長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

生協労組おかやまにて、労働組合のそもそもと役員の役割。

きょう(6日)午前中は、
生協労組おかやまの中央執行委員会にて学習会講師。
定期大会後最初の会議ということで、
「労働組合のそもそもと、役員の役割」という基本的なお話を90分。

冒頭、71年目のヒロシマの日に、という話をして、
歴史を学ぶことの大切さを語りました。

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以下、レジュメ後半部分をご紹介。


三。労働組合役員の役割について―労働組合の性格から導きだされる

 
【前提として】
  ◇労働組合の活動は強制的にさせられるものではない(原則として)。
  ◇仕事以外の時間と労力をつかう。つまり生活を侵食する。だから
   「みんなで分担して活動」が大事。納得がかなめ。
  ◇たたかう相手がいる。思い通りにはいかない。「たいへんさ」
   「苦しさ」はつきまとう。でもだからこその「喜び」「楽しさ」もある。

 1。要求をなにより大事にする
  ◇「要求で一致して団結」するのが労働組合。
   *だから「要求」についての認識を一致させることが活動の
    大原則となる。活動のエネルギーはそこから生まれる。そ
    の中心的役割を担うのが中央執行委員。

  ■最大多数の労働者を結集できるがゆえに、労働組合活動は難しさもある。
   *労働者は違いがたくさん。違いばかり。そして違いは目につきやすい。
   *雇用形態、賃金、労働条件、立場、仕事内容、資格の有無、
    能力、性別・・・
   *生活環境、人間関係、考え方、支持政党、行動パターン、
    趣味、特技・・・
   *「要求」にたいするとらえ方・考え方は、簡単には一致しない。

  ◇「要求」が生まれる必然性=労働者の立場。
    雇われる・使われる・労働条件。
   *生協も資本主義社会のなかでさまざまな「経営至上主義」が入り
    込んでいる。その矛盾が職場にあらわれる。人権が脅かされることも。
   *要求は具体的。働くことは、小さな事柄の集合体。
  ◇湧き出てくる「思い(言葉)」を出しあえる、セイフティな場を
   *不満やグチ、願望は「要求の種」
   *「しんどいなあ」「なんか違和感」「おかしいんじゃないの」
    「先が見えない」「これだけ働いても賃金これだけか・・・」
    「休みがなかなかとれない」「人が足りない」
    「この仕事内容改善したい」「みんなピリピリしてる」
   *不満を言葉で表現することで(話す・書く)、論議の土俵にあがる。
    共通認識になる。
  ◇表出しにくい「思い(言葉)」こそキャッチしようとする姿勢を大事に
   *「おかしさ」が恒常的になると、「常識化」する。人間は適応力が
    高いので、それでも「なんとかやってしまう」。がまんもできる。
    あきらめることで適応する。
   *力関係のなかで思いが抑圧されやすい。本当に切実な「声」という
    のは、それを表現できる場がないと、けっして表に出てこない。
   *痛みや切実さというのは、とても個別性が高いので、「わかった
    もの」としない。
   *もっとも弱い立場の人の「声」に耳を傾けることができる役員・
    労働組合に。
   *ピッチャーよりキャッチャー。

 2。集まりたくなる場を手間ひまかけてつくる
  ◇現代人の生活は多面的で多忙。職場も多忙。時間がない、ゆとりがない。
   *労働組合のことを考える、活動する時間を確保すること自体がたたかい。
  ◇「集まる」ことが、労働組合の原点であり、力の源泉
   *労働組合がパブから誕生したワケ―「話しあえる自由な空間」
   *労働者が集まるには、「自由な時間」「集まれる場所や空間」
    「集まれる体力」「集まろうとする意志」が必要であり、現代
    日本では簡単ではない。
  ◇1回1回の集まりの場を成功させる努力
   *「また来たい」「職場の仲間も誘いたい」「疲れていても参加
    すれば元気がでる」「あの人がいるから」「ここにくるとほっ
    とする」「話を聴いてくれる」「楽しい」
   *ちょっとした工夫や楽しみの準備。集まる場の雰囲気づくり。
   *力関係の働かない空間と人間関係。ケア的関係。自分が自分で
    いられる場。

 3。自分も仲間も、「労働者らしく成長する」ことを大事に
  ◇1人ひとりの組合員の成長こそ、組合活動前進のカギ。
   *労働条件を変える力を労働者はもっている。仲間との連帯がカナメ。
    人権意識を強固に。あきらめない。支えあい。自分の持ち場で不断
    の努力。
  ◇仲間の成長に関心をもとう
   *要求や社会情勢について、認識を一致させる、認識を高める活動が
    とても大事。
   *学びあえる場を労働組合の中に目的意識的に。知ることはエネルギー
    に転化。
   *新しい中央執行委員さんは、新しい視野で労働組合をとらえる機会。
    それは自分のものの見方の成長にも。成長の機会をみずからつかもう。
  ◇組織拡大を追求するなかで、言葉の力をみがく
   *仲間を増やすには、「労働組合を伝える」ことが必要。自分自身の
    言葉が問われ。
   *仲間の要求や立場によりそいながら、労働組合の大切さと魅力を
    伝えよう。