長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

『社会権―人権を実現するもの』を読んで

『社会権ー人権を実現するもの』
(竹内章郎・吉崎祥司、大月書店、2017年3月)
を読み終える。

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超要約・超翻訳すれば、
社会権の確立なしに私たちの自由はない、
ということになるだろう。

しかし、
「社会権が、制度としても社会意識・社会文化と
しても、そして思想や理論においても確立して
おらず、むしろ衰退している」(12P)
という日本社会の寒々しい現実がある。

その危機感からの学問的書籍であり、
非常に原理的で深い理論的解明がある。

自由権と社会権の根源からのとらえなおし。
社会権を無条件で要求できる根拠。

私にとって有益な学びだったが、
いかんせん、うんざりするほど難しすぎる。
抽象的叙述の多用。これでは「読めない」。

学者先生だからこうした理論書になるのだ、
といってしまえばそのとおりだけれど、
多くの人に読んでもらい、社会権の意義を共有し、
たたかいに生かしてもらうことが目的だとすれば、
もっともっと書き方の工夫はしてほしかった。

だがくじけず前を向こう。

「学者のするむずかしい専門的な話を、市井(しせい)の
ふつうの市民の日常的なロジックや語彙で言い換え、わか
りやすい喩(たと)え話を探し出す、そういう仕事をする」
(内田樹『街場の文体論』)
のが、ぼくの役割だと思うから。