長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

DANS実行委員会の学習会感想文

5月20日(土)に「看護観と社会観―ものの見方の角度から」
というテーマでお話した、
民医連の中四地協DANS実行委員会での感想文が
送られてきたので、主催者の許可を得てそのまま掲載します。
すべて打ち直ししてくれて送っていただいたので、ありがたいです。
<学生>さんと<職員>さんに分けています。以下。


<学生>

■生活は権利、奪われてはいけないもの。看護を
する=患者の背景を考える、退院して困ること
はないのか。☆一人一人の人生や生活の背景に
思いをはせる想像力。数字は個を消す、過去か
ら学ぶ→より良い未来を創る(おかしいと言え
る)。学生である今は、患者の背景を考える事
は当たり前であるが、看護師になっても忘れて
はならないことだと思った。

■患者さん一人ひとりにはその人の歴史があり、
入院中も続いていて、退院後も続いていくと思っ
た。だからこそ、その患者さんに向き合い知っ
ていくことは大切。しかし、在院日数を短くし
ないといけないという流れがある。そういうシ
ステムのせいで、患者さんと向き合っていくこ
とが難しくなっているのでは…と感じた。今、
当たり前のことが当たり前じゃなくて、昔の人
たちのおかげだという事を改めて分かった。

■いろんな人と意見の交流を行う、貴重な時間が
あり、すごく学びを深めないといけないなと感
じた。看護についてなど、根本について学びな
おすことができた。

■今までは看護師は病院で働くというイメージが
あったけれど、病院に入院している患者さんだ
けを見るのではなく、それまでどのような生活
をしていたのか患者さんの周りの環境がどうな
のかを知ろうとすることが大切なのだと分かっ
た。また、昔は今より男女差別が激しかったり、
労働環境が整っていなかったりした現状を知り、
今の環境が当たり前ではないことを感じないと
いけないと思った。

■数字にすると個が消えてしまう。看護の対象は
人間であって、その人一人一人の人生・価値・
考えがある。だからこそ、数としてまとめず
一人を見る生活する人を看護するという視点が
大切。時代を生きてきた人を理解するには歴史
を学ぶ意味がある。
 今、当たり前に思っていることに、おかしい
という気持ちを生み出していくことが、より良
い未来につながる。歴史・人間・患者さんをど
うみるか、というものの見方を常に意識するこ
とが看護師に求められる力だと思った。先生の
言っていた共謀罪など、今起こっている歴史の
変化に敏感になる必要があり、ニュースを見る
こと世間で起こっていることに目を向けて、そ
こからつなげていくことが大切だと思った。

■看護師は見る力必要であり、看護であるもの
とないものの見分けを付けないといけない。私
たちは今、医療者と一般人の間で看護実習に行
ってないのに看護過程をしている。これはもう
想像力、調べ、視野を広くして学習し、アセス
メントしていかなければならない。学生のうち
は何が大切で何を見たらよいか、何が目的で看
護しているかを学んでいる。医療者である看護
師になれば、学生の頃のキモチを忘れてしまっ
ているかもしれないと思う。長久さんが言って
いたように、30代くらいの看護師が目上の患者
にタメ口という良くない関係が生まれたり、病
院内で患者は弱者という考えができてしまって
いる。初心を忘れずに看護することが大切だと
思う。また、患者の背景にも目を向け、長い目
で見て患者を診ていくことも重要であると思った。

■日常だけでなく歴史を見ること、患者だけで
なく、生活(背景)も知ろうとすること、つま
り物事を広く見ていくことが大切だと分かった。
今の当り前のことは昔の人が作り上げてきたこ
とで、自分の意思で動き未来は変わると思った。

■「数字は個を消す」といった言葉が印象に残っ
た。個を生活背景も含めてみることが大切。今、
自分たちが理想の看護をいうことが出来るのは、
昔過酷な労働に対する是正があったからこそだ
と思った。仕事のしすぎで自分の看護を見失わ
ないようにしたい。

■昔に声を上げてくれた人たちがいて、その人
たちのおかげで、改善されていっていることが
分かった。自分の思ったことを発言していくこ
とは大切だと思った。

■切り身の話は分かりやすかった。「女だから
男だから」と言って、やるやらないを決めるの
はいけないことだと思った。患者の事を知る為
にも一つのことだけではなく、すべての事に目
を向ける必要があると思った。

■患者を一方向から見るのではなく、生活背景や
結婚・出産を機に職場を退職して、復帰しても
非正規雇用が多いという現状を受けて、その人
に合った働き方ができるような制度が必要である
と思った。患者の立場になって考えてみる。

■患者を一方向から見るのではなく、生活背景や
結婚・出産を機に職場を退職して、復帰しても
非正規雇用が多いという現状を受けて、その人
に合った働き方ができるような制度が必要であ
ると思った。患者の立場に立って考えたら、年
下の相手にタメ口を使われると、どういう気持
ちになるのかを考える。

■切り身(患者)と海の話(生活)は印象的だっ
た。患者さんを見るだけでなく、その人の生活
を見ることが本当の看護だと感じた。患者の疾
病を見るのは当然であるが、その患者さんが退
院後に元の生活に限りなく近付けることが医療
従事者として重要な役割だと感じた。

■看護と言うのはルーチンワークでその人の病気
を改善すればいいのではなく、人と人なので患
者さんを物のように扱うのではまた違うという
事を、改めて感じました。戦争を経験していな
いことは大切だが、戦争を知らないという事は
とはまた別で、それは将来において大切だとい
う事が重要だということが印象的でした。

■日本の労働体制のおかしさ、戦前に逆戻りし
そうな法整備、日本の看護の歴史(印象的だっ
た点)今日の講演で、日本に今なお残る前時代
的な考え方を改めて考えさせられました。特に
女だから男だからと言うジェンダーや、長すぎ
る残業時間は、さらに少子化などの社会問題を
加速させてしまうと思いました。今の日本は
とても生きづらい国だと思います。

■以前実習に行った時、患者さんに対してタメ
口の人は良く見受けられた。医療現場は忙しい
ため、流れ作業になってしまう場合が多い。現
場に出ると、患者さんに寄り添える看護をとい
うのは難しくなってくるかも知れない。なので、
私は今の学生でいるうちに、患者さんの生活背
景をしっかり見て理解し、その人それぞれに必
要な援助・関わりを実習で行っていきたいと思
った。学生のうちに自分なりの看護観を見つけ
て、忙しい現場に出ても、それを礎に患者さん
の生活と身体を守っていけるようになりたいと
思った。

■患者さんの背景を考えることは看護を行う上
でとても重要であることは授業でもたびたび言
われていたので、今度の実習でも実践していき
たいと思いました。戦争のお話では、私の曾祖
父がソ連に捕虜にされていたことがあり、もし
ソ連で殺されていたなら私は生まれていなかっ
たので、とても他人事には思えませんでした。
雇用のお話では、日本はもっと海外のような制
度を取り入れていくべきだと思いました。雇用
制度が国民を苦しめていると出産・育児もでき
ないので、ますます少子高齢化に拍車をかける
と思います。

■一番印象に残っているのは「看護師だから行っ
ていること全てが看護という訳ではない」とい
う言葉です。学生が実習に行ってみる看護師の
行動はすべて「看護」に見えるけれど、患者さ
んが嫌な気分になるような関わりしか出来てい
なければ、それは「看護」ではないのかも知れ
ない、と感じました。言葉遣いや患者さんを個
として尊重することの大切さを感じました。ま
た、患者さんを切り身に例えたところでは、切
り身の状態だけでなく、本来の姿(患者さんの
生活背景、仕事について、地域について)も情
報を集めて関わっていきたいと思いました。

■ホワイトボードを使って説明して下さり、とて
も分かりやすかったです。言葉遣いの話があり、
私も実習中に受け持ちをさせて頂いた患者さん
から、「看護師の人はタメ口になったりして、
何かを感じていても言うことが出来ない」と言っ
ていました。→患者は弱者であること、私たち
は「看護をさせてもらっている」のに「看護を
している」になっている。→人権を考えた、ち
ゃんとした看護を行う。それには言葉遣い、法
律、歴史を知ることが必要となってくると思った。

■患者をカルテの情報だけで判断するのではなく、
患者一人一人の生活の背景を知ることで、患者
に対し適切なケアをすることができると学びま
した。患者に対してのタメ口も、患者と信頼関
係を築く上で、絶対にやってはいけないことだ
と感じました。初めてコミュニケーションは、
その人の印象を決めるため、とても大切なもの
になります。そのため、タメ口でのコミュニケ
ーションは、患者に不安感や不快感を与え、信
頼関係を築く上て適切なコミュニケーションで
はないと感じました。

■話がとても分かりやすくて、しっかり理解し
ながら聞くことができました。医療者として患
者を看る時は、その方の生活背景に目を向け、
目に見えぬものを見る努力をしなければならな
いということを知りました。そして、戦争や今
までに変わってきた看護の歴史は、今の代から
あまり年月は長く経ってはいなくて、これから
先の未来へどう向かって「どう生きたいのか・
どういう看護がしたいのか」その参考としての
歴史を学ぶこと、患者に対してのモノの見方、
捉え方を教えてもらえて良かったです。

■背景を考える習慣の大切さを感じた。

■古いおきての中で、年に妊娠は4人までなど
の規制があることに驚きました。現在では、
そのような規制があることはいけない事だと
認知されていますが、そのように思えること
は昔の方の運動の成果だと思います。私たち
も、自分たちの生活を見つめ直すいい機会と
なりました。全寮制で人権が守られていない。
→今でも、人権(プライバシー)が守られて
いない環境もあるので、良い看護を行うため
には労働条件も大切になることを学べました。

■病院で患者さんの姿はカルテやNsに聞けば
わかるが、入院前の生活は患者との人間関係
を築いていかないと聞くことが出来ない。患
者を看る努力、アプローチがNsに必要。

■長久さんの講演の中で、患者は弱者であるこ
とを認識すること、そしてケアする側の関係性
をうまく築いていく事の重要性を知ることが出
来ました。また、意見交換し合うことで、色々
な考え方を知ることができ、共有することで深
く濃い時間が過ごせました。

■看護の歴史も労働者と言う立場からみること
で、また異なる側面が見られると思いました。
共謀罪は表現の自由を奪うことに繋がると思い
ます。ニュースや情勢をチェックしていきたい
と思います。


<職員>

◎「患者さん」を「スーパーの切り身」と思っ
ている、患者背景を考える事の大切さ、川の下
流だけをみるのではなく、上流をみなくてはい
けない、労働問題などのお話が印象的で、例え
話があってわかりやすかったです。病棟での看
護で日々感じる違和感(患者に対するため口)
などの原因がわかったように思います。なぜ病
棟で退院前訪問をしているのかがよくわかりま
した。

◎看護観と社会観を過去の歴史と今の情勢(貧
困・共謀罪など)をわかりやすく伝えて頂いた
ことで大切なこと守らなければならないことが
クリアに伝わった。学生たちが学ぶことのない
雇用の現状と貧困との関連が理解できたのでは
ないか…。魚の切り身は分かりやすい、●●の悪
い○○さんという見方ではダメなのだということ
が伝わったかな…

◎患者を魚の切り身としてとらえるのではなく、
その人の生活・背景にまで目をこらす事が大切。
生活背景まで見るのは民医連らしさだと思った。
歴史を知らないと、過去から学ぶことはできな
いと改めて感じた。勉強することは大事!知識
がないと声を上げられない。

◎きちんと歴史から学ばれることが現代にはあ
り、また社会情勢等を学習し、正しい目を学生
とともに養っていきたい。現象だけを見るので
はなく、それまでのつながりや背景を見ること
が出来る看護師になってもらいたいと思う。共
謀罪においては、前の歴史を政府は学んでいな
いかと思うくらいに危険な方向に進んで行って
いることに恐怖を感じる。

◎自分は今年で4年目の看護師であるが、患者
さんを切り身のように思って済ましている後輩
がいるので、その後輩に切り身の魚の前の状態
からとらえていってもらえるよう、教えていき
たいと思った。

◎今の病院のシステムでは、患者を一部(切り
身)でしか見られなくなりがちだが、その中で
も民医連は退院後の患者を追いかけ、生活を見
るという話を聞いた。私も退院後訪問に行った
ことがあるが、その人の生活をみることは、入
退院を繰り返さないためにも重要だと感じた。

◎低賃金で働かされている、戦争について知ら
ないという事、戦争で何が起こるか知らないと
いうことが違うという事(印象的だった点)

◎全員が全員タメ口でないと言いたいです。確
かに業務が多く、すべてが看護とは思っていま
せんが、私は患者さんに“して上げる”など言わ
れたような気持ちで接していないので、そのよ
うな考え方はやめて頂きたいと思います。また、
普段から退院後の生活を考えて退院支援などを
させてもらっていることをこちら側から伝えた
いですね。ナイチンゲールの言っていることは、
今の看護の基礎になっていることを改めて学べ
ました。歴史を学ぶことで同じことを繰り返さ
ないようにしていく必要があると思いました。

◎病気だけではなく、患者さんの生活背景やそ
の人の生きてきた人生を尊厳する、日々の仕事
がつい忙しさからルーチン化してしまっている
ので、私は事務ですが院内での患者さんへの声
掛けなど、改めて気を付けたいと思いました。

◎患者さんの人権を大切にすることは、患者さ
んの生活に視点を向け、その生活を尊重するこ
とだと改めて感じた。患者さんの病気だけでな
く、病気をもった社会で生きる人間であること
を常に意識し、関わっていきたいと思った。過
去の人権を無視した看護の歴史は初めて知り、
驚きました。私たちが健康な心と身体で看護で
きるよう、看護の労働を整える活動は、今後も
取り組み続けていこうと思います。

◎長久先生のお話を聞くのは2回目でしたが、
やっぱり面白かったです。患者さんを見るとき
に、生活や背景をみること、考えることが、よ
い看護に繋がるというお話は、本当にそうだと
思うし、もっとやりたいと思うのですが、なか
なか時間が取れず、患者さんの背景をみるトレ
ーニングもできないという現実。少しでもいい
から、声掛けあって患者さんに寄り添う職場に
したいです。学生さんには、今の実習で一人ひ
とりの患者さんを大事にしてもらいたいです。

◎看護師だから、看護をして上げるという考え
や慣れが、患者さんへの接遇の悪さへ繋がって
いるということ、看護とは何かについて考えさ
せられた。「死者〇万人」など数字化されてし
まうと見え方が変わってしまって、亡くなった
一人ひとりの人生背景があるということ、忘れ
ちゃいけないと思った。弱者が声をあげ、作り
上げてきた権利を弱者を守るために学んでいか
なければならない。

◎「患者さんを切り身の魚のように…」は、普
段仕事をしているとき、業務に追われて患者さ
んに向き合えてない事があると思い返した。看
護師として患者さん個々に合った関わりを心が
けていきたいと思った。

◎長久事務局長さんの話は、とっても分かりや
すかった。民医連看護の基本、考え方、「目に
見えないものを見る努力」「現象→背景を見る」
を再認できた。日常の変化だけでなく、歴史の
変化もつかもうで、こういう入り方だと歴史も
学びたくなりました。

◎すべての話が分かりやすく、学ぶことが多か
った。民医連の看護について、一人一人の患者
の背景まで考えることは本当に大変で、めんど
うだと思うが、そのような視点を持つこと、訓
練することが大事だということ、理解が深まっ
た。過去から学ぶこと、想像力を働かせること
が大事だということも学んだ。歴史を学び、過
ちを繰り返さないことが大事だという事が分かっ
た。共謀罪について、言いたいことが言えなく
なるという時代は本当に怖い世の中になってい
くのではないかと思う。

◎歴史を学ぶということの意味を改めて学んだ。
私たちが今こうして当たり前に生活できている
ことの意味に繋がる。

◎現在、在院日数の短縮化で、一人の患者さん
と関わる時間はどんどん短くなっていっている。
意識を持って関わりを持たなければ、業務に流
され見えるものも見えてこない。患者さんの背
景・地域や家庭など意識を向け関わろうとする
ことは、患者さんと信頼関係がなければ、患者
さんも言おうと思わないし、言い合える関係に
もならないと考えさせられた。

◎「患者さんへのため口」や「それは看護じゃ
ない!」など。病棟師長さん達がよく漏らす
(小耳にはさむ)悩みそのままでした。ですが、
「患者さんを切り身としてではなく、本来の泳
ぐ姿を見る力」は、民医連綱領の「生活と労働
から疾病をとらえる」と同じなので、当院も出
来ている!!…と思いたいです。

◎長久先生の体験や、長崎原爆の記録から、も
のの見方捉え方の角度の意味を理解することが
出来ました。私たち医療従事者は病棟のことし
か見えておらず、退院先までの生活を見据えて
介入はしているが、退院先の生活をどう過ごさ
れているかまでは把握していません。原爆にし
ても、自分たちは戦争を知らない時代に生まれ
て、法律が解されている今、歴史を知る!もの
の見方を長久先生がとらえるトレーニングをす
るということを聞いて、DANS本番でも「歴史
は鏡である」ように、過去を知ることは今に繋
がると思います。人は見方を変えて、本質を見
分けることが大切だと改めて思いました。とて
も良い講義でした。

◎看護労働の歴史には衝撃でした。現在は過去
からの何かしらの動きの結果で、未来への過程
であるとは常々思っていたつもりでしたが、私
たちの置かれている「医療現場の労働環境」は、
リタイアした諸先輩方・一緒に働く諸先輩方の
積み重ねてきた日々の結果で、これからの後輩
たちのより良い「医療現場の労働環境」への途
中なのだなと改めて感じました。タメ口が絶対
悪いものとは一概に言えず、例えば医事でも、
高齢の方だと方言交じりのタメ口の方が患者さ
ん話してくれる(親しみをもってくれる)・耳
なじみが良く聞き取りやすいというのはありま
す。ただ、それが相手にとって周囲にとって不
快になってないか、という客観的評価(=色ん
な角度の見方)が必要で、その見方が出来るよ
うになるには、学習・経験は必要だなと感じま
す。患者背景を探るキッカケになる目も、客観
的評価をする目も、歴史と学びと経験から培わ
れるものなので、医療従事者というよりも「人
として」在るに必要なことを再認識しました。