昨夜(9日)は、岡山医療生協労組の
超入門ろうどうくみあい講座の4回目。
テーマは「人間らしさと労働組合」でした。
学習会の前に、恒例「労働食堂」にて
すっぽん鍋を頂く。これで夏バテ防止はバッチリか!?
学習会では、30分ほどの講義をして感想交流。
以下、内容です。
一。「人間らしさ」とはなんだろう
1。それを考えるのが人間でもある
◇動物には、あまり「~らしい」を使わない。
「らしい」とは、「・・・といわれるだけの諸条件を十分に
備えている様子」(三省堂『新明解国語辞典』第7版)
「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を
充たすべきものでなければならない」(労働基準法第1条)
2。人間でありながら、人間でない「あり方」「状態」もある
◇つまり、「諸条件」を奪われているのではないか、という認識
*たとえば、自由にものが言えないこと、移動ができないこと
*たとえば、人にランクづけがされること、モノのように売り買い
されること
*たとえば、教育を受けられないこと
*たとえば、働ける力と意志があるのに、働けないこと
*たとえば、文化を享受できないこと、ゆとりがないこと
■不自由の自覚→自由の獲得へ(人間の歴史は自由拡大の歴史)
3。「人間らしく生きる」内容を、1つひとつ「人権」として確定させてきた。
◇人権とは、何ものも奪えない、その人がもっている固有の自由や
権利のこと。
◇「人間らしさ」の目録の結晶が、日本国憲法
「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年に
わたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去
幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことので
きない永久の権利として信託されたものである」(97条)
*13条「個人の尊重」「生命・自由・幸福追求」
-1人ひとり、かけがえがない
*14条「法の下に平等」―みんな平等だ
*15条「公務員の選定権」―選挙で代表を選ぶ
*16条「請願権」―お上にもの申せる
*18条「奴隷的拘束を受けない」―だれの奴隷にもならない
*19条「思想及び良心の自由」―なにを考えなにを正しいと思うかは自由
*20条「信教の自由」―なにを信じるのか(信じないのか)も自由
*21条「集会、結社、言論、出版、その他一切の表現の自由」
―伝えあう自由
*22条「居住」「職業選択の自由」
―どこに住むのか、なにを職業とするか
*23条「学問の自由」―なにを学ぶか
*24条「両性の本質的平等」
―両性は平等であり誰と結婚するかは本人たち次第
*25条「健康で文化的な生活」
―誰もがゆとりのある生活をおくる権利がある
*26条「教育をひとしく受ける権利」―ひとしく教育を受けられる
*27条「勤労の権利」―人間らしく働ける権利
*28条「団結権・団体交渉権・団体行動権」―人間らしさを実現する組織
*9条「武力の行使の放棄」「戦力の不保持」
―生活の土台は平和であること
◇「信託」と人間らしさ
・・・過去の人類の努力が、いまの「あたりまえ」をつくってきた
*人間は、歴史を意識的に受け継いでいく。過去から学べる。
受け継ぐ。だれしも歴史のリレーランナーになる。
二。憲法が私たちに問いかけていること
1。人権を自分のものにできていますか? バトンを受け取っていますか?
◇不断の努力(12条)―その中身とは?
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の
努力によつて、これを保持しなければならない」
◇表現の自由(21条)
―集まり、組織し、話しあう、書きあう。そして伝えあう。
「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、
これを保障する」
2。労働組合は、不断の努力をすすめる組織の中心。主権者として
成長する舞台。
◇労働組合の労働基本権(28条)は、憲法第3章「国民の権利及び義務」
のなかに
*つまり「人間らしさ」獲得のために必要不可欠のもの、ということ。
◇団結権・団体交渉権・団体行動権―組合つくれ・要求せよ・たたかいだ!
*労働条件の良し悪し=生活・働きやすさを左右する。でも労働者
(雇われて働く人)は労働条件をひとりでは交渉できない。対等に
労働条件を交渉するためには団結しかない。
*人権・権利よりも、職場の「空気」が優先されがちな日本。労働組合
が本来の役割をきちんと果たし、職場で地域で、1人ひとりの尊厳・
人権を守る砦になっていく。
◇人権感覚、民主主義的訓練の場。おかしいことを「おかしい」と言える。
*主権者として社会情勢を学ぶ。議論する。そして行動する。
◇「団結」ということ自体が「人間らしさ」の発揮。手をつなぎ支えあう
生き方。
3。8月9日は71年目の「ナガサキ」の日。なぜ労働組合が平和の取り組み
をするのか?
◇「人間の尊厳」を根底から否定する力としての戦争・軍事的圧力
◇憲法がめざす幸福追求権・生存権は、戦争をしないということが大前提。
*生活・福祉に必要なお金、産業も、戦争と戦争準備につぎ込
まれてしまう。
*戦争に向かう国家は、私たちの生活や人権を置き去りにする
(歴史の教訓)。
◇労働組合は、憲法がめざす社会の実現のために活動する「なんでも屋」
*平和活動の先頭に労働組合。憲法を否定する政治のもと、労働組合は
忙しい。
◇個人の尊重(13条)―その人がその人であることを否定されないこと。
*ひとりも見捨てない職場。ひとりも見捨てない地域。ひとりも見捨
てない社会。
*1人ひとりの労働組合員・労働者が、憲法を自分のものとして身体化
しよう。