最近読み終えた本。
『「高学歴ワーキングプア」からの脱出』(水月昭道、光文社新書、2020年5月)
この問題に興味があったというより、
『子どもの道くさ』の著者の本、ということで手に取った。
軽妙なタッチで書かれてはいるが、
いやはや、たいへんな世界である。
巻末にはバッタ研究者の前野氏との対談。
『韓国市民運動に学ぶー政権を交代させた強力な市民運動』
(宇都宮健児、花伝社、2020年2月)
韓国市民運動の発展は目覚ましい。羨ましい。
その入門書になっていると同時に、
こんな交流と実践をしてきた宇都宮さんこそ、
東京のリーダーにふさわしいと心底思う。選挙は残念だったが。
『ナニワ・モンスター』(海堂尊、新潮文庫、2014年)
小説。前半はパンデミックの予見として感嘆しながら読んだけど、
後半はイマイチ。
『居住福祉の世界~早川和男対談集』
(居住福祉ブックレット16、東信堂、2009年)
再読。1回目読んだのは10年前。
住まいは人権であることを定着させようとした
早川さんの功績は大きい。しかし現実はいまだ変わらず。
『世界の借家人運動~あなたは住まいのセーフティネットを信じられますか?』
(高島一夫、東信堂、2007年)
居住福祉ブックレット13。
世界の人民はより良く住むために、組織をつくり、たたかっている。
「借家人を持家の下のように見る『居住差別』の
風潮が社会に蔓延している」はまさに。
『コロナの時代の僕ら』
(パオロ・ジョルダーノ、飯田亮介訳、早川書房、2020年4月)
感染爆発のイタリアで作家は何を見、考えたのか。
珠玉のエッセイ。
「もしも、僕たちがあえて今から、元に戻ってほしくない
ことについて考えない限りは、そうなってしまうはずだ」
忘れずに考えたい。
『すまいの思想』(西川夘三、創元新書、1974年)
ぼくの生まれたトシの出版…ということで、
内容は、もうかなり古い。大部分斜め読みだった。
ただ古いながらも、人間にふさわしい居住というものを
考える立場性はやはり新鮮。ここでも資本との対決が必要。
住まいは人権。
『住宅問題と労働運動』(早川和男・角橋徹也編著、都市文化社、1985年)
35年前だから、古くなっている認識や政策はある。
しかし、「労働組合は賃上げばかり熱心で住宅問題にはほとんど無関心」
の指摘は今も痛い。いろいろ考えるところ盛りだくさんな1冊であった。
やはり、住まいは人権である。
『住まいと家具の文化』(中村圭介・日方一城、寺子屋新書、2004年)
書庫で別の本を探していたら発見。16年前に買っていた自分エライ。
中身も読みやすく、「住まいは人権」での締め方もよし。
しかしこのテーマ、ほんとうに様々な角度から深められますね。
本書は家具論が光る。
『住まい方の思想~私の場をいかにつくるか』
(渡辺武信、中公新書、1983年)
たいへん面白かった。
まず、玄関とはそもそも何か、で目からウロコが落ち、
居間、食堂、厨房、寝室…と続いていく。
一軒家の話だし、ジェンダー部分もあるけど、
それ差し引いても、名著である。建築は思想だ。
『いのちの停車場』(南杏子、幻冬舎、2020年5月)
大学病院の救命救急センターを辞め、父のいる金沢で
在宅医療に悪戦苦闘するドクターの物語。
著者もドクターで、既存作品『サイレント・ブレス』
『ディア・ペイシェント』もお薦め。
この小説も著者の医療・死生観が出ていてジンとくる。
『死体は語る』(上野正彦、文春文庫、2001年)
文庫になる前のハードカバーが85刷・累計60万部という大ベストセラー。
うなずける。異常死体の話だけれど、これがすこぶる面白い。
1話1話がショートショートの物語のよう。人間ドラマ。
「死者の人権を守る」という著者の気概も素晴らしい。