長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

今年度のソワニエ授業おわりました。

先週、
今年度のソワニエ看護専門学校での授業が終わりました。
1年生に15回。ものの見方・考え方。

最後の授業は、ここ6年ぐらい、
徳永進ドクターの『ナースtoナース』という本から、
「きけ看護学生の声」という章を紹介してます。
学生さんの力や励ましに少しでもなればと思って。

それと、前回(14回目)に相方の話をメインにしたのですが、
「ALSになった人は、何を支えに生きたいと思って
いると思いますか? また、ALSになって死にたいと
思っている人に出会ったら、どういう声かけをしたい
と思いますか?」という質問があったので、
ホスピス医の小澤竹俊さんの本を紹介しながら、
ぼくなりの考えをお伝えしました。


また授業の冒頭で、最近読んで良かった以下の医療関係本を紹介。
*『すべての人に星空を~「病院がプラネタリウム」の風景』
(髙橋真理子、新日本出版社、2020年9月)
*『エンド・オブ・ライフ』
(佐々涼子、集英社インターナショナル、2020年2月)

なんだか本の紹介が多くなった最終回でした。

「考え続ける看護師になってほしい」というメッセージを最後に話し、
「ものの見方授業」のまとめとしました。

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学生さんの感想文が率直で、
悩みや決意も語られていてよかったので、
ここに全員の感想文を紹介します。

■今日はものの見方・考え方―まとめ、でした。先生が
紹介されていた『ナースtoナース』はとても良い本だなぁ
と思いました。最後に先生が、考え・問うことはとても
大事だと言っていました。看護だけでなくすべてのことに
当てはまるなと思いました。今までありがとうございました。

■人の死について考えると、いつも中学生の時に亡く
なった父のことを思い出します。エンド・オブ・ライフ
の中で、死んだ人が生きているときよりそばにいる
気がする、ある意味生きているというのは、まったく
その通りだと思います。

■ものの見方でいろいろな角度から見て考えることが
できるようになったと思います。いろいろなものの
見方ができる看護師になりたいです。

■いろいろな人の看護について考えさせられた。よく
先生が、人によってその人の看護がある!! と言うけど、
その意味が分かった気がした。

■患者さんのエピソード、家族でのエピソード、まったく
なく、看護の道をすすみました。もう少し実習に行くと
看護学生の声みたいなのがでてくるだろうか。

■エンド・オブ・ライフの紹介が印象に残りました。
老年疾患の授業でターミナルケアやエンドオブライフ
ケアについて学んだこともあり、読んでみたいなと
感じました。あとがき紹介の、身近な人がいなくな
れば世界が変わる、永久欠番となる、もしその人が
生きていればもし~ならともしがあふれかえる、なつ
かしさ、取り残される辛さは慣れずどうしようもない、
亡くなったら思いかえし、少し人にやさしくなれた、
影響を与え、動かし、別の形で生きている、死とは
何かたしかなことは分からず存在している、したいこと
をしよう、大切な人を大切にしよう、立ち止まって
耳をすまし、最後まで誠実に生きよう等、死に直面
した時、生きることへのヒントがたくさんちりばめら
れていてとても学びになりました。中身をしっかり
読んでみたいです。最近自宅で死にたいという漫画を
読みました。少しつながる部分があるかもと思いました。

■看護学生の声のところで、共感するところがわりと
ありました。当時の学生さんも同じような気持ちだった
んだと思うと、自信がでてくる気になりました。向い
ている向いてないは全然わからないけど、前向きに
頑張ります。

■いろいろなXとYの話を読んで、とても興味深かった
です。私と同じような気持ちをもっていて正直、とても
安心しました。味方がいるような気がしました。

■日々考えること、問うことが大切だと感じました。
本を読むこと、新聞を読むこと、知識を多く取り入れる
ことが、考えること、問うことの材料になると思うので、
日々学び続けて、日々考え続けていきたいと思いました。
15回の授業、楽しかったです。相方さんとともに体に
気をつけて下さい。ありがとうございました。

■15コマ、お世話になりました。最後は、クラス全体
まきこんで、授業してほしかった。戦争についての授業は
期待していた。

■あっという間の授業でした。看護師になるのも医師から
の指示に従うだけでなく、考えながら、行動できる人に
なりたいと思います。

■本の紹介のなかで、「すべての人に星空を~病院が
プラネタリウムの風景」が一番印象深かったです。
私は今、1人で星空を眺めたいです。星空を眺めて、
気持ちをらくにしたいです。

■「看護学生の声を聞け」は、共感できる部分が多かった
です。特に096fさんの看護師像は、今、私が目指している
看護師像と同じで気づける力とそれに対応できる力を
持った看護師になりたいです。また、向いてないと思った
ときの気持ちも同じで、この前の実習のときに思い知ら
されました。日々、勉強し、いろいろなことを吸収して
自信をつけて、患者さんに寄りそっていけたらいいなと
思いました。

■自分の姿を客観的に見ようと思った。自分の目標と
する看護師像を追いかけて頑張ろうと思いました。
看護学生の声、すごくよかった。

■とてもくるしい、しんどい別れ方は「突然死」と先生
も言っていて、私も、大好きだった祖父や曾祖母が心筋
梗塞で突然亡くなりました。「昨日まで元気だったのに!
遊びに行く約束したのに」とくやしさと悲しさでいっぱい
でした。以前病院でナースアシスタントをしていて、
患者さんの死に直面することがあり、他人の死でも悲し
いし慣れていくものでもないと感じました。看護師に
なって死に直面することが多くなると思うけど、悲しまず、
慣れるのではなく、死を受け入れていけれたらと思います。

■きちょうな話をありがとうございました。いろいろな
見方ができる看護師になろうと思いました。

■前回の質問に丁寧に答えていただきありがとうござい
ました。私はきっとこれから、生きることに対して良い
思いをしていない人とも出会うと思います。そういった
ことの参考にしたくて質問しました。1人1人に合わせて
いくことは、いつも心に留めないといけないかと感じま
した。

■忘れられない死について、ついつい私も考えてしまい
ました。私の忘れられない死は、白血病の祖父の死でした。
在宅治療を行っていた祖父はだんだん治っていっている
と言われました。でもある日、深夜2時ぐらいにバタバタ
した音がきこえました。犬があばれているのかなと思い
気にとめなかったのですが、次の日、起きてみると母に
「おじいちゃんに最後のあいさつをして」と言われました。
慌てて見に行くと祖父は口から泡を出して静かに眠って
いました。その場面をみて初めて人の死を実感しました。
でも不思議と死というのもあっさり受け入れられました。
その時から看護師を目指すようになったのですが、これ
から沢山の死を見ていくだろうと思いますが、最後まで
その人らしく天国にいけるような看護をしたいなと今日の
授業で実感しました。ありがとうございました。

■すべての授業を通して私は、物事はこうあるべきだと
思っていたが、視点を変えるだけで、今まで気づかなかった
考え方を新たに発見できて良かった。長久先生の授業を
受けて、学んだことを参考に、看護師に向けて見方や
考え方を活かしていきたい。

■私は看護学生になる前は初心の気持ちで、やる気に
満ちていたけれど、いざ入学してテストもあり、実習も
あり、課題、そして難しい授業ばかりで、本当に自分は
向いているのかと思うことがありました。けれど私が
看護師を目指したきっかけを思い返して、やっぱり私には
看護師しかないと思います。くじけそうになるけれど、
初心の気持ちを忘れず努力していきたいと思います。
向き、不向きは実習だけでわかるものでもなく、たとえ
向いてないと感じても自分が1度持った夢なので限界突破
で粘り強い看護師になりたいです。

■助ける立場にいて、患者さんから「死にたい、もう
いかせてほしい」と言われたとき、私はどうするんだろう。
「死なないで」なんて言葉で済まないことは確かだ。
未来への絶望を抱いている人に少しの希望をもたらすこと
ほど、むずかしい言葉の選択はないと感じた。

■人はそれぞれ、生まれてきた環境も、育ってきた背景
も経験してきたことも、すべてちがう。だから看護師に
なるという1つの目標は同じだけど、「なぜ看護師に
なりたいか」「どんな看護師になりたいか」等、それ
ぞれ違う。だけど、それでいいんだなと思った。患者も
1人1人違うから。

■ナースtoナースを聞いて。いろんな言葉を聞いて、同じ
看護師を目指す看護学生だけど、様々な理由や様々な思い
があるんだなぁとしみじみ思いました。今日聞いたなかで
“太陽みたいな人”、“気さくな人”のような看護師に私も
なりたいと思いました。最初の死はきっと受け入れる
まで時間がかかるんだろう、と今から恐怖です。が、
後悔のないように患者さんが最後を迎えられるように
患者さんに寄り添えることを目指したい。様々なものの
見方を学びました。ありがとうございました。(最初の
頃の授業で先生がそねさんのことを妻でも奥さんでもなく
相方と呼ぶ理由、すてきだと思いました)

■今まで授業ありがとうございました。たくさんのお話
の中でためになる話も多くてよかったです。

■「ナースtoナース」の看護学生の声を読んで、まだ
1年生で分からないことが多いですが、ひとつ言えるのは、
私も病気で、はじめは治らない病気と言われ、たくさん
泣いた。そんな時、違う病気の同級生に励まされた。
私は治ったが、その子は亡くなった。信じられなかった。
私はその子の分まで生きたいと思います。だから看護師に
なってその子からもらった勇気を患者さんに渡す看護師に
なりたいです。

■「ナースtoナース」でよく“気づき”とありましたが、
今思うと“気づき”とはかなりの力(今までの患者データ
や様子をしっかり把握した状態で変化を見比べたり、
じっと見つめる集中力など)が必要だなと思った。
今後、ルーティン化される事は無意識で行い、その間に
目の前の人や周囲の人および状況をめまぐるしく五感を
経て考え、判断していくことができたらいいなと思った。

■ナースtoナースの学生の夢と挫折をきいて、自分と
重なる人も多くて、やっぱり大変な職業だなと思った。
看護師の職業はいつも患者さんが中心で「患者さんの
ために」と業務に追われるなかでも、顔を見に行ったり
している看護師もいて、こんな人に私はなれるかという
不安が私にはある。

■私は、きけ看護学生のこえを読んでみて、やっぱり
看護学生の多くが思い悩んでいるんだな~と思いました。
私も、本当に看護師になれるんだろうか、向いている
んだろうかといつも考えてしまいます。辛くて逃げ出し
たくなったり、精神的にも体力的にもボロボロになって
しまう時があります。だからこそ、同じ気持ちで悩んだ
ことのある看護学生の思いを知ることができて本当に
良かったです。でも、成長するためには辛いことや
精神的にも体力的にも大変なことを乗り越えていくこと
が必要であるし、重要なことだし、少し前を向くことが
できた。気持ちがスッキリしました。

■看護学生の声で印象に残ったのは、108rさんでした。
現代のシステム化・点数化された病院(医療)では、
患者を1人の人間として診ることができているのだろう
か? 診られていないことの方が多いと思う。人間が
人間をみるのだから、みる側の人間は、常に人間らしい
人であってほしい。

■いま看護の勉強をしたり実習に行ったりとしてみて、
本当に私にできるのか時々不安になることがあります。
ただ、一度自分のやりたいと思ったことなので、あきらめ
たくないと思っています。元々癌家系で、祖父など
皆を癌で亡くしているので、自分が知識を身につけて
少しでも多くの人の助けになりたいので、あきらめず
頑張りたいと思います。