第9回「ニュースづくりの基本(3)-文章の基本・見出しづくり」
【伝えたい思いと、読みやすい文章】
ニュースや機関紙の文章づくりは、「読みやすさ」がまず大切です。
小説や理論書とは違い、伝えたいことを限られた文字数のなかに
凝縮していく作業なので、苦労はつきもの、鍛錬が欠かせません。
文章の基本は、5W1H(いつ、だれが、どこで、なにを、なぜ、いか
に)ですが、記事やニュースの内容によってウエイトが変わってきます。
文章表現で一番大切なのは、「知ってほしい」「伝えたい」という
書くひとの思いです。それがなければ、文章力も上達しません。そし
て、もちろん文章のうまい・へたはあるのですが、自分の内面から
言葉があふれ出してくるような文章は、人の心をとらえる力をもちます。
文章力を高めるには、豊かな語彙、多様な表現方法に日常普段に
接し(本などを読む)、かつ自分でも書くことを積み重ねることが大事
です。だからといって、難しい語彙を乱発する、表現方法にこりすぎ
ると、ひとりよがりの文章になってしまいます。「自分にしか書けない
ことを、誰にでもわかる文章で書く」(井上ひさし)姿勢を念頭におい
ておきましょう。
書く力は、訓練によって必ず磨かれます。日常的に書かない人は、
たくさん本を読んでいても、なかなか文章力は上達しません。つね
に書くことを意識し、自分の言葉をつむぎ出していく習慣をつけるこ
とが大切です。
読みにくい文章は、ひとつの文章が長い、句読点が少ない、漢字
が多い、改行が少ない、などの特徴があります。典型例は日本の
法律や行政文章です。読みにくい特徴すべてあてはまります。わざ
と読みにくくしているのではないかと思うほどです。
ひとつひとつの文章はできるだけ短く、テンポよく読んでもらえる
ようにしましょう。句読点は20字~30字あたりに1つは必要です。
できれば2つ。日本語は、漢字・ひらがな・カタカナで構成されてい
ますが、一般的に漢字含有率を30%以内におさえることが望まし
いとされています。漢字が多い文書は、紙面が黒っぽくなり、文章
を読むことが苦手な人にとっては、見た目だけで敬遠されます。そ
して、こまめに改行すること。以上は最低限のコツです。
文章がうまい人は、かならず「書き出し」に力を集中しています。
読者を引き込み、内容をテンポよく読んでいってもらうには、文章の
書き出しを工夫しましょう。
【見出しの重要性】
つぎに見出しの重要性です。見出しは、その記事を読むかどうか
を読者に判断させる最初の決め手です。とくに忙しい現代社会では、
まず目に入る見出しの重要性は高まっています。どういう見出しを
立てるかは、もちろん記事内容によるわけですが、編集者の感度や
センスも問われます。
一般紙やスポーツ新聞などは、見出しのつけ方が非常にうまい
です。もちろんそれを専門で考える人がいるわけですが、新聞の
見出しのつけ方は、大いに学び、真似していきましょう。
見出しのつけ方は、おおきくわけて2種類あります。ひとつは、
記事内容を端的に表現したもの(代表例は新聞の見出し)。もう
ひとつは、本文への誘導をねらった見出しです。
記事の内容に関係ない見出しは避けましょう。また、長すぎる
見出しは「見出し」でなくなってしまいますので、注意しましょう。
主見出しに、「○○集会に○○名が参加」など、中身を伝えない
ものは避けましょう。それが読者がいちばん知りたいことではな
いからです。人数を押し出したいときは、サブ見出しでカバーし
ましょう。「みんなの力で○○を達成しよう!」など、使い古された
一般的なスローガンも考えものです。見出しには、できるだけ新し
い言葉を使う努力、登場する人の思いや声を表現したもの、読者
へ伝えたいことを凝縮したような言葉をつけることが大切です。
しかし、なにはともあれ、「見出しをつける力」も鍛錬です。集団
的につくっていて余裕もある場合は、「この内容の記事にはどんな
見出しがふさわしいか」を集団でディスカッションしながら考える
機会もつくってみてはどうでしょうか。