長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

相変わらずの乱読とソワニエ読書日記

最近読んだ本。
ソワニエの授業が始まり、
そちら関連の本が多くなっています。


『ソウルの市民民主主義~日本の政治を変えるために』
(白石孝編著・朴元淳ほか著、コモンズ、2018年3月)

f:id:benkaku:20180416115626j:plain

韓国が熱い。ソウルが熱い。
そして読むものの胸も熱くなる。そんな本。

韓国でも政治の腐敗が。でも一人ひとりの市民が、
キャンドルを手に広場に集まり、毎週デモをした。
そして生まれた文政権。
朝鮮半島情勢を劇的に動かし続けている
政治を生み出したのは、市民の運動。

その運動の中心になった首都ソウル。
その市長が、これまた感動的にすばらしい政策を
市民とともに作り上げている。そのことを詳細に紹介。
ソウル市長の講演記録もある。

労働者を、「労働者とともに、生活している市民」
としてとらえ、生活まるごとをサポートしていく
自治体のありかた。うらやましくなると同時に、
学びあえる隣国の存在に、
やっぱり気持ちが熱くなる。

日本の運動の根本的リニューアルの
必要を再認識すると同時に、こんな近くに、
モデルになりうる政治運動・市民運動が
力強く育っていることに感謝。韓国から学ぼう!


『資本論 原作マルクス』(講談社まんが学術文庫、2018年4月)

f:id:benkaku:20180519134839j:plain

なんでも漫画にしちゃう日本。
まあ本作には、労働者のための労作である資本論という
視点はまるでないけど。説明も雑。
でも、資本というものが、いかに人間を狂わせる
魔物になるかというのはビビッと伝わる。


『憲法の良識~「国のかたち」を壊さない仕組み』
          (長谷部恭男、朝日新書、2018年4月)

f:id:benkaku:20180519134853j:plain

長谷部さんの憲法観は独特で、なかなか新鮮。
安倍政権の改憲問題は、かなりぶったぎってます。


『医者が妻を看取る~夫婦でがんと闘った3年10ヵ月の記録』
          (小野寺久、中央公論新社、2017年)

f:id:benkaku:20180423110454j:plain

ソワニエ看護専門学校で紹介する今年度1冊目。
消化器がんが専門の医師の妻が大腸がんに。
闘病の記録を詳細に日記に。
おふたりの気高い生き方が随所に。しかし、がんは辛い。
最後は涙でした。


『ディア・ペイシェント』(南杏子、幻冬舎、2018年1月)

f:id:benkaku:20180425160755j:plain

ソワニエ読書日記2冊目。役医師による医療小説。
なにかと病院や医師に無理強いや攻撃を加える
「モンスターペイシェント」が軸。
現在の医療のさまざまな矛盾のなか揺れ動く女性医師を描く。
読みやすく、展開にも無理がなかった。


『いのちをつなぐ~移りし刻を生きた人とともに』
         (川嶋みどり、看護の科学社、2018年1月)

f:id:benkaku:20180511131817j:plain

ソワニエ読書日記3冊目。
自らの死を身近に感じてきた1931年生まれの著者。
ともに生き協同してきた人びとの死と生を看護の視点を軸に語る。
看護の本質を考えながら。「先手のケア」の言葉が印象的。


『マンガ 親が終活をしくじりまして』(寝猫、三五館、2017年)

f:id:benkaku:20180517101041j:plain

ソワニエ読書日記4冊目。
漫画家である著者の母親がお正月に突然死。
その実際にあったドタバタなエピソードをもとに、
コミカルに「終活問題」を漫画で伝えています。

お葬式はてんやわんやで悲しむヒマなし。
残された家族に自分の基本情報をどれだけ
伝えているか。財産管理、延命治療についての考え、
希望の埋葬法。遺産や相続、お墓のこと・・・。
死んだあとの始末まで考えないといけない現代社会は大変。

最後の終わり方がちょっと雑な印象でしたが、
考えさせられることも多く、「いまをどう生きるか」を
問い直す助けにもなる1冊です。


『マルクス「資本論」の方法と大混迷の世界経済』
          (工藤晃、かもがわ出版、2018年5月)

f:id:benkaku:20180519134826j:plain

第1章『資本論』の方法への覚え書き、
第2章大混迷の世界経済―リーマンショック後のトランプ現象の流れ、
第3章多国籍企業の税金逃れ、という内容。
分量少な目。今年92歳になる著者の意欲に脱帽です。