長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

選挙はなぜ労働組合にとって大切なのか(転載)

『学習の友』7月号に
「選挙はなぜ労働組合にとって大切なのか」
という文章を書きました。

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定期購読の方で、
まだお手元に届いていない方も多いと思いますが、
選挙まじかなので、ここに転載します。

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職場でこそ政治を語りたい
 「労働組合が政治的な活動をしてもいいのですか?
労働組合は職場の労働条件の改善に取り組む組織でしょ
う?」
 こんな質問に、みなさんなら、どう答えますか。もち
ろん、答え方はひとつではなく、相手の問題意識に寄り
添うかたちで、こちらの引き出しも多様にもっておく必
要があります。
 ただ私は、労働組合は政治活動をして良いか悪いかと
いうレベルではなく、「労働組合こそ」積極的に政治に
関わる必要があるということを、まずはっきりと伝える
べきだと思います。そこから議論が生まれると思うから
です。そして、立憲主義・民主主義が危機の今だからこ
そ、自信をもって政治を職場の仲間に語っていきたいも
のです。

労働組合は人権の砦
 1948年~1953年に中学・高校用の社会科教科
書として使われた、文部省作成の『民主主義 文部省著作
教科書』(径書房)は、労働組合の政治的役割をこのよ
うに述べています。
 「組合は、勤労大衆の自主的な団結であるから、その
組織の力を正しく発揮して行けば、民主政治の発達に強
い影響を及ぼすことができる。経済民主主義の実現を図
る上からいって、労働組合の健全でかつ建設的な政治活
動に期待すべきものは、きわめて大きい」
 「労働組合の任務は、勤労大衆の基本的人権の擁護で
あり、適正な労働条件の獲得であり、働く人々の精神的
文化的水準の向上である。ゆえに組合は、これらの目的
にかなった法律が制定されるように、国会に向かって要
望すべきであるし、これらの目的を妨げるような立法に
対しては、それを阻止することに努力すべきである」
 敗戦後すぐに労働組合法がつくられ、さらに憲法で無
条件に労働三権が保障されたことの意味は、平和な日本
の建設、民主主義が職場や生活にしみ込むためには、労
働組合の力が欠かせないと認識されたからです。労働組
合はそうした社会的役割を期待されているのです。
 なにより、私たちの生活や働き方と政治は直結してい
ます。毎日の買い物、子育て、医療、教育、介護、仕事、
年金、景気、環境問題・・・。これらの多様な生活部面に、
政治は関わっています。つくられる法律や制度、そして
税金の集め方・使い方は、私たちの日常を規定します。
生活は政治そのものなのです。したがって、政治の代表
を選ぶ選挙は、特別大事なものであるといえます。
 一人ひとりの尊厳をまもり、生活と人権をまもる砦と
して労働組合は存在します。その労働組合が政治・選挙
との距離をあえてとるなら、国民の信頼は得られません。
政治を変えることが、自分たちと社会全体の働き方と生
活をより良いものとする大きな手段であることを、職場
でおおいに議論しましょう。

要求実現の立場からアプローチして
 7月に行われる参議院選挙は、日本の政治の大きな転
換点になりうる可能性を秘めた選挙です。安倍政権の打
倒、戦争法の廃止と立憲主義の回復をめざし、改選一人
区の32の選挙区で野党共闘が実現し、候補者を一本化
できました。これは、政策にもとづく一致であり、自民
党・公明党が批判するような「野合」にはあたりません。
 労働組合は要求で団結し行動する組織です。要求実現
の立場から、こうした新しい情勢にふさわしい選挙への
アプローチを探求し、実践していきましょう。◇職場で、
多様な形の「選挙学習」をすすめましょう◇職場の仲間
に投票を呼びかけましょう◇職場での議論を土台に、機
関会議での決定をふまえ、可能なところでは積極的に候
補者支援の活動を労働組合として行いましょう◇ただ政
党支持や候補者への投票を強制することは個人の思想お
よび良心の自由の観点から、してはなりません◇なによ
り主権者として成長しあう楽しい取り組み、ワクワクす
る取り組みに、この選挙をしていきましょう。