるに値する生活」実現にはこれしかない。だから人権
    として獲得。労働基本権。
  ◇憲法28条をつかう。労働者らしい生き方。

 4。組合員学習の基本は「労働者とは」「労働組合とは」を徹底的に
  くり返すこと
  ◇くり返さないと「自分のもの」にならない。スポーツの
   「基礎練習」と同じ。
  ◇労働組合活動の基礎的力を地道につける