長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

ソワニエ読書日記で紹介ー『さくらのとんねる』

さきほどのソワニエ看護専門学校の授業の冒頭で、
この本を紹介しました。

『さくらのとんねる 二十歳のえみる』(風見しんご、青志社、2016年4月)

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 風見さんは9年前、愛娘を交通事故で突然亡くされました。
とんでもない苦しみと絶望的な悲しみ。その回想と歩みが綴
られています。第1章の「えみるがいた日々」はボロボロ泣
きながら読みました。こどもがある日突然いなくなる悲しみ
は決して癒えません。遺族の心持ちが素直に語られています。
 そして
、残された人のなかでは「生きている」のです。記
憶の中や、さまざまな形で亡くなっ人を身近に感じながら日
常を送っています。けっして忘れません。それはとても大切
で、尊い感覚だと感じます。
 交通事故死はいまだ年間4000人をこえています。突然大切
な人を失う悲嘆、その痛みへの謙虚さ、グリーフケアなどに
ついても、以下の風見さんの言葉も紹介しながら、少しコメ
ントしました。学生さんの反応も、とても強いものがありま
した。

 
「『時が解決してくれる』というのも、時間が経てば忘れ
るからという単純な意味ではなく、時間をかけて少しずつ自
分たちで心の立ち位置を変えて、悲しみに対処する術を覚え
ていくという意味なのだと思う。決して時間と共に悲しみが
自動的に減ってくれるなんてことはなく、ただ、それとどう
向き合っていくかを、人それぞれが時の中で見つけ、学んで
いくことなんだと思う」

 「悲しみを越えるなんて言うけれど、越えるというよりも、
今まで知らなかった感情と出会い、戸惑いながらも、時間と
ともに折り合いをつける方法を自分なりに見つけてゆくしか
ないのだと思う」