たいへん遅くなりましたが、
21日(金)に行われた核ZERO講座4回目の報告です。
30名が参加。これが最終講義でした。
いつものように、講義後はグループ感想交流。
おもな内容は、以下でした。
はじめに:核兵器の非人道性=“人間の尊厳を奪いつくすものである”
ということ(地球規模で)。
一。偽装の被爆国―2枚舌の核政策
*「唯一の被爆国」という言い方もあるが、いまでは「唯一の
戦争被爆国」という言い方が一般的。核実験などで、被爆し
ているのは日本人だけではないため。
1。日米核密約
◇非核三原則(持たず、つくらず、持ち込ませず)の裏で
2。沖縄と核
◇アメリカの占領下で持ち込まれていた核兵器
◇ピーク時(1967年)には、沖縄に置かれた核兵器はおよそ1300発。
◇核ミサイルの暴発、キューバ危機の際には中国各都市に向け
発射寸前まで…。
3。原発と核
◇核兵器は、その原料となる濃縮ウランやプルトニウムをつくる
原発と一体で考える必要
◇日本は、47トン(ナガサキ型原爆約8000発分)のプルトニウムを
ため込んでいる
4。「核の傘」政策―使うことが前提。だから核廃絶の立場にたてない。
◇米国の核抑止力に依存
二。核兵器保有国と核の論理
1。核兵器の現状
◇世界には、現在も14,000発近くの核弾頭が
◇各国の状況―アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス、
インドとパキスタン、イスラエル、北朝鮮
■核保有国どうしの個々の対立はあるが、核兵器を持ち続ける
という大きな目標では歩調をそろえている。核兵器を所有し
ながら相手に「持つな」と言っても説得力がない。
2。核抑止力論は、何をもたらしたか
◇核兵器による「おどし」「脅迫」による「平和の維持」
◇核抑止力論をのりこえるために
―核兵器の非人道性を広げ、国際連帯を
3。NPT体制の矛盾と進展
◇NPT再検討会議の歴史と反核運動
三。核兵器禁止条約と核廃絶への道
1。核兵器禁止条約(2017年7月7日採択)とその意義
◇122カ国の賛成で採択(反対38、棄権16―日本は反対…)
◇条約は、発効に必要な50カ国の批准まであと15カ国に
(2020年2月現在)。
◇禁止条約のポイント
2。日本政府を変えるために
◇安倍政権は、禁止条約には署名も批准もしないと表明。
◇安倍政権に代わる野党連合政権で、核兵器禁止条約に参加する
政府をつくることが必要。
◇日本が変われば世界が変わる
3。2020年を飛躍の1年に
◇広島・長崎の原爆投下から75年。被爆者の平均年齢は83歳に。
◇5年に1度のNPT再検討会議―もっとも大きな核軍縮交渉の場
◇3・1ビキニデー、平和行進、8月の原水爆禁止世界大会
◇気候変動と核兵器廃絶
◇世界を動かしてきた署名
◇アメリカ大統領選挙の本格化
4。平和運動・反核運動について
◇平和運動のむずかしさ
◇関係性が大事―1人から出発する。でも1人では続かない。
◇人間としての豊かさが、活動のなかで花開く
さいごに:被爆者サーロー節子さんの演説
以上。
講義の途中で、ニューヨークのNPT行動に参加する13人に
意気込みや抱負を語ってもらう時間をつくりました。
みなさんの発言で、よりこの日の内容が広がったと思います。
今回の全4回の核ZERO講座は、
参加者も多くて充実でしたが、
それぞれの学びの真剣さが、場の質をおおいに高めました。
やっぱり学習会はおもしろい!
以下、参加者の感想です(一部分)。
■最後のサーロー節子さんの「“抑止力”とは軍縮を
抑止するもの」という言葉が、核心をついているの
がよくわかりました。普段の生活では核兵器廃絶に
向けて少しずつ進んでいるというのが実感しにくい
ですが、世界は確実に1歩1歩進んでいる。自分の
知識を時々アップデートしていかなければならない
し、それによって自分自身の未来への希望も明るい
ものになるなと思いました。
■ニューヨーク行動に参加される方たちの言葉が
すばらしかったです。報告会が楽しみになりました。
核兵器禁止条約の批准国が増えていくのも楽しみ
です。ICANのホームページでよくみています。
身近な人たちがニューヨークへ行くことを話題の
きっかけにして、世界の核兵器の状況に関心を広げ
たいと思います。サーロー節子さんの演説もあらた
めて感動。これも広げたいです。
■この講座に参加して、まだまだ知らないことだらけ
だと実感しました。何より被爆された方々の証言は
本当に胸が痛くなり、重く苦しいですが、勇気をもって
話してくださることに敬意を表して向き合うべきだと
思いました。カタカナの「ヒロシマ・ナガサキ」が、
悲しい記憶のままで終わらないような世界平和をこれ
からも目指して勉強、活動につなげたいです。
■わかりやすく「核抑止力論」が幼稚であることが
理解できました。小型化され、性能をあげることで
ますます白熱していく核軍拡。1日も早く過去の遺物
として葬りたい。「核兵器禁止条約」発効のための、
1年にしたいと思います。
■核ZERO講座を通して、与えられた情報、受け身
では本当のことがわからない。誰かの意見ではなくて
自分の頭で何が正しいのか考えられるように、広く世間
を知る必要があると思った。
■今回の学習でNPT再検討会議の今までの流れが
理解できました。4回の学習を終えて、最後にサーロー
節子さんのノーベル平和賞授賞式での演説全文を読んだ
時に、今までの学習内容がすべてそこに書いてある、
と思いました。実際に被爆を体験しながら、今まで強く
生きてこられた心の叫びを感じ、とても心に響きました。
■配布された資料に載せられた多数の被爆者の勇気ある
証言が、講座の質に厚みを与えていた。これらの証言を
ヒバクシャ国際署名をとるさいや、対話の場面などの
さいにも参考にしたい。
■全4回を終えて、核ZEROに向けても希望が持てたし、
NPTニューヨーク行動を終えたあとに、自分がしていき
たいことも道筋が見えた。今はとてもワクワクしています。
ここで学んだことやNYで学んだことを必ずカタチにして
いきます。