最近読み終えた本。
引き続き、ALSの闘病記を中心に読み進めています。
いずれも10年・20年・30年前の闘病記。
書いた患者のみなさんは、
2016年に読まれるとは思って書いていないでしょうが、
先人たちが書いてくれた書物がどれだけ
後の人の学びとなり、また励ましになるか。書き言葉は偉大です。
『やさしさの連鎖ー難病ALSと生きる』
(佐々木公一、ひとなる書房、2006年)
筋萎縮性側索硬化症を49歳で発症。
元労働組合の活動家というバックボーンを生かし、
難病患者の尊厳、社会的制度改善に全力で取り組んできた著者。
こうした方々のたたかいは次の患者へも引き継がれる。
『悪妻とのたたかいー神経難病ALSと共に』(松本茂、静山社、1995年)
日本ALS協会の設立当初から活動の先頭にたち、
2代目会長として全国の患者を励まし続けた著者。
主たる介護者である妻を「悪妻」とあえて言うが、
ふたりの固い絆と軽妙なやりとりは読むものの胸を強くうつ。
『「死」の育て方ー向きあうよりも並んでしまう』
(中沢正夫、情報センター出版局、1991年)
精神科医の著者が、死について
「私的関わりを通じて軽々しく語る」という内容。
が、やはり死について語ることは重さや悲嘆からは
逃れられないという印象。
でもさすが中沢医師という中身でした。
『翔べ、自由にー神経難病と共に』(篠原糸美、静山社、1990年)
3人のこどもをもつ母親である著者は28歳の若さでALSを発症。
わずかに動く足でワープロにうった日記と詩・俳句。
「私は、ほんになって、あなたのてのなかで、
いつまでも、いきつづけていたいのです」(あとがき)
『新訂版 筋肉はどこへ行った』(川合亮三、静山社、1987年)
旧版はさらに10年前の出版なので今から40年前のALS闘病記録。
病気に対する医療者の認識も、社会的認識も弱々しい。
もちろん患者会も社会的サポートもない。先人の闘病記もない。
だからこそ本書の意義は大きい。
『相模原事件とヘイトクライム』
(保坂展人、岩波ブックレット、2016年11月)
障害者は生きる価値がないとし
障害者施設の元職員が起こした戦後最悪の殺傷事件。
事件そのものよりは、事件後の社会的な波紋を注視し警鐘をならす。
ヘイトクライムや優生思想は日常に潜む。せめぎあい。
『ALSマニュアル決定版!Part2』
(月刊「難病と在宅ケア」編集部編集、日本プランニングセンター、2016年)
ALS患者とその家族、またケアをする側にとっても役立つ1冊。
それにしても、じつに多くの人がこの病気に関わり、
向きあい、たたかっている。人間ってすごいね。