7月2日(木)の学習会報告です。
ほんとうに久しぶりのリアル学習会で、
参加者も主催者も、集まれることを喜びあえたような、
やわらかい雰囲気。25人の参加でした。
講義レジュメは10ページにもなり、
大づかみ的な話になってしまいました。
例えば「個室」登場の意味とか、
ジェンダー視点で住居の変遷をみるとか、
欧米の住宅運動の詳細とか、面白い話がいっぱいあるのですが、
ほぼ話せませんでした。
おまかな内容は、以下です。
一。“住む”をそもそもから考える
1。“すむ”とは
◇住まいの多様性と、本質的機能
◇気候・建築材料・構造
◇住居は大きく、形が目につきやすいため、住み手の生活を
表現する手段にもなる。
2。住宅の「型」をとらえる5つの視点
①住宅の種類、②所有関係、③住居形式、④地域、⑤階層。
【長久の住宅個人史】
3。「居住」を重層的にとらえる
◇「部屋(居室)」「住宅」「居住環境」「コミュニティ」
4。住まいの意味論
二。資本主義社会と住宅問題】
1。居住格差、居住の貧困
◇「買う」ものとしての住まい―買う力の格差が住まいの格差に
◇狭小・過密住宅
◇家計を破壊する住居費
◇職住分離
◇会社所有の住宅
◇戦後日本の住宅政策のポイント
2。住まいを失う人々
◇ホームレス
3。コロナ禍のなかで
三。居住福祉社会をつくるために】
1。住まいは人権
◇『居住の権利』の発見
(『居住福祉学と人間』から、熊野勝之弁護士の記述)
◇人権とは、「人である」というだけで無条件に保障される
自由や権利のこと。
2。欧米では、「人間らしい住まい」を闘いとってきている歴史がある。
3。人権を守り実現するのは、1人ひとりの当事者
◇今の状況を「あたりまえ」と思わない。相対化する。問いをもつ。
学ぶこと。
さいごに:「住む主体」としての成長と民主主義。
【資料:東京都知事選挙の、宇都宮けんじ候補の政策から】
以上。
講義後、4グループに分かれての感想交流。
それぞれの経験や問題意識が出されて、
どこも話がつきないようでありました。
参加者の感想文の半分ほどを紹介します。
■今まで住まいとは何かを考えたことがなかったので、
とても刺激になりました。前職では寝に帰るだけの
生活で人間らしい生活を送れていなかったなと感じ、
今後の生活をあらためてよく考えていきたいなと思いました。
■豊かに生きるために住まいはとても大切だとあら
ためて考えていたタイミングで、集まってみなさんと
話ができて楽しかったです。住まいは権利なので、
政治に求めていくことが必要だということも認識できました。
■「住む」を改めて考えてみると日本人は住まいに
関してあまり深く考えていないことが、よくわかりました。
欧米のような住まいに対する考え方がいいなあ…。
住まい、住まうということにも、豊かさを求めて、
権利ということも、もっと意識したいと思います。
■住宅が福祉政策として位置づけられていたら、もっと
豊かな人生が送れる人がずいぶん大勢いるだろう。
若者だけでなく、配偶者と別れたくても住宅問題で
別れられない人も第2の人生が歩めるようになる。
「住宅は人権」。認知症の人も病院の大部屋のような
施設ではなく、一戸建ての家で老後が過ごせることを
保障する。老後の不安もなくなるだろう。あぁ素敵。
そのためにもたたかおう、政治を変えよう、元気を
出そうと思えた。
■社会観としての住居というものを考えることができた。
政治としての住居という考え方を知ることができた。
グループ交流も難しい話ではなく身近なことから話せ
たので、ゆったりできた感がある。深く考えたり話し
あったり、なかなか人には言えないことだったりを
聞いたり話したりできて、良い機会となりました。
ありがとうございました。
■劣悪な住宅は健康を害するということは、そうだなぁ
と感じました。今日の講義を聞いて、映画「マイケル
ムーアの世界侵略のススメ」を思い出しました。その
映画の中では犯罪を犯した受刑者にも一軒家が与えら
れる国(ヨーロッパの国だったと思います)があり、
それを考えると根本的な部分から住宅や住む・暮らす
ということについての考え方がちがうんだなぁと思いました。
■資本主義の中では、家も「商品」になっている、もう
かるかどうかになっているところにハッとしました。
ハウジング・ファースト、カタカナ語はあまりいい
イメージがなかったけれど、これはいいと思った。
何ごとも、まず人権から考えることの大切さを改めて
感じる講義でした。ありがとうございました。
■人権連の運動の発端は地域の住宅建設闘争です。劣悪
な住環境を強いられてきた住民が、「住居は私たちの権利」
だと声をあげ、県営・市営などの公的住宅はかち取って
きました。それが約60年前。今でも行政懇談(交渉)で
要望する主な重点項目に、住まいや地域環境に関するもの
が多くあります。今回の学習会でも、日本の住宅政策の
考え方がほんとにズサンであることを改めて感じました。
「人間が人間にふさわしい生活をするために、人間にふさ
わしい空間が保障されなければならない」。この言葉の
意味をもっと多くの方に知ってほしいです。
■長久さんの住宅個人史から話を聞きました。「住宅個人史」
って面白いなって個人的に思いました。災害で元々住んで
いた家を突然失った人が仮設住宅に住むというのは非常に
ストレスだと思うんですが、阪神大震災で大勢の被災者が
孤独死や自殺をしたというのを聞いて、とてもいたたまれ
ない気持ちになりました。でも、いま自分も元住んでいた
家に住めなくて、動物を飼えなかったり周りに知り合いが
いなくなる寂しさや、環境の違いに大変ストレスを感じて
いるので、わかるなあと思いました。西欧の暮らしが面白い
というか、ちょっとうらやましく思いました。
■22歳の時、東京で2畳ほどの部屋に住んでいたので、
居住に関する快適さには想いが強いです。いろいろな人
との感想交流で学べることがあり、素敵な経験ができました。
「衣食住」この言葉の順番には意味があるのか? との意見
が心に残ってます。
■仕事上、色々な方のお宅へ訪問していますが、家の中を
見てどのような生活をしているのか、どのような方なのか
が見えてきます。生命の安全が保障されている住居に
住まれている方は、どれほどいるのだろうと考えさせられました。
■今の若者の中で起きていることに、驚いたことが1つあった。
生計費調査を、職員に依頼したところ、「うちのむすこは、
家賃を安くするために、友人とシェアしているのよー。
友人が寝ている時は家に帰らず、ネットカフェで過ごして
いるみたい(笑汗)」みたいに話されていて、“豚小屋”という
キーワードから、改めて現在も近いような現実があるのだと
感じました。こういう学習会で、改めて“住む”ということ、
“暮らす”“生きる”ということを考えるきっかけとなり、
大変良かったです。
■「住宅は人権」という言葉がしみた。生保の人は持ち家が
あったら申請できないというのは、人権という考えでは
ないからだと思った。「持ち家はぜいたく」という思想
なのだとあらためて認識した。若いころ、住宅ローンを
払っているから、簡単に仕事はやめられないでしょ? と
言われたことを思い出したり。今の住宅は、30年位で
ボロボロになる資本主義の使い捨て商品だなと…。宇都宮
けんじさんに都知事になってもらいたいなと心から思いました。