長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

和歌山で組織づくりとものの見方を語る

土曜日(17日)の午前中は、和歌山生協病院の会議室にて
和歌山民医連看護役責者研修交流会の講師仕事でした。
看護の役責者のほか、公開講座ということで
事務の方も参加されていて、40人ぐらいだったでしょうか。

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「人間発達ができる組織づくり~看護とものの見方の角度から」
がテーマでした。
わさわさと90分語りまくりました。
みなさん真剣なまなざしで聴いていただき感謝です。

いつものような話でしたが、講義の概要を以下に。


はじめに:私と看護。

一。立ちどまり、「問う」力
 
1。ものの見方・考え方?
  ◇哲学の姿勢―自分と自分のまわりの「そもそも」を説明したい。
   ■ゆとりとは

 2。「そもそも」を問うことを意識的に行う、組み込む。
  ◇じっくり考える間もなく、どんどん日常は動いていく
  ■私自身の最近の経験から
  ◇病院にはさまざまな立場の「考え方」「視点」が存在する。
  ◇「ちょっとまてよ」「そもそもこれは」「何のために」
   「自分たちの立ち位置は」
  ◇ナイチンゲールの言葉より(『ナイチンゲール著作集』現代社)

 3。民医連医療・看護・介護を支え・補強する「ものの見方」
  ①現象から本質へ。結果から原因へ。木も森も見る。
   ―認識の深化への努力。
  ②憲法の人間観―「個人の尊重」(13条)「個人の尊厳」(24条)
  ③矛盾がある

二。育ちあうための哲学
 
1。教育、育つ主体と環境
  ◇どんな組織でも人間の集まりである以上、「教育」という営みがある。
  ◇種を植えれば芽が出、やがて成長する。主体内部の力。
  ◇しかし、適切な土壌や水分、環境を整えなければ、枯れてしまう危険も。

 2。育てる側としての構え
  ◇育てる人以上に、自分が自分の成長に貪欲か。自己投資しているか。
  ◇問題意識を聞く。場をつくる。議論する。納得を引き出す。
   信頼される。尊敬される。

 3。育ちあう場の前提条件は、民主主義(表現の自由が前提。参画と尊重)
  ◇自分の言葉をもって、議論や意思決定に参画すること。
   1人ひとりが尊重されること。
  ◇しかし、組織のなかにはさまざまな「力」が働いている
   (そしてそれはなくせない)
  ◇「~しあう」関係性(積み重ねにより培われる)

ソワニエ8回目授業を終え、夕方は和歌山に移動です。

さきほどまで、ソワニエ看護専門学校での8回目の授業。
今日は人間の言葉についてあれこれ。

言葉の役割、考える力と語彙の豊かさの関連、
書くことの意味、「痛み」の言葉について考える、
言葉はもろ刃のやいば、医療者としてどんな言葉をもつのか、
などなど。


さて、夕方からは和歌山へ移動です。
明日の午前中に講師仕事があるため。
和歌山でのお仕事は、たぶん初めて。どきどき。

『友』読書会、次回は7月3日です。

だれでも参加OK!
月刊誌『学習の友』の読書会☆

記事を読みあわせて感想交流するだけ。
みんなで読むと受けとめの違いもわかって面白い。
7月3日(月)18:00~。
地方自治会館2階(岡山市北区春日町)です。
7月号を使います。読者でない方でもOK。参加無料。

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家事労働とジェンダー問題で討論白熱!

昨夜は、91期岡山労働学校の第6講義、
「家事労働時間とジェンダー問題」でした。
参加はとうとう8名に!

内容が超面白いだけに残念です・・・(やっぱり毎週言っている)。

きのうのグループ討論も
はげしく盛り上がっていました。白熱です。
それぞれ家庭文化や環境が違いますからね。
その違いがおもしろいんですよね。


以下、講義の概要です。

一。家事労働の私的体験記と考察
 
1。親と同居時代(18歳まで)
 2。ひとり暮らし時代(18歳~28歳)
 3。結婚してから
 4。介護生活を体験して

二。家事労働を、具体的に分類してみよう
 
1。『AERA』5月30日号に掲載された「家事育児100タスク表」を参考に
 2。介護労働は具体的にどんなものがあるだろう
  ◇大きく分けて<生活援助>と<身体介護>

三。家事労働の役割負担をいびつにする要因
 
1。有償労働の長時間化
  ◇残業大国ニッポン。とくに正規労働者の長時間労働が野放しに。
  ◇『18時に帰る』(プレジデント社)より。
 2。ジェンダー規範
  ◇ジェンダーとは、歴史的・文化的につくられた男女の性別役割分業論
   *ひらたくいえば『女なんだから○○』『男なんだから○○』という
    意識や行動。女性差別撤廃条約(1979年発効、日本は1985年批准)
    のポイントはジェンダー否定。
  ◇しかしジェンダー規範が色濃く残る日本(あらゆる場所で)
  ◇家事育児を「やっているつもり」の旦那へ見せた執念の分担図
                      (「SELECT」2016.2.7)
  ◇家事労働は女性に集中。2015年国民生活時間調査より
                     (NHK放送文化研究所)
  ◇「子育てだけ」が招く社会的孤立。育児責任の集中。ワンオペ育児。
 3。家事労働ハラスメント(尊厳を奪う)
 4。企業にとって都合のいい「女性の労働力」活用
                   -背景にある財界の戦略
  ◇雇用の調整弁としての女性の労働力の活用
  ◇女性の肩に「家庭責任」を一手に背負わせてきた

四。家事労働時間と人生の時間
 
1。家事労働を「苦役」と感じないためには(1人ひとり違うと思いますが)
  ◇負担の集中を避け、分散・分担する。
  ◇納得してやるためには―話しあい。その繰り返し。
  ◇家事を楽しもうという心構え
   ■前提条件は「ゆとり」があること。忙しいとき家事は「苦役」に
    なりやすい。
 2。労働時間・余暇時間・生活時間のバランス
  ◇そのバランスを、自分でつくりだしていく。変化に対応する。
  ◇人生の時間において、なにが大事なのかは、時々で変化するし
   比重も変わる
  ◇労働時間を制限すること、調整できることが最大のポイントに。



感想文をいくつか紹介。

■家事労働はなかなか平等になりませんね。「疲れ
て帰ってつくりたくない」なんて甘えたことを言う
夫。私は疲れててもいいのか?! まだまだだなあと
思うが、介護は存分にしてもらおうと思っている。

■家事をしてくれる人と結婚しようと思いました。
いろんな家庭の話を聞けてよかったです。女だから
男だからという意識をもたないようにしたいです。

■オランダいいなぁ。日本はおかしい! いつになっ
たら暮らしやすい国になるのでしょうか。オランダ
行こうかな・・・。育児も大変だけど、介護はもっと
大変。社会的な保障も充実してなくて、どちらも
お金次第。格差! 「子育てが招く社会的孤立」、
まさに味わいました。ほんと辛いです。

■全員違った家庭環境でおもしろかったです。やはり
家事はケンカの元ですね。「苦役」になることが
多いのは労働時間が長かったり疲れてるからじゃない
かな。大変。

■家事労働から、ジェンダーを考えることができて
楽しかったです。

民主主義をつくりたい。

相談や共謀(話しあいの段階)が罪となり警察の捜査対象に。
法律の内容・定義があいまいで恣意的に乱用される。

罪を立証するため電話やメールやラインを盗聴。
民主主義が押しつぶされた戦中の教訓から
憲法21条では「通信の秘密」を侵してはならないと規定。
もの言う主権者であり続けたい。黙らない。


しかし、昨夜から今朝にかけてとにかく気分が重かった。
国会は国権の最高機関であり、
民主主義をもっとも大事にする場所であってほしい。

立場や意見の違いがあるからこそ議論する。
国会議員は全国民の代表者であるはずなのに、
徹底的に自己都合が優先される現状につくづく嫌気。

民主主義をつくりたい。

家事労働時間とジェンダー問題

91期岡山労働学校「時間を考える教室」
第6講義は6月15日(木)18時半~。

「家事労働時間とジェンダー問題」

家事労働とはそもそも?
日本では女性に負担が集中している現実が。
家事労働と人生の時間の考察!

単発参加OK。詳細チラシに。

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余暇学。いい学問である。

『余暇学を学ぶ人のために』
(瀬沼克彰・薗田碩哉編/日本余暇学会監修、世界思想社、2004年)
を読み終える。

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「労働の後に入手する余暇という考え方でなく、
余暇は独自な存在意義がある」に強く共感する。
平日余暇、週末余暇、季節余暇、年に1度程度の長期余暇。

余暇学や余暇政策の発展に期待したい。


以下、自分のためのメモ。

■活用のしかたということになると、老いも若きも、
男性も女性も、余暇ノウハウをもっていない人が多
い。欧米のように青少年期に余暇教育がなされてい
ないためである。専門家は小学校時代を最も適切な
時期と判断しているが、わが国では現在においても、
学校でも家庭でもなされていない。活用のしかたを
身につけていないので、金銭によって余暇活動を購
入するという人が少なくない。増加した余暇時間を
円滑に使えないという問題。(13P)

■自分の裁量で自由に演出できる「余暇」は、人間
性・文化・社会性を表現する時間として、生活の中
で大きな比重をもってくる。生活の質を高めるため、
余暇を「自分の時間」として自立させ、各自が心の
中から興味のあるものを探し出し、納得のいくやり
方で楽しむことが重要である。(20~21P)

■余暇の概念が時間と関連していることは確かです
が、時間があってもそれを生かす空間がないと余暇
を楽しむことはできません。その意味で、余暇を生
かす空間をどうつくるか、自由な空間をどうつくっ
ていくかということが、これからの余暇を考える上
で重要になると思います。(163P)

■哲学などという浮き世離れした営みに精を出した
のは、かつては毎日の労働から免除された余暇階級
の人々であり、哲学そのものが余暇の1つのあり方
に他ならなかった。実際、ギリシャ語で余暇を意味
するスコレーという語は、ラテン語のスコラ(schola
=学校)となり、英語のスクール(school)にまで
辿り着く由緒ある言葉である。語源から言えば余暇
とは学問そのもののことなのである。(188P)

■余暇は学問の土台であるばかりでなく、芸術やスポ
ーツなど人間が人間らしく生きていくためのもろも
ろの文化の土台でもある。言い換えれば、余暇は人
間の生そのものを支え、人間に幸福をもたらしてく
れる価値ある時である。(189P)

第60回えひめ母親大会で講演

日曜日(11日)は、
第60回えひめ母親大会での講演仕事でした。
出番は午後の全体会。300人ほどの参加だったように思います。

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テーマは「私が私であるためにー女性と憲法」。
当たり前に思っている「常識」やジェンダーを問い、
「人間らしく生きること(尊厳)にこだわる」ための
問題提起をさせていただきました。

終了後の拙著の販売のさいに、
「目の覚めるようなお話でした」「がんばります」
など感想もいただき。

参加者の背中をひと押しする言葉を伝えたいと思って
いつも講師をしていますので、うれしいです。

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愛媛のみなさんお世話になりました。

関西看護をよくする会のゼミナールで講演

土曜日(10日)の午後は、京都へ移動。
関西看護をよくする会の41回ゼミナールで講師仕事でした。

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会場は近畿高等看護専門学校。もちろん初めて。

なんと2階の入口すぐに、ナイチンゲールさまの像が!

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テンションあがりました。
近代看護の基礎をつくった偉大なお方。
エンゲルスとおなじ1820年のお生まれです。

「ものの見方と人間らしさ―看護師に求められるもの」
というテーマで、看護の原点であり今も色あせない
ナイチンゲールの話もたくさんしました。

みなさん熱心に聴いていただき、質疑応答もいくつか。

残念ながら京都とんぼ返りでしたが、
相方に頼まれていたお土産はしこたま買いました(笑)。

「憲法と共謀罪」 監視社会のおそろしさ

土曜日(10日)の午前中は、
生協労組おかやま執行委員会で「憲法と共謀罪」の学習会講師。

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既遂(やった)を罪にするという刑法原則の大転換、
監視社会への道と強調しました。

この法律の問題点のひとつは、
共謀とはなんなのか、予備行為とはなんなのか、
組織的犯罪集団とは、などの定義があいまいで、
警察権力にフリーハンドを与えることです。

結果発生〈既遂〉(やった)
 ↑
実行〈未遂〉(やろうとした)
 ↑
準備〈予備〉(やろうとするための)
 ↑
相談・共謀(やろうと思っての話しあい) ←ここが捜査対象。277の罪。
 ↑
決意(やろうと思った)。
 ↑
動機の発生


「やろうと思って話しあう」ことが捜査対象。
これが原則になります。
それは個人の内心が監視対象になるということ。

憲法21条では、通信の秘密は侵してはならない
(つまり盗聴はダメ)と権力をしばっていますが、
話しあう(相談・共謀)が捜査対象になるわけですから、
電話やメール、ラインも盗聴の対象になります。
どう考えても違憲立法です。

1億総監視社会です。
表現の自由が萎縮し、民主主義が死にます。

権利行使していく「わたし」をつくらないと。

昨夜(8日)は、91期岡山労働学校「時間を考える教室」の
第5講義「イチから分かる残業問題」でした。

3週連続の11名参加。通し受講が15名ですから、
まあしょうがないです。
講義内容が面白いだけに残念ですが(毎週言ってる)。

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講師は生協労組おかやま副委員長の内田和隆さんでした。

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労働学校初講師で、少々緊張されていたようですが、
「自分がなぜ労組専従をしているのか」というあたりの
語りと残業問題での経験話もあいまって、
参加者にはストンと内容が入ったようであります。
まかせて良かった!


以下、講義の概要です。

○自己紹介
 偏愛マップをつかって

○今日の獲得目標
 1.残業問題のあらましについて共通認識を持つ
 2.内田の事例をもとに残業問題の具体的イメージを共有する
 3.残業問題の解決の道筋・方向性について検討する
 4.残業問題についてイチからサンくらいまでわかった気持になる

○あらためて自己紹介(ストーリーオブセルフ)

○本編
 1.残業とはなにか
  ・残業とはなにか(おさらい)
  ・労働時間規制が機能するには
  ・日本のサービス残業の現状
  ・2016年度データをもとに

 2.サービス残業とはなにか
  ・長久さんの指摘からの気づき。「責任」から紐解く
  ・サービス残業を放置するとどうなるのか。
  ・内田の事例を手掛かりに
  ・別紙発言原稿
   (2016年ユニオンユースアカデミー長時間労働問題での発言より)

 3.権利行使する上での障害
  ・権利行使のしづらい現代日本社会
  ・サービス残業相談あるある。

 4.まとめ いかに解決していくか
  ①権利行使していく「わたし」を持つ
  ②「わたし」が「なかま」を見つける
   組織の文化を変えるには
  ③そのための覚悟を持つ。勇気を奮う。もしくは覚悟を励ます。
   わたしたちには覚悟が必要だ。

○最後に

参考文献:“ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?”渡辺輝人著(旬報社)
     “なぜ、残業はなくならないのか”常見陽平著(祥伝社) 



感想文のいくつかを紹介します。

■うっちー講師おつかれさまでした。分かりやす
かったし、導入がおもしろかった。権利行使して
いく「わたし」をつくらないと。

■サービス残業が1日50分もあることにおどろ
いた。「賃金不払い残業」。仲間を3人つくる
ことが行動を起こすときに大事と分かった。意識
を変えることが大切だなと思った。

■毎日少し早く出勤して情報収集して定時になっ
たら働いて、17時が来ても仕事がおわらず、
患者によばれる。医療の業界は残業ありきでま
わっていると思います。人手不足だけでは説明
できない忙しさです。有休は子どもの体調不良と
夜勤などの勤務調整で消化されて自分の自由な
休みはほとんどありません・・・。

■サービス残業はしちゃいけないと思うけど、
「私はまだ未熟だから時間かかるんです」とよく
言われます。気持ちは分かりますが、労働者意識
や権利意識が低いというか、日本ではもっともっ
と学習しないといけませんね~。「人間はがまん
できる。慣れる。水準がどんどん下がる」。長久
さんの言葉を思い出しました。

■職場でまわりが残っていたり、早く出勤したり
すると、それがあたり前になって、定時で帰り
づらくなる。「自分の仕事がおそいから・・・」と
いうふうになりがちですが(自分も)、労働時間
は個人の問題で片付けちゃだめですね。「サービ
ス残業は賃金不払い残業」「サービス残業すると、
それで成り立つと思わせる」。肝にめいじて・・・。

■内田さんの自分とぴったりくっついたお話は、
すごく素直にひきこまれて聞けました。意外と
「労働者」の講義をきく機会がないので、良かっ
たです。グループトークでちょっと明るい未来が
見えました。

DANS実行委員会の学習会感想文

5月20日(土)に「看護観と社会観―ものの見方の角度から」
というテーマでお話した、
民医連の中四地協DANS実行委員会での感想文が
送られてきたので、主催者の許可を得てそのまま掲載します。
すべて打ち直ししてくれて送っていただいたので、ありがたいです。
<学生>さんと<職員>さんに分けています。以下。


<学生>

■生活は権利、奪われてはいけないもの。看護を
する=患者の背景を考える、退院して困ること
はないのか。☆一人一人の人生や生活の背景に
思いをはせる想像力。数字は個を消す、過去か
ら学ぶ→より良い未来を創る(おかしいと言え
る)。学生である今は、患者の背景を考える事
は当たり前であるが、看護師になっても忘れて
はならないことだと思った。

■患者さん一人ひとりにはその人の歴史があり、
入院中も続いていて、退院後も続いていくと思っ
た。だからこそ、その患者さんに向き合い知っ
ていくことは大切。しかし、在院日数を短くし
ないといけないという流れがある。そういうシ
ステムのせいで、患者さんと向き合っていくこ
とが難しくなっているのでは…と感じた。今、
当たり前のことが当たり前じゃなくて、昔の人
たちのおかげだという事を改めて分かった。

■いろんな人と意見の交流を行う、貴重な時間が
あり、すごく学びを深めないといけないなと感
じた。看護についてなど、根本について学びな
おすことができた。

■今までは看護師は病院で働くというイメージが
あったけれど、病院に入院している患者さんだ
けを見るのではなく、それまでどのような生活
をしていたのか患者さんの周りの環境がどうな
のかを知ろうとすることが大切なのだと分かっ
た。また、昔は今より男女差別が激しかったり、
労働環境が整っていなかったりした現状を知り、
今の環境が当たり前ではないことを感じないと
いけないと思った。

■数字にすると個が消えてしまう。看護の対象は
人間であって、その人一人一人の人生・価値・
考えがある。だからこそ、数としてまとめず
一人を見る生活する人を看護するという視点が
大切。時代を生きてきた人を理解するには歴史
を学ぶ意味がある。
 今、当たり前に思っていることに、おかしい
という気持ちを生み出していくことが、より良
い未来につながる。歴史・人間・患者さんをど
うみるか、というものの見方を常に意識するこ
とが看護師に求められる力だと思った。先生の
言っていた共謀罪など、今起こっている歴史の
変化に敏感になる必要があり、ニュースを見る
こと世間で起こっていることに目を向けて、そ
こからつなげていくことが大切だと思った。

■看護師は見る力必要であり、看護であるもの
とないものの見分けを付けないといけない。私
たちは今、医療者と一般人の間で看護実習に行
ってないのに看護過程をしている。これはもう
想像力、調べ、視野を広くして学習し、アセス
メントしていかなければならない。学生のうち
は何が大切で何を見たらよいか、何が目的で看
護しているかを学んでいる。医療者である看護
師になれば、学生の頃のキモチを忘れてしまっ
ているかもしれないと思う。長久さんが言って
いたように、30代くらいの看護師が目上の患者
にタメ口という良くない関係が生まれたり、病
院内で患者は弱者という考えができてしまって
いる。初心を忘れずに看護することが大切だと
思う。また、患者の背景にも目を向け、長い目
で見て患者を診ていくことも重要であると思った。

■日常だけでなく歴史を見ること、患者だけで
なく、生活(背景)も知ろうとすること、つま
り物事を広く見ていくことが大切だと分かった。
今の当り前のことは昔の人が作り上げてきたこ
とで、自分の意思で動き未来は変わると思った。

■「数字は個を消す」といった言葉が印象に残っ
た。個を生活背景も含めてみることが大切。今、
自分たちが理想の看護をいうことが出来るのは、
昔過酷な労働に対する是正があったからこそだ
と思った。仕事のしすぎで自分の看護を見失わ
ないようにしたい。

■昔に声を上げてくれた人たちがいて、その人
たちのおかげで、改善されていっていることが
分かった。自分の思ったことを発言していくこ
とは大切だと思った。

■切り身の話は分かりやすかった。「女だから
男だから」と言って、やるやらないを決めるの
はいけないことだと思った。患者の事を知る為
にも一つのことだけではなく、すべての事に目
を向ける必要があると思った。

■患者を一方向から見るのではなく、生活背景や
結婚・出産を機に職場を退職して、復帰しても
非正規雇用が多いという現状を受けて、その人
に合った働き方ができるような制度が必要である
と思った。患者の立場になって考えてみる。

■患者を一方向から見るのではなく、生活背景や
結婚・出産を機に職場を退職して、復帰しても
非正規雇用が多いという現状を受けて、その人
に合った働き方ができるような制度が必要であ
ると思った。患者の立場に立って考えたら、年
下の相手にタメ口を使われると、どういう気持
ちになるのかを考える。

■切り身(患者)と海の話(生活)は印象的だっ
た。患者さんを見るだけでなく、その人の生活
を見ることが本当の看護だと感じた。患者の疾
病を見るのは当然であるが、その患者さんが退
院後に元の生活に限りなく近付けることが医療
従事者として重要な役割だと感じた。

■看護と言うのはルーチンワークでその人の病気
を改善すればいいのではなく、人と人なので患
者さんを物のように扱うのではまた違うという
事を、改めて感じました。戦争を経験していな
いことは大切だが、戦争を知らないという事は
とはまた別で、それは将来において大切だとい
う事が重要だということが印象的でした。

■日本の労働体制のおかしさ、戦前に逆戻りし
そうな法整備、日本の看護の歴史(印象的だっ
た点)今日の講演で、日本に今なお残る前時代
的な考え方を改めて考えさせられました。特に
女だから男だからと言うジェンダーや、長すぎ
る残業時間は、さらに少子化などの社会問題を
加速させてしまうと思いました。今の日本は
とても生きづらい国だと思います。

■以前実習に行った時、患者さんに対してタメ
口の人は良く見受けられた。医療現場は忙しい
ため、流れ作業になってしまう場合が多い。現
場に出ると、患者さんに寄り添える看護をとい
うのは難しくなってくるかも知れない。なので、
私は今の学生でいるうちに、患者さんの生活背
景をしっかり見て理解し、その人それぞれに必
要な援助・関わりを実習で行っていきたいと思
った。学生のうちに自分なりの看護観を見つけ
て、忙しい現場に出ても、それを礎に患者さん
の生活と身体を守っていけるようになりたいと
思った。

■患者さんの背景を考えることは看護を行う上
でとても重要であることは授業でもたびたび言
われていたので、今度の実習でも実践していき
たいと思いました。戦争のお話では、私の曾祖
父がソ連に捕虜にされていたことがあり、もし
ソ連で殺されていたなら私は生まれていなかっ
たので、とても他人事には思えませんでした。
雇用のお話では、日本はもっと海外のような制
度を取り入れていくべきだと思いました。雇用
制度が国民を苦しめていると出産・育児もでき
ないので、ますます少子高齢化に拍車をかける
と思います。

■一番印象に残っているのは「看護師だから行っ
ていること全てが看護という訳ではない」とい
う言葉です。学生が実習に行ってみる看護師の
行動はすべて「看護」に見えるけれど、患者さ
んが嫌な気分になるような関わりしか出来てい
なければ、それは「看護」ではないのかも知れ
ない、と感じました。言葉遣いや患者さんを個
として尊重することの大切さを感じました。ま
た、患者さんを切り身に例えたところでは、切
り身の状態だけでなく、本来の姿(患者さんの
生活背景、仕事について、地域について)も情
報を集めて関わっていきたいと思いました。

■ホワイトボードを使って説明して下さり、とて
も分かりやすかったです。言葉遣いの話があり、
私も実習中に受け持ちをさせて頂いた患者さん
から、「看護師の人はタメ口になったりして、
何かを感じていても言うことが出来ない」と言っ
ていました。→患者は弱者であること、私たち
は「看護をさせてもらっている」のに「看護を
している」になっている。→人権を考えた、ち
ゃんとした看護を行う。それには言葉遣い、法
律、歴史を知ることが必要となってくると思った。

■患者をカルテの情報だけで判断するのではなく、
患者一人一人の生活の背景を知ることで、患者
に対し適切なケアをすることができると学びま
した。患者に対してのタメ口も、患者と信頼関
係を築く上で、絶対にやってはいけないことだ
と感じました。初めてコミュニケーションは、
その人の印象を決めるため、とても大切なもの
になります。そのため、タメ口でのコミュニケ
ーションは、患者に不安感や不快感を与え、信
頼関係を築く上て適切なコミュニケーションで
はないと感じました。

■話がとても分かりやすくて、しっかり理解し
ながら聞くことができました。医療者として患
者を看る時は、その方の生活背景に目を向け、
目に見えぬものを見る努力をしなければならな
いということを知りました。そして、戦争や今
までに変わってきた看護の歴史は、今の代から
あまり年月は長く経ってはいなくて、これから
先の未来へどう向かって「どう生きたいのか・
どういう看護がしたいのか」その参考としての
歴史を学ぶこと、患者に対してのモノの見方、
捉え方を教えてもらえて良かったです。

■背景を考える習慣の大切さを感じた。

■古いおきての中で、年に妊娠は4人までなど
の規制があることに驚きました。現在では、
そのような規制があることはいけない事だと
認知されていますが、そのように思えること
は昔の方の運動の成果だと思います。私たち
も、自分たちの生活を見つめ直すいい機会と
なりました。全寮制で人権が守られていない。
→今でも、人権(プライバシー)が守られて
いない環境もあるので、良い看護を行うため
には労働条件も大切になることを学べました。

■病院で患者さんの姿はカルテやNsに聞けば
わかるが、入院前の生活は患者との人間関係
を築いていかないと聞くことが出来ない。患
者を看る努力、アプローチがNsに必要。

■長久さんの講演の中で、患者は弱者であるこ
とを認識すること、そしてケアする側の関係性
をうまく築いていく事の重要性を知ることが出
来ました。また、意見交換し合うことで、色々
な考え方を知ることができ、共有することで深
く濃い時間が過ごせました。

■看護の歴史も労働者と言う立場からみること
で、また異なる側面が見られると思いました。
共謀罪は表現の自由を奪うことに繋がると思い
ます。ニュースや情勢をチェックしていきたい
と思います。


<職員>

◎「患者さん」を「スーパーの切り身」と思っ
ている、患者背景を考える事の大切さ、川の下
流だけをみるのではなく、上流をみなくてはい
けない、労働問題などのお話が印象的で、例え
話があってわかりやすかったです。病棟での看
護で日々感じる違和感(患者に対するため口)
などの原因がわかったように思います。なぜ病
棟で退院前訪問をしているのかがよくわかりま
した。

◎看護観と社会観を過去の歴史と今の情勢(貧
困・共謀罪など)をわかりやすく伝えて頂いた
ことで大切なこと守らなければならないことが
クリアに伝わった。学生たちが学ぶことのない
雇用の現状と貧困との関連が理解できたのでは
ないか…。魚の切り身は分かりやすい、●●の悪
い○○さんという見方ではダメなのだということ
が伝わったかな…

◎患者を魚の切り身としてとらえるのではなく、
その人の生活・背景にまで目をこらす事が大切。
生活背景まで見るのは民医連らしさだと思った。
歴史を知らないと、過去から学ぶことはできな
いと改めて感じた。勉強することは大事!知識
がないと声を上げられない。

◎きちんと歴史から学ばれることが現代にはあ
り、また社会情勢等を学習し、正しい目を学生
とともに養っていきたい。現象だけを見るので
はなく、それまでのつながりや背景を見ること
が出来る看護師になってもらいたいと思う。共
謀罪においては、前の歴史を政府は学んでいな
いかと思うくらいに危険な方向に進んで行って
いることに恐怖を感じる。

◎自分は今年で4年目の看護師であるが、患者
さんを切り身のように思って済ましている後輩
がいるので、その後輩に切り身の魚の前の状態
からとらえていってもらえるよう、教えていき
たいと思った。

◎今の病院のシステムでは、患者を一部(切り
身)でしか見られなくなりがちだが、その中で
も民医連は退院後の患者を追いかけ、生活を見
るという話を聞いた。私も退院後訪問に行った
ことがあるが、その人の生活をみることは、入
退院を繰り返さないためにも重要だと感じた。

◎低賃金で働かされている、戦争について知ら
ないという事、戦争で何が起こるか知らないと
いうことが違うという事(印象的だった点)

◎全員が全員タメ口でないと言いたいです。確
かに業務が多く、すべてが看護とは思っていま
せんが、私は患者さんに“して上げる”など言わ
れたような気持ちで接していないので、そのよ
うな考え方はやめて頂きたいと思います。また、
普段から退院後の生活を考えて退院支援などを
させてもらっていることをこちら側から伝えた
いですね。ナイチンゲールの言っていることは、
今の看護の基礎になっていることを改めて学べ
ました。歴史を学ぶことで同じことを繰り返さ
ないようにしていく必要があると思いました。

◎病気だけではなく、患者さんの生活背景やそ
の人の生きてきた人生を尊厳する、日々の仕事
がつい忙しさからルーチン化してしまっている
ので、私は事務ですが院内での患者さんへの声
掛けなど、改めて気を付けたいと思いました。

◎患者さんの人権を大切にすることは、患者さ
んの生活に視点を向け、その生活を尊重するこ
とだと改めて感じた。患者さんの病気だけでな
く、病気をもった社会で生きる人間であること
を常に意識し、関わっていきたいと思った。過
去の人権を無視した看護の歴史は初めて知り、
驚きました。私たちが健康な心と身体で看護で
きるよう、看護の労働を整える活動は、今後も
取り組み続けていこうと思います。

◎長久先生のお話を聞くのは2回目でしたが、
やっぱり面白かったです。患者さんを見るとき
に、生活や背景をみること、考えることが、よ
い看護に繋がるというお話は、本当にそうだと
思うし、もっとやりたいと思うのですが、なか
なか時間が取れず、患者さんの背景をみるトレ
ーニングもできないという現実。少しでもいい
から、声掛けあって患者さんに寄り添う職場に
したいです。学生さんには、今の実習で一人ひ
とりの患者さんを大事にしてもらいたいです。

◎看護師だから、看護をして上げるという考え
や慣れが、患者さんへの接遇の悪さへ繋がって
いるということ、看護とは何かについて考えさ
せられた。「死者〇万人」など数字化されてし
まうと見え方が変わってしまって、亡くなった
一人ひとりの人生背景があるということ、忘れ
ちゃいけないと思った。弱者が声をあげ、作り
上げてきた権利を弱者を守るために学んでいか
なければならない。

◎「患者さんを切り身の魚のように…」は、普
段仕事をしているとき、業務に追われて患者さ
んに向き合えてない事があると思い返した。看
護師として患者さん個々に合った関わりを心が
けていきたいと思った。

◎長久事務局長さんの話は、とっても分かりや
すかった。民医連看護の基本、考え方、「目に
見えないものを見る努力」「現象→背景を見る」
を再認できた。日常の変化だけでなく、歴史の
変化もつかもうで、こういう入り方だと歴史も
学びたくなりました。

◎すべての話が分かりやすく、学ぶことが多か
った。民医連の看護について、一人一人の患者
の背景まで考えることは本当に大変で、めんど
うだと思うが、そのような視点を持つこと、訓
練することが大事だということ、理解が深まっ
た。過去から学ぶこと、想像力を働かせること
が大事だということも学んだ。歴史を学び、過
ちを繰り返さないことが大事だという事が分かっ
た。共謀罪について、言いたいことが言えなく
なるという時代は本当に怖い世の中になってい
くのではないかと思う。

◎歴史を学ぶということの意味を改めて学んだ。
私たちが今こうして当たり前に生活できている
ことの意味に繋がる。

◎現在、在院日数の短縮化で、一人の患者さん
と関わる時間はどんどん短くなっていっている。
意識を持って関わりを持たなければ、業務に流
され見えるものも見えてこない。患者さんの背
景・地域や家庭など意識を向け関わろうとする
ことは、患者さんと信頼関係がなければ、患者
さんも言おうと思わないし、言い合える関係に
もならないと考えさせられた。

◎「患者さんへのため口」や「それは看護じゃ
ない!」など。病棟師長さん達がよく漏らす
(小耳にはさむ)悩みそのままでした。ですが、
「患者さんを切り身としてではなく、本来の泳
ぐ姿を見る力」は、民医連綱領の「生活と労働
から疾病をとらえる」と同じなので、当院も出
来ている!!…と思いたいです。

◎長久先生の体験や、長崎原爆の記録から、も
のの見方捉え方の角度の意味を理解することが
出来ました。私たち医療従事者は病棟のことし
か見えておらず、退院先までの生活を見据えて
介入はしているが、退院先の生活をどう過ごさ
れているかまでは把握していません。原爆にし
ても、自分たちは戦争を知らない時代に生まれ
て、法律が解されている今、歴史を知る!もの
の見方を長久先生がとらえるトレーニングをす
るということを聞いて、DANS本番でも「歴史
は鏡である」ように、過去を知ることは今に繋
がると思います。人は見方を変えて、本質を見
分けることが大切だと改めて思いました。とて
も良い講義でした。

◎看護労働の歴史には衝撃でした。現在は過去
からの何かしらの動きの結果で、未来への過程
であるとは常々思っていたつもりでしたが、私
たちの置かれている「医療現場の労働環境」は、
リタイアした諸先輩方・一緒に働く諸先輩方の
積み重ねてきた日々の結果で、これからの後輩
たちのより良い「医療現場の労働環境」への途
中なのだなと改めて感じました。タメ口が絶対
悪いものとは一概に言えず、例えば医事でも、
高齢の方だと方言交じりのタメ口の方が患者さ
ん話してくれる(親しみをもってくれる)・耳
なじみが良く聞き取りやすいというのはありま
す。ただ、それが相手にとって周囲にとって不
快になってないか、という客観的評価(=色ん
な角度の見方)が必要で、その見方が出来るよ
うになるには、学習・経験は必要だなと感じま
す。患者背景を探るキッカケになる目も、客観
的評価をする目も、歴史と学びと経験から培わ
れるものなので、医療従事者というよりも「人
として」在るに必要なことを再認識しました。