長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

「自分らしく」の内実を

メモと若干のコメント。

『教室で学ぶワークルール』
(道幸哲也、旬報社)
を読んでいて。

「ところで、働き方との関連で、よく『自分らしい
働き方』をしたいという意見が述べられます。
北海道大学のゼミで法学部の4年生にたいし、
どのような働き方が好ましいかとたずねたこと
があります。多くの学生から『自分らしい働き
方』という答えが返ってきました。このもっとも
らしい答えにたいして、異議を唱えることは困
難です。ただ、『自分らしい』といっても、その
内容は千差万別です。その具体的な中身まで
論じられなければ意味がありません。そこで、
『自分らしい』という表現を使わずに答えるよ
うにといったところ、困った様子でした。『自分
らしさ』という答え、これさえいっていれば他人
からとやかく言われない、自分も納得するマジッ
クワードにほかならないからです。
 私は、『自分らしい』という表現は、はっきり
いえば無内容だと思います。『自分らしさ』を
自分のことばでどう他人に表現するか、これ
こそが問われているのです」

(以下コメント)

“自分らしく”“私らしく”という言葉、
たしかによく使われますよねー。
もちろん、「個人」が生き方のベースとして
浸透してきているからこその、
「自分らしく」の表現だとは思いますが。

学校教育のなかで、労働観や人生観、
職業倫理を磨きあうことって、
あんまりないんじゃないかなあ。
だから、漠然としか答えられない。

そして、「自分らしく」をつくるには、
選択の自由や裁量は不可欠。
選べることができる、ということ。

でも、
働くところを選べるひとは少数だし、
雇用関係は従属性が強いので、
「自分らしく働く」というのは
個人的努力では困難だろう。

でも道幸さんの指摘は、たしかに
そのとおりで、
「自分らしく働く」の内実を語れるような、
具体的作業が必要であるとも思います。


12月6日に愛知の労働学校で
講義をすることになっているのですが、
主催者から手渡されたチラシに
書いてあった講義タイトルは、
「自分らしい生き方と、ものの見方」。笑

まずは、自分とは何か、私とは何か、
自分らしさをつくるとはどういうことか、
なんて話から入っていこうと思います。