長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

「労働組合だからこそできる!」のメッセージが必要

今日も倉敷医療生協労組のお昼休み!入門講座の3回目。
会場は医療生協会館でした。
テーマは「パート労働者の尊厳と現状」。

f:id:benkaku:20161221131831j:plain

短い時間でも、感想交流を必ずしています。
今回のテーマはパート労働なので、
職場での置かれている立場や状況をふまえて、
いろいろ意見が出されます。

問題は、この「おかしさ」「息苦しさ」を
「変えよう」というベクトルに向かう力をどう
増やしていくかなんですよね。

「あきらめる」「がまんする」よりも、
「変えるために行動する」はエネルギーが必要です。
声をあげる仲間を広げるのはもっとたいへん。
だから、とりあえず現状の枠のなかで「なんとかしよう」
となってしまうように思います。

非正規労働者が正規よりも「下」であるという感覚は、
労働条件によって固定化され、強固な「常識」になっています。
これを変えていくためには、
処遇改善をそれこそ積み上げていくことしかないと思いますが。

労働組合だからこそできる!
というメッセージをどう伝えていくのか。
戦略が必要ですね。


以下、このテーマでの参加者の感想文をいくつか紹介します。

■パートの差別的な労働力で日本は成り立って
いるのがよくわかる。

■海外でのパート労働者のあり方を初めて知り
ました。少しでも家事・育児を両立しながら、
いい条件で働きたいなと感じました。労働組合
の仲間を増やして交渉していきたい。

■労働組合が大事なことはわかったが、秋の
交渉をみると、「パートが下」というのが
実際だと思った。ずいぶん声を上げていたが、
届いているようではなかった。

■女性の非正規雇用者の年収100万円未満が45%
で1人では生活できない現状を知り、うちの
職場のパートさんも大変な思いをして働いている
なと思った。

■男性の家事協力を得られると、正規労働がで
きる人が増えると思う。職場やパートナーの
理解や協力を求めていきたいと思いました。

優先順位が高ければ時間をこじ開ける

きのうの鳥取医療生協の役職者研修会にて。
忘れないためのメモ。

どんなに忙しくても1人ひとりのスタッフとの個人面談、
顔をあわせての話し合いを欠かさないという役職者さんがいた。
短時間でも必ず定期的にとるという。
会場全体に驚きの反応があった。現場にはゆとりがない。
「すごいね」「よくできるね」という感じだろうか。

「職員間のコミュニケーションは大切なこと」という
一般的理解ではなく、その人にとっては職場づくりの
いわば「戦略」(という言葉を使うかどうかは別にして)になっている。
だから優先順位が高く、時間をつくるしこじ開けているのだろう。

人を育てることも同じである。
「なぜ人を育てるのか」の意味づけが明確ならば、
問題意識と議論が生まれ、時間づくりの手立て、
具体的な戦略や方針が立てられる。そして実践が生まれる。
総括や方針の練り直しも、その目的が明確であるほど、
真剣なものになる。

また今回の研修は、役職者という共通項で集っているので、
職場ごとの「戦略」は原則どおりにはいかない。
「飲ミニケーションがいちばん大事だ」という意見もあり、
それはまあ一般的にはうなづける
方向性(それもやや疑問であるが)であっても、
職場のスタッフさんの人数や人間関係、
職場文化によって具体的な方法は違ってくるだろう。

教育やコミュニケーションは、「一般原則」をおさえつつ、
個別具体的に考える必要がある。
職場のあり様やスタッフの面々はそれぞれ違うからである。
そこが難しさでもあり、私が軽々しく「こうしたほうが」と
言えないゆえんである。
私はそれぞれの職場を知らないしスタッフさんを具体的に
知らないから、具体的なアドバイスはできないのである。

でも個別にまかせておくと、
こうした分野はだいたい自己流になってしまう。
自分の経験に頼ってやってしまう。
「コミュニケーション」「人を育てる」などの方法は、
学校では教えてくれないからである。

だから一般原則の学びと、職場をこえた議論の場をつくり、
多様な引き出し・オプションを持ってもらうことが大切になってくる。
昨日のような研修会の必要性を、そんなことからも感じた。

鳥取医療生協で「人間的発達ができる職場づくり」

きのう(20日)は、
鳥取医療生協役職者研修での講師仕事。

f:id:benkaku:20161221074805j:plain

会場は鳥取生協病院すぐ近くの白兎会館。
テーマは「人間的発達ができる職場づくり」でした。

f:id:benkaku:20161221074909j:plain

参加は約90名。役職者のみなさんを一同に集めての研修です。

私から90分の講義のあと、
ワールドカフェ形式での交流(主催者が企画)に。

テーマは
「(スタッフとの)コミュニケーションのとり方」
「人を育てる」
「人(後継者)づくり」←管理者限定

みなさんワサワサ語りあっていて楽しそうでした。
職場の状況もそれぞれですから、
学ぶことも多かったのではないでしょうか。大事な場です。

終了後、電車を待つ間、鳥取駅付近のカフェで読書タイム。
日帰りでしたが、しばしのゆとり時間になりました。

パート大国オランダの例を紹介

月曜日(19日)のお昼は、
倉敷医療生協労組のお昼休み!入門講座の3回目でした。
水島協同病院編。
テーマは「パート労働者の尊厳と現状」

f:id:benkaku:20161221074526j:plain

ヨーロッパなどではパートとは
労働時間が短いという意味だけで、待遇は同じ。
パート大国オランダの例を紹介。
勤務時間をライフスタイルに
あわせて選択することが可能な働き方が必要と。

鹿児島にて「わくわく講座」閉講式に

土曜日(17日)は、鹿児島県労連が主催する、
全労連「わくわく講座(初級教育制度)」の県閉講式にて
学習会講師のお役目でした。

残念ながら日曜日にはずせない会議があったため、
鹿児島なのに日帰りでしたが・・・。

f:id:benkaku:20161219092115j:plain

学習会テーマは
「労働組合のそもそもーその役割を問い直す」

昨年もおなじ学習会にお呼びいただき、
2年続けての12月鹿児島でした。
昨年も参加していただいた参加者のみなさんもいて、
「お久しぶりですー」の会話が嬉しい。

講義の感想としては、
「ホワイトボードでの説明がわかりやすかった」
「こんど職場でもこういう説明をしてみたいと思った」など、
話を受けての広がりが感じられ、嬉し。

学習会後の懇親会も時間のゆるすかぎり参加し、
みなさんと楽しく交流しました。

「来年もぜひ」との県労連議長の言葉もいただいたので、
来年もよろしくお願いいたします(*_*)。

鹿児島中央駅前もすっかりクリスマスモードでした。
みなさんによい時間が訪れますように…。

f:id:benkaku:20161219092141j:plain

 

地位協定の異常さは安保学習よりインパクトをもつ

きのう(15日)は14時から
岡山県民医連第4回平和ゼミナールの6回目。
テーマは「米軍基地」で、私が講義しました。

f:id:benkaku:20161216091140j:plain

日米地位協定とはどんなものか、その異常な従属性、
日本にある米軍基地、沖縄の基地問題とその歴史、など。

オスプレイ墜落事故は
急遽パワポ資料10枚ほど追加してお話しました。
ゼミ生の関心もがぜん高まっています。
1月は現地沖縄のフィールドワークです。

そして地位協定のあまりの異常さに
ゼミ生からは「なんで?」「え?」
「知らなかった!」「ありえない」という声が続出。

日米地位協定の中身とその現象について広げることは、
安保条約の学習よりインパクトあります。
具体的ですから。

ヒマの復権をはかりたい。

世間では、「ひま」という言葉は評判がよろしくない。
「あいつはヒマなやつだ」とか、
「ヒマをもてあましている」とか、
「そんなヒマがあるんなら!~をしろ」とか。

ヒマの正体とはなんだろう。

【ひま】
「今しなければならない仕事などが無くて、自分の好きなことが出来る
のんびりとした時間(状態)」(三省堂『新明解国語辞典』第7版)

新明解さんは、ヒマにだんぜん肩入れしている(ように思える)。

仕事とは、有償労働と無償労働がふくまれる。
それが目の前に立ちふさがってない状態。
目の前に自由がある!

「自分の好きなことができる」
「のんびりとした時間」

いいではないか!
ヒマバンザイではないか!

不名誉な評価をされている、「ヒマの」復権をはかりたい。

そんな思いで、今日午前中の学習会でも、
「ヒマ」の大事さを強調した。
ギリシャの哲学者は仕事も家事もせずに、たっぷりとした
ゆとり時間があった。つまりヒマだった。

「自分の好きなことができるのんびりとした時間」は、
学問、自然科学、文化の発展の条件となった。

ヒマは、人類発展の要素の大事なひとつだった。
すべての人類はヒマに感謝しなければならない。
ヒマに頭を向けて寝れないのである。

何かを「効率よく行う」ことには価値があるが、
何も「しない」、そして立ちどまること、
たっぷりと考えること、ジグザグ寄り道すること、
ぼんやりすることにも、価値がある。

資本主義はお金に対しても時間にたいしても、
限りなく「ケチ」である。
なぜなら資本を拡大するためには、
「無駄」はできるだけ少ないほうがよいからである。
「ヒマ」は無駄の最たるもので、資本主義的立場から考えると
ヒマは「撲滅対象」となる。

だから、資本主義社会では、ヒマは知らず知らずのうちに、
人々の意識の上でも、邪魔者あつかいとなっていく。
片隅に追いやられるのである。ヒマさんごめんなさい。

職場でも、ゆとりなく、目の前のことに追われる
毎日を送っていれば、
現状に対して問いや疑問を持つことも難しくなる。

ヒマがなければ考えることも
じっくり議論することもできない。
ヒマがなければ、集まれない。

資本主義社会は、他人の自由時間を奪い取り、
「価値を増やせ!価値を増やせ!」となる社会である。
労働者の生活時間をより多く切り売りせよと
せまってくるのである。

いまこそヒマの復権をはかりたい。
生活のど真ん中にヒマをおこう。
健康で文化的で、ヒマのある生活を!

香川民医連にて人間的発達ができる職場づくり

今日(14日)は、
10時より香川民医連の職責者研修で講師仕事でした。
テーマは最近増えている「人間的発達ができる職場づくり」。

f:id:benkaku:20161214141004j:plain

あれこれあれこれ自分の経験もふまえながらの講義に。
写真はぼくの前にあった
大西教育委員長の問題提起のようすです。

みなさんお世話になりました。

今日はうどんも食べずに早々と帰ってきました。
これから事務所でバタバタとお仕事です。


「働き方改革」、あなたが、キラーストレス

最近読み終えた本。


『「働き方改革」という名の“劇薬”ー労働者本位の働くルールの確立を』
     (井上久・伊藤圭一・今村幸次郎・寺間誠治・河村直樹
             ・中村和雄著、学習の友社、2016年12月)

f:id:benkaku:20161213144548j:plain

時機にかなった内容だとは思う。ぜひ学習が広がってほしい。
でも女性の執筆者がひとりもいないのはやはり問題。


『あなたが家族を愛せるのなら〔改装版〕』
         (中沢正夫、情報センター出版局、1987年)

f:id:benkaku:20161213144534j:plain

精神科医・中沢正夫の原点ともいうべき患者群像。
長野の佐久総合病院が出発点だとは知らなかった。
どのエピソードもじんわりしみる。
つまり人間をどの視点からみるのかということなんだろなあ。


『キラーストレス~心と体をどう守るか』
       (NHKスペシャル取材班、NHK出版新書、2016年11月)

f:id:benkaku:20161213144519j:plain

ストレスのメカニズム解明が進んでいると実感した。
生活のなかでの適度な運動、
自分の手近な気晴らし方のリストアップと実践、
「今に神経を集中する」などの対処法は参考になる。

ALSを通じての支えあいネットワーク

土曜日(11日)の午後、ALS協会岡山県支部の
「茶話会」があり、相方と2人で参加してきました。

f:id:benkaku:20161212150603j:plain

私は2回目の茶話会。相方は初めてでした。
とても和気あいあいとした雰囲気です。心地よいです。

時間の関係で全体2時間のうち前半しかいられなかった
のですが、みなさんがとっても親身になって
私たちを受け入れてくださっている雰囲気があります。

岡山県支部は、
全国でも何番目かの早さで1990年に発足し、
活動をつづけている支部です。

現会長はALS患者の方で、ご自身でとてもよく病気や
リハビリや薬のことを勉強されていて、
また発症年齢も相方に近いということもあり、
このかん様々なアドバイスをいただいています。
本当にありがたいです。

他の役員の方でいうと、元看護師さんや、
ご遺族、患者家族、学校教諭の方など、
多彩なメンバーがALSという病気を通じてゆるやかにつながり、
情報交換と交流を中心に、支えあっています。

1回目に私が参加した先月の茶話会では、
私の話をじっくり聴いてくださり、
また役員のみなさん個々人の「会への関わりや人柄」を
知ることができ、とても貴重な時間になりました。

2回目の今回は、支部会長のご尽力もあり、
呼吸器メーカーの方がボランティアでこられて、
最新の人工呼吸器やマスクなどを試してみるという茶話会でした。
相方も私もさまざまな様式のマスクを装着してみて、
使ってみることができました。
それにしても、10年ほど前は巨大でうるさい音がした(らしい)
という人工呼吸器は、いまはたいへんコンパクトで、
マスクもいろいろと発展して違和感なく装着できる工夫が
されていてビックリしました。

2か月前に相方が病名診断を受け、すぐALS協会に入会し、
岡山県支部の方とも交流をはじめたわけですが、
こうした支部活動や、患者の立場にたって相談にのったり
助けあいのネットワークがあるということは、
私たちの支えのひとつに確実になっています。

この病気特有のむずかしさや困難が、
人をつなげる力にもなっているのかなと感じます。
これからも積極的に関わりあいを
広げていきたいと思っています。

パート労働者の尊厳と現状

きょう(12日)は、さきほどまで玉島。
倉敷医療生協労組の
お昼休み!ろうどうくみあい入門講座の3回目でした。
玉島協同病院にて。

テーマは「パート労働者の尊厳と現状」。

写真なしです。レジュメの前半部分を以下に紹介します。


一。パート労働者は「下」ではない!
 
1。増え続ける非正規労働者
  ◇パート、派遣、契約社員・・・
   *現在は約2000万人。雇われて働く人の約4割に。
    うち女性が7割で約1400万人。
   *20年前は非正規労働者は約1000万人だったので、倍になっている。
   *初職が非正規雇用だった人の割合は男性35%、女性53%(総務省
    調査)。
  ◇賃金差別・待遇差別
   *年間収入は、100万~199万円が30.8%でもっとも多い。ついで
    100万円未満が26.6%。女性の非正規雇用は100万円未満が45.0%
    ともっとも多い(総務省調査)。
   *日本には、「同一労働同一賃金」を強制する法律がないことが
    背景にある。企業にとっては「極端に安上がり」の労働者。
   *各種制度についても適用されていない実態。雇用保険67.7%、
    健康保険54.7%、厚生年金52.0%、退職金制度9.6%、
    賞与支給制度31.0%(厚生労働省調査)。
  ◇日本では、非正規労働者は、正規とくらべて「下」という
   間違った「感覚」がある
   *どんな立場の労働者でも、人間の尊厳がある。モノや道具では
    ない。人間としてふさわしい扱いをされる権利がある。生活や
    労働条件も、人間らしさの基準を下回ることは許されない。労
    働基準法第1条「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を
    営むための必要を充たすべきものでなければならない」。
   *しかも、非正規労働者がいないと、職場はまわらない。
    これ、おかしいです!!

 2。「時間か、お金か」の選択をさせている日本の「働き方」自体を
   問題にしよう
  ◇第1子出産時点で、女性労働者の過半数が職場をやめている
   (育児に注力する)。
   *家事・育児・介護・・・。加重に背負わされる女性労働者。日本
    の男性の家事労働時間の極端な少なさ(ジェンダーバイアスの
    強さ。長時間労働も背景)。
   *仕事との両立をはかるためには、自分の切り売りする時間(労
    働時間)を調整でき、かつまともな賃金額が保障される必要が
    ある。「時間か、お金か」の選択は間違い。どちらも人間らし
    い・自分らしい生活には欠かせないもの。
  ◇ヨーロッパなどでは、「パート」は労働時間が短いという意味
   だけで、待遇は同じ。

     「日本ではパートタイム労働者が有期契約の対象となってい
     るのに対し、オランダではほとんどの場合、雇用期限が定ま
     っていない。さらに、均等待遇原則に基づき、最低賃金、時
     間外手当、賞与、年次有給休暇、研修や失業保険、老齢年金
     など雇用のあらゆる側面において、時間比例の形でフルタイ
     ム就労者と同じ権利が保障されている。いいかえれば、オラ
     ンダのパートタイム就労者の多くは、正社員の身分のまま勤
     務時間を減らすという働き方をしている」
     「勤務時間の定めが柔軟であるがゆえに、個々人を取り巻く
     家族の状況や望ましいライフスタイルに合わせて選択するこ
     とができる働き方となっている」
    (中谷文美『オランダ流 ワーク・ライフ・バランス』世界思想社)

境港でカニを囲みながらの伝説話など

土曜日の夜は、鳥取・境港でカニ祭りでした。

f:id:benkaku:20161212093015j:plain

Kさんのご自宅にて。本当にありがとうございました(*_*)

話題の中心は
相方の職場のみなみなさまの伝説話など・・・。
ほんとうに職場にめぐまれたと思います。
感謝です。