長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

街場の、光にむかって、ながい坂、猫脳!

最近読んだ本。
といっても、11月は出張が少なかったのもあり、
読書すすまず。12月もたぶんすすまない。しょうがない。


『街場のメディア論』(内田樹、光文社新書、2010年)

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労働学校の「社会認識のつくり方」講義のための予習。
おもしろい問題意識がいくつも。
10年前からいうとメディアの劣化はさらに進んでいますが、
生き延びてもいて。
国民の知的劣化とメディアの劣化は相乗的に起こっているのだと思ったり。


『光に向かって這っていけ~核なき世界を追い求めて』
        (サーロー節子・金崎由美、岩波書店、2019年7月)

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核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が
ノーベル平和賞を受賞したさい、
授賞式でスピーチしたのが著者のサーロー節子さん。
理性的で力強い名演説だが、
それは彼女の被爆体験と人格的成長の過程、
生涯にわたる「行動主義」から生まれた言霊だったのだ。

「一人一人の人間の尊厳がないがしろにされる、
その究極形こそ、核兵器という最悪の無差別殺傷兵器の
使用がもたらす破壊なのだ。かけがえのない命、
という発想はなくなり、ひとかたまりの数字として
カウントされる」

個人の尊厳の究極の反対物が核兵器である。
反核運動の最前線でかかわってきたものでしか
書けない内容も随所にみられ、運動の歴史と到達点も学べる。
必読書だ。


『ながい坂(上)』(山本周五郎、新潮文庫、1971年)

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「あらわれたかたちに眼を昏まされてはいけない、
人の評にひきずられてはならない。おれは捨吉一家の
生活をこの眼で見た。あの無残な生活を見たこと
だけは事実だ。それだけは決して忘れてはならない」
さすが周五郎。


『猫脳がわかる!』(今泉忠明、文春新書、2019年9月)

 

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2匹の飼い猫の習性や顔つきを思い起こしながら、楽しく読めた。
でも猫はまだまだわかっていないことも多いとのこと。
不思議で魅力的な生きものだ。


『ながい坂(下)』(山本周五郎、新潮文庫、1971年)

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ちびちび読んできてようやく読了。
ストーリー展開が早いわけでなく、華々しいシーンもない。
でもまたもう一度読むだろう。
人生について考え続ける人のための小説。