事務所に今日、封筒が届いた。
2か月前(11月末)に講演に行った
民医連の近畿地協看護学生委員研修交流会の参加者感想文であった。
これだけ間があくと、逆に読む嬉しさが増すような。
約100人もの感想文どれもが、講演の受けとめを
それぞれの言葉で綴っていて、共感しながら読んだ。
主催者の方からは丁寧なお手紙と、
この研修会を総括した、会議報告文章も届いた。
その「講演についてのまとめ」が講義内容や
参加者のみなさんの反応を簡潔にまとめられていて、
ここに(勝手に)紹介したいと思う。
以下。
* * * * * * * * *
長久氏の講演は、資料とホワイトボードを使っての
1時間40分でしたが、大変わかりやすく興味深く、そし
て引き込まれるような内容でした。ご自身が看護学校で
「ものの見方・考え方」を講義することがきっかけで
看護について実にたくさんの文献を読まれ、感じたこと
やナイチンゲールに出会い、その言葉に感銘を受け、看
護に対する理解を深めていかれた様子から話が始まりま
した。また身近な方の入院経験から、「看護師が看護を
していない、タメ口、治療の説明のみ」、“患者さんを
スーパーの切り身の魚のように思って済ませているとこ
ろがある。ほんとは一匹の魚で、それぞれに泳いでいた
自然の海や川があったはず”(徳永進氏)という指摘は
参加者の胸にドンと響きました。ナイチンゲールの“新
しい年のくるたびに、私たちひとりひとりは、自分の
あり方を『棚おろし』して吟味してみようではありま
せんか”という言葉も非常に新鮮に受け止めることがで
きました。
民医連看護を支え・補強する「ものの見方」として、
①現象から本質へ、結果から原因へ、木も森もみると
いう認識を深める努力が必要であること、下流だけ見
ていてはダメ、上流を見ることは「生活と労働から疾
病をとらえる」とい民医連の看護に通ずること、②憲
法の人間観は、無条件の肯定、“命の価値は、何かの役
に立つことではなく、命をもって存在すること自体にあ
る”(伊藤真氏)。この人間観を看護に活かす、「ひと
りも見捨てない」「誰も置き去りにしない」、日々ゆれ
ながらもこの立場に立ち戻れるか。③矛盾から逃げない、
「ゆらぐ」ことが大切、矛盾に立ち向かうなかで集団と
して高まりあうことができる、というお話は考えさせら
れ、ハッとさせられ、そして勇気をいただきました。
人間発達のために必要なこととして、①教育、しかし
教育それ自体が目的ではない、②育つ主体と環境、主体
内部の力と、適切な土壌や水分、環境が必要、「きっか
け」「たまたま」(偶然)をたくさん準備する、③対象
の変化をとらえるための心得、目的意識的に量を準備
することで質的変化をとげる、肯定を含んだ否定も必要、
矛盾が発展の原動力、④育てる側としての心構え、他者
からの適切な評価、自惚れることも大事、“自分に自惚れ、
自分に自信をつける。そのことが次のステップに猛然と
駆け上がるエネルギーとなる”(中沢正夫氏)⑤育ちあう
場の前提条件は民主主義(表現の自由、参画と尊重)、
「力」を持っている側の姿勢(民主主義)が問われる。
「ピカピカ光る背中を持つ人間の周りをウロウロでき
る」環境を作れるか、「~しあう」関係性(自己を否定
される恐れがなくなると、その場が安全になる)を持て
るか、民主主義的感性をどう磨いていくのか、講演を通
してたくさんの気づきと勇気、元気をいただくとともに、
課題、宿題をいただきました。
参加者から、わかりやすかった、学べることが多かっ
た、初心に戻れた、自分の姿勢にハッとさせられた、も
っと本を読もうと思った等の感想がたくさん出されまし
た。看護師ではない講師から聞く看護の話、ナイチンゲ
ールの話も新鮮で、看護師としての自分をあらためて振
り返る機会になったという感想や、民医連の優位性につ
いても気づかされ、さらに確信となったとの感想も多く
ありました。事前課題で「ものの見方、考え方」を読ん
でいたことも講演内容を理解することにつながったと思
われます。(以上)