長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

憲法カフェ。安心して話ができる雰囲気大事。

今日午前中は、新婦人倉敷支部の2つの班合同での「憲法カフェ」。

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「カフェ」と銘打ちながらカフェでない企画もありますが、
カフェを意識しつつの進行。
もちろん新婦人さんなので
お菓子と珈琲(プラスお茶も出ました~)の準備はバッチリ。

「安心してリラックスしながら、
なんでも話ができる雰囲気」をつくるために
最初からぼくがしゃべりまくるのではなく
参加者交流する感じからスタートしました。

しかし! 意外に憲法のことを理解している人が少ない…(+_+)
まだまだ憲法カフェ必要です。

後半は改憲問題や情勢の話でもりあがり時間ぜんぜん足りず…。

鵜飼谷温泉で憲法学習

きのうは朝9時から和気の鵜飼谷温泉にて講師仕事。
岡山県民医連の初期事務職員研修でした。

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前日、長島でハンセン病のフィールドワークしてからの1泊研修。
「憲法を学ぶ視点」というテーマで講義。

最初に
「後輩の事務職員に『なんで憲法を学ぶんですか』と
聞かれたらなんて答える?」のワークをしました。

そして最後に、
「憲法を学ぶことで育つ『民医連の強み(特色)』は?」の
ワークショップも。

参加者に考えてもらうこと重視で。

文章教室を労働組合のみなさん対象に

土曜日(20日)午後は、
生協労連・中四国地連の春闘組合学校の分科会にて講師仕事。

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先月、学習協で開催した「書いて伝える・文章教室」を
今度は労働組合のみなさん対象に3時間みっちり。

みなさん労働組合のニュースづくりに苦労されているようです。
誰もそんな訓練を受けてませんから当然なんですが。

ときおりワークショップを混ぜながら、よい学びあいに。
チラシにダメだし、他の組合のニュースを評価してみる、
見出しやキャッチコピーを考えてみるなど、実践的に。

この日のメインの分科会では、
全労連・名取さんによるトラブルメーカーズスクールが。
本音はこっちに参加したかった…!(苦笑)

最近は平日に休むことが増えました。

きのう(18日)も介護休みの1日。
土日に講師仕事が入ることが多いので、
最近は平日2日休むことが多いです。

買い物や家事、介護などで1日が終わりました・・・。
わりとゆったりと過ごせました。

この週末も学習会2つです。
学習運動の全国連絡会議が東京でありますが、
べつの人に行ってもらいます。

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にゃんずたちは朝から来客があり、
コーフンしておりました。

もみの木保育園 職員学習会8回目。

16日(火)の夜は、
もみの木保育園の「ものの見方・考え方」職員学習会8回目。
仕事を終えてからの学習会、いつもすごいなと思います。

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「人権感覚をみがく」というテーマで、
人権とは憲法とは、人権感覚をみがくとは、
保育労働者として、などなど。

感想文をいくつか紹介します。

■人類の先輩からたくされた人権、憲法をどう生かして
いくのか・・・。まだ考えが思いつかないです。人権と
なると、どうしても他人の~、他人に~と自分以外の
ことと考えてしまっていたけど、私にもあったんよな、
と再確認するとともに、自分を大切する(人権も)こと
で他人のことも大切にできるのではないかと思いました。

■基本的人権について、なかなか思いつかず、他の方が
あげていくのを聞いて「ああそうか」と思った。日常
生活のなかで当たり前になっていることもちゃんと
権利としてあるということを忘れないようにしたい。
自分の人権を侵害されないためにも、他の人の人権を
侵害してしまわないためにも。憲法97条の「過去幾
多の~」の文章がとても印象的だった。今の人権は
昔から人が運動して勝ち取ったものというところが。

■人権の感覚をみがく・・・。私が私でいられるための自
由や権利。私たちは生まれたらあるものだったけど、
この人権を得るためには、昔の人の頑張りや努力があっ
たということを改めて知れて、もっと憲法や人権に興味
をもっていきたいと思いました。「これはおかしい!」
と言うことができるように、もっと自分自身を高めて
いきたいなと思いました。

自治労連愛媛県本部の女性部で講演

日曜日(14日)は午後、
自治労連愛媛県本部の女性部定期大会での講師仕事でした。

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松山駅から徒歩5分のところにある自治労連会館にて。
わりと大きな会議室もあります。

「私が私であるためにー女性と憲法」
というテーマで1時間のお話でした。

生活と労働組合、ゆとりとは、
家事労働の偏りとジェンダー。
背景にある長時間労働の問題。日本の雇われ組の現状。
女性労働者のさまざまな困難。

人権とは。人権感覚をみがくためには。
労働組合は人間の尊厳を取り戻す場。

という感じの流れ。

35人の参加で、終了後、持参した
『労働組合たんけん隊』『ものの見方たんけん隊』を販売。
なんとぜーんぶ売れました…。24冊完売です。
みなさんの反応がとてもよかったです。ありがとうございます。
終了後の微妙な写真しか撮れずすみません。

帰りの特急しおかぜの車窓から。
瀬戸内海のへりを走るのであります。

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手をうっていく予定。

いろいろなことをしながら、
今年重点を置いている勤労者通信大学の
要請活動に行っている。

といってもまだ3か所だけれど。
まあ率直に言って、これまでは勤通大の活動が
弱かったこともあり、
受けとめる側も「久しぶり」な感じなのかもしれない。

反応はまずまずである。

入門コース180名が県内の目標である。
次々と手をうっていく予定である。

医労連中国地方協・2018春闘討論集会にて基礎講座

土曜日(13日)午前中は玉野にて、
医労連中国地方協・18春闘討論集会。

朝9時からで1時間の講義のお役目でした。
前日に全体会があり、この日はいくつかの分散会と
この基礎講座だそうです。20数名の参加でした。
全体では100名規模の集会でした。

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労働組合のそもそもをお話しました。
講義のあと、となりの席の人とペアトーク10分、
さらに4人グループで20分のディスカッション。
なかなかよい運営だなと思いました。

勤労者通信大学「入門コース」の募集を本格スタートさせる

相変わらず仕事時間が少ないので、
できることはかぎられている。

そんなか、今年は勤労者通信大学の
受講組織を意思的に追求しようと計画中。

新しく「入門コース」が開設されるからだ。

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このブログでもときどき書いていたが、
2年ほど前から私もこの入門コースの
テキストづくりに関わってきて、ひんぱんに東京で会議をしていた。
全部で5章あるなかの、1章と5章の原稿執筆も担当した。

かなりのエネルギーをかけてつくったテキストだけに、
たくさんの人に読んでもらいたい。
そして感想や意見をいただき、
来年度以降さらによいテキストにしていく努力をしたい。

だから、受講生をたくさん募るための
仕掛けをいろいろ考えているところ。

入門コースの意義は、ほかにもさまざまな角度から
語れると思うのだけれど、それはまた順次。

来週から本格的に岡山県内の労働組合への
要請活動をスタートさせていく。

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「わかる」ように伝える言葉

『人権21-調査と研究』(おかやま人権研究センター発行)の
2017年12月号に以下の文章を書きました。ご紹介します。


「わかる」ように伝える言葉
 
人に伝える、とりわけ「わかる」ように伝わる言葉や
論理とはなんだろう、といつも考えています。労働者の
みなさんが「納得」して、活動への1歩をふみ出しても
らうことが、学習運動の役割ですから。
 いま再注目されている、吉野源三郎さんの『君たちは
どう生きるか』(岩波文庫版)の解説に、こんな叙述が
あります。
 「あくまでコペル君のごく身近にころがっている、あ
りふれた事象の観察とその経験から出発し、『あふりふ
れた』ように見えることが、いかにありふれた見聞の次
元に属さない、複雑な社会関係とその法則の具象化であ
るか、ということを一段一段と十四歳の少年に得心させ
てゆく」(『君たちはどう生きるかをめぐる回想』丸山
真男)
 たとえば、「安倍政権は・・・」「いま改憲の動きが急
ピッチで・・・」という切り出し方で、日々ゆとりのない生
活送っている多くの労働者や青年に届くでしょうか。難
しいと思っています。安倍政権の悪政や憲法というもの
が「自分の生活や働き方」に関わっている、だからそれ
を問題にせねばならない、というのは、認識が深化して
生活と政治が結びついている人にだけ通じる言葉です。
 「ごく身近にころがっている」ことから出発し、その
身近な「自分ごと」と、社会や政治はつながっている、
ということをつなげていく言葉や論理、仲間どうしの議
論が必要だと思っています。
 聞いている人、読んでいる人にグッと接近できる、身
近で平易な言葉を意識します。また、「こんな言葉は知
らないだろうなあ」ということへの想像力を働かせて、
難しい言葉はきちんと説明するし、略さない、そして身
近に感じる「例え」がとても大事だと思っています。
 講師活動でとくに大事にしているのは、どんな内容の
テーマでも、抽象的な話におちいらず、できるだけ具体
的な話をすること、できるだけ顔の見える個人を登場さ
せることです。数字は個を消してしまうので、使うとき
は注意が必要です。
 私は、岡山で民医連がつくったソワニエ看護専門学校
で「ものの見方・考え方」という単位の非常勤講師をさ
せてもらっているのですが、学生さんの反応はすごく素
直で、こちらが抽象的な話をすれば、確実に寝ます。べ
つに看護の国家試験とは関係のない授業で、寝ても構わ
ないので、まったく躊躇ありません。でも、こちらが熱
をもってリアルな話、具体的な人間の話をすると、すご
く真剣に聞いてくれます。だから、上手に概念的で論理
的な話と具体的な話とを結びつけて語る力量が、求めら
れているのだと思います。これは文章を書くときも同じ
かなと思っています。

唯物論と弁証法の説明で
 
一例として、学習協教育運動で重視している哲学学習、
そのなかでも唯物論と弁証法の説明例、伝え方について
私の試みを紹介したいと思います。
 まず、唯物論です。私がいつも唯物論の話で強調して
いるのは、「ありのままにものごとを見る」のは、とて
も難しい、努力が必要なことなのだ、という点です。人
間の認識の過程で生まれる「決めつけ、先入観、思い込
み」や、体験の絶対化が、私たちの目を曇らせる役割を
果たしています。ここでも、「人への見方」「血液型性
格判断」などの具体的で身近な例をあげて、説明します。
「なぜ? どうして? もっとよく考えてみよう・・・と
あれこれ努力するより、どうせこうだろう、と思うほう
がラクチン。先入観という『便利なメガネ』をかけたく
なる」ということを指摘します。事実をつかむためには、
時間や労力などの努力が必要であり、事実から遠ざけよ
うとする人たちによって、私たちの無知は利用される、
という点を押えます。
 ここまできてはじめて、「事実から出発するものの見
方を、唯物論といいます」という説明をします。物質と
精神、どちらが根源か。こういう話も必要に応じてして
いきます。そして、念を押しつつ、唯物論はものごとの
本質をつかむ力をもつが、簡単ではない、という話をし
ます。
 次に弁証法です。弁証法は、一筋縄ではいかない現実
をとらえる、一筋縄ではない考え方ですので、いつも説
明には苦労しますが、ここでも肝心なのは、「例え」で
す。私はできるだけ自然法則ではなく、自分たちの生活
や活動のなか、身近なところでの「例え」を使って説明
するようにしています。弁証法は、私たちの生き方や活
動をより豊かにしてくれるものの見方だと、知ってもら
いたいという思いからです。
 岡山のソワニエ看護専門学校でも、弁証法の授業のと
きに、自分の変化や可能性について、弁証法を適用して
説明すると、すごく反響があります。2017年度授業
の、学生さんの反応をいくつか紹介します。
 「毎日、同じことの繰り返しで、つかれたなとかしん
どいなあと思っていたけど、気がつけば半年経ってまし
た。もし、この半年で1つでもコツコツ何か頑張ってい
ることがあったとしたら、きっと自分の力になっている
んだろうなあと思った。1日を、1日だけで終わると思
うか、連続した人生のなかの一部と思って努力するかで、
自分の一生はまったく違うものになるんだろうなと考え
た」
 「『矛盾』は自分を成長させるもの、前に進むために
必要なもの。すごくひびきました。常に目標をもってコ
ツコツとやってみようかなあと思います」
 「『矛盾こそが自分を高める』。名言です。中身も成
長していきたいですね」
 「私は日々、『私なんてどうせ』と思っていますが、
同時に、どうせ駄目なのはわかっているんだからと期待
せずに挑戦できます。だから失敗が当然で、でもできた
らすっごく嬉しい。まさに、先生の言っていた『○と×の
同居』だと思います。今まで、失敗に対する予防線をは
っているだけのネガティブ思考だとマイナスのイメージ
でしたが、『○と×の同居が成長の法則性』と言われ、目
からウロコの気持ちです」
 若い人たちにとって、弁証法的なものの見方は、常識
的な見方をうちやぶる、新鮮なものの見方として受けと
められ、感動するのです。

成長のための弁証法
 
弁証法の説明も模索中なのですが、だいたい以下のよ
うな話をしています。
 1つ目は、「自分のなかに『大きな矛盾』をつくる」
です。弁証法は、事物内部の矛盾が発展の原動力という
とらえかたをします。これは自分自身の成長という問題
にも当然あてはまるわけで、自分のなかで大きな矛盾を
つくるということが大事だと説明します。 
 「こうありたい自分」と「いまの自分」がぶつかりあ
う。これが自分にとっての矛盾となりまず。こうした矛
盾をつくるには、「めあて」になる人をつくる、という
ことが有効です。自分のなかで、「こんな人になりたい」
というめあてです。そして、それとは離れた今の自分の
現状。この矛盾が、自己を弁証法的に否定するエネルギ
ーになります。そして、「自分づくり」の「目標」と
「そのための計画」をつくることも大事です。こうなり
たいという「願望」だけでは成長できませんので、具体
的に自分を高める「無理」をする目標や計画をつくると
いうことです。無理するという言葉は、否定的な言葉で
すが、弁証法的にとらえれば、これは肯定的否定のエネ
ルギーと表現することもできます。無理しすぎはよくあ
りませんが、無理をしなければ、人間は成長していきま
せん。その無理するための原動力は、「こんな自分が」
という創造の喜びや、他者の力になれる「役に立つ自分」
への成長体験だと思います。
 2つ目は「成長の弁証法」です。否定によってものご
とは発展していくととらえるのが弁証法なわけですが、
それは全面的な否定ではなく、肯定をふくんだ否定です。
だから、自分づくりも、「否定すべきところを克服しつ
つ、受け継ぐべきところは受け継ぎ、より発展させてゆ
く」という姿勢が大事、という説明をします。とくに若
い人は、○か×か形式でものごとを考えてしまう傾向が強
く、自分を全面否定しまうことも多いように思います。
だから弁証法的否定の話をすると、すごく「目からウロ
コだった」という反応をしめしてくれます。自己肯定感
を育てることの大切さは最近とくに言われていますが、
自分を「変えたい」という思いをもつのも、若い人の大
きな特質です。「変えたい」という思いと、「自分はこ
れでよい」という感覚が同居していていいのだ、という
のが弁証法のものの見方です。そしてその両面の要素が
足場となって、次の新しい自分をつくっていくわけです。
 3つ目は、「コツコツなければ飛躍なし」です。量的
変化と質的変化の話です。成長への量的努力(積み重ね・
積み上げ)なくして、質的変化は起きません。人間は時
間を自覚的に認識して生きることができる唯一の動物で
す。一年後の自分、三年後の自分、五年後の自分に向け
て、目標や計画をもって、コツコツと努力できるのも、
人間だけの特質です。これもいろいろな身近な例えを出
して説明します。

「わかる喜び」を次の学びへ
 
4つ目は、「自分をゆたかにする他者にかこまれる」
です。連関の法則を、自分の成長にあてはめるわけです。
人間は、一人では生きることができず、自分ひとりだけ
では、自分をつくれません。つねに他者を通じて自分づ
くりをしていきます。個性が問題になるのは、集団のな
かで生きているからです。だから、どんな人間集団のな
かで自分が生きているのか、あるいはどんな人間関係を
つくっていくのかが、自分づくりに大きな影響をおよぼ
します。そういう人間関係をつくっていく大事さを強調
します。また、自分の現状を否定してくれる人の存在は
貴重です。なれあいの関係ではなく、高めあう。そのた
めに、ちゃんと自分の現状を否定的に指摘してくれる人
の存在はぜひとも必要という話をします。
 5つ目は「自分の可能性に枠をはめない」ということ
です。弁証法の核心でもある「変化の過程としてものご
とをとらえる」を、自分自身にもきちんとあてはめよう
ということです。変化の過程としての「現瞬間の自分」
なのだというとらえ方です。若い人のなかでは、「今の
自分」の枠の中で、「これからの自分」を固定的に考え
てしまう傾向がよく見受けられます。でも、人間の可能
性というのは、そんな枠にあてはまるような、ちっぽけ
なものではなく、言ってしまえば無限であり、それはど
んな方向にでも伸びてゆくことができると、いろんな具
体例を示しながら強調します。
 以上、弁証法を自分づくりの法則にあてはめる話を述
べてきました。「そうか!」とわかったとき、その力は、
必ず次の学びへのエネルギーになっていきます。大事な
のはそうしたエネルギーをつくるきっかけを提供するこ
とだと感じています。
 「伝え方」の工夫について、自分なりに模索している
ことをご紹介させていただきました。少しでも参考にな
るところがあれば幸いです。