長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

技術化による全体水準の向上

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来年の学習会の準備で、
久しぶりに『人間として看護婦として』(あゆみ出版、1978年)を
パラパラめくる。ついつい活動に引き付けて読んでしまう癖が、
赤線部分にあらわれている(笑)。
何べんも同じこと書くけど、
以下の「技術化による全体水準の向上」が活動全般にも必要。

「看護の技術化という命題は、これまでの経験やコツに
たよっていた看護を、そのなかから法則性をひきだす
ことによって個人的技能から全体化し、集団としての
看護のレベルアップにつなげていけるもの…。個々の
具体的特殊的な看護実践の体験を普遍化し、導きだした
法則性をその後の実践に意識的に適用し、そうすること
によって看護技術を伝えあい、全体的に水準を向上させ
ていくという方法意識」(56P)

「よい看護というものは、一人や二人がすぐれた看護を
してもだめなんですね。チーム全体がいかに高まるか、
ということが重要」「年配看護婦の会得したやり方を
どう言語化し技術化するか」「前提として看護記録の
改善」(133~134P)

ちなみにこの本、ケア労働分野の労働組合活動にも
普遍的教訓が満載です。オススメ。

勉強せねば。

年末の集金も目途がたって、やや落ち着いている。
このまま、落ち着いて年末をむかえたい(笑)。

ただ、ここにきてダダダッと1月の講師依頼が。
いまのところ、1月は12回学習会があり、うち5回がZOOM講演。
コロナ感染拡大で来年もしばらく
ヒマかなあと思っていたので、ありがたい。

今年春、
次々学習会が中止になりスケジュール帳が真っ白になった時期は、
精神的にキツかった。
未来が具体的になれば、張りあいが出てくる。

労働組合の学習会が多いので、
あらためて、労働組合の存在価値を、コロナ禍で
光らせるための学びの提供をしたい。勉強せねば。

岡山県医労連青年部でも…!

金曜日(18日)の夜は岡山県医労連青年部の会議へ。
毎月している学習会の3回目。

今回は「運動理論を学びませんか」ということで、
労働組合活動における私の問題意識を語り、
『コミュニティ・オーガナイジング』を紹介し、
次回からこの本使って学びませんかと提起。

で、来年はこの本使って学習することに!
(全6回予定)

楽しみです。

3年目の幹部養成基礎講座が終了。

今日(18日)午後は、
2020年度広島民医連・幹部養成基礎講座の7回目。
広島市内のコロナ感染拡大のため、最後の最後でリモート参加(涙)。

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広島県連の佐々木会長の、
情勢と民医歴の役割への確信に満ちた講演。
2018年全日本民医総会オープニングで上映された、
青年職員がつくった広島県連のヒストリーDVDに涙。

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そして、成長したい、学びたい、実践! を
具体的に語られていた受講生の個人発表に胸アツ。

3年目となるこの幹部養成講座、毎年充実の時間です。
関わらせていただき感謝です。

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まだまだ注文まってます(岡山の方)

50冊買い取って普及していた
『コミュニティ・オーガナイジング』(鎌田華乃子、英治出版)。
今日、残り2冊なり、在庫なくなりそうなので、
追加で100冊注文しました。

何年たっても内容古くならないので安心。
岡山のみなさん、ぼくから買うと2割引(1800円)です。
ほしい方は連絡ください!

我が分身をジッとみる。

今日、横浜のご存知ない方から突然のお電話。
ぼくの『ものの見方たんけん隊』を読んで感銘を受けたと、
感謝を伝えていただいた。

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我が分身を世に放って約7年。
いまだにこういうことが起きるのだなあ。
過去の書き物は自分にとっては乗り越える対象でもあるけど、
30代だからこそ書けたものでもある。

我が分身をジッとみる。

CO本をもとにした連続講座がはやくも実現

きのう(7日)、岡山医療生協労組に寄ったら、
H書記長と『コミュニティ・オーガナイジング』(鎌田華乃子)を
もとにした学習会をやろうということで一致しその場で具体化。
全6回の日程を決めて、カリキュラム案もすぐにつくって送りました。
実践例をどこかでつくりたいと思っていましたが、早くも実現です。

1回につき1時間。
参加者は事前に該当範囲を読んでくることを前提にして、
議論とトレーニング中心の学習会にします。

≪6回のカリキュラム・タイトル案≫
◆第1回「労働組合はコミュニティー・オーガナイジングを使える!」
    (範囲は序章と1章)
◆第2回「パブリック・ナラティブ~仲間との対話スキルをみがく」
    (範囲は2章)
◆第3回「関係構築~労組活動の基礎は1対1対話」
    (範囲は3章)
◆第4回「チーム構築~強いチームの特徴とは?」
    (範囲は4章)
◆第5回「戦略づくり~みんなの資源をパワーに要求実現!」
    (範囲は5章)
◆第6回「さあアクション!~楽しく変えるための方法」
    (範囲は6章)

ジャンプ、詰むや、魔女、コーヒー、急に、白ゆき

最近読み終えた本。
とくに仕事での課題学習もないため、軽めのもの中心です。


『ジャンプして、雪をつかめ!』
(おおぎやなぎちか作・くまおり純絵、新日本出版社、2020年11月)

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児童文学。両親の離婚を機に、東京から青森に
引っ越してきた小学5年生。
雪と寒さと貧乏な暮らしに悪戦苦闘しながら、
次第に都会にはない人間的つながりのなかでたくましくなっていく。


『詰むや、詰まざるや~森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』
          (長谷川晶一、インプレス、2020年11月)

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1992年、1993年のプロ野球日本シリーズ「西武対ヤクルト」の
激闘14戦を総勢50名の証言で紐解いたノンフィクション。
森と野村の知将対決。これぞ野球。おもしろすぎる。
こうした名勝負はもう見られないだろうなあ。


『魔女狩り』(森島恒雄、岩波新書、1970年)

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出版から50年。買った本は65刷。ベストセラーだ。
しかし内容は、魔女裁判のおぞましさ、残忍さ、
宗教と権力の狂気をリアルに。
拷問による自白強要と処刑の叙述は、2度と読みたくない。
だが異端を徹底的に排除することは、過去の話ではない。


『コーヒーはぼくの杖~発達障害の少年が家族と見つけた大切なもの』
         (岩野響・開人・久美子、三才ブックス、2017年)

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発達障害をもった響くんが、
珈琲焙煎を「自分の杖」とするまでのお話。
父と母と響くんの語りが交差しつつ進む。
“ふつう”への葛藤を経て、道を見いだす家族の姿に共鳴。


『急に具合が悪くなる』(宮野真生子・磯野真穂、晶文社、2019年)

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ほぼ同年齢の若き哲学者と文化人類学者の往復書簡。
宮野氏が乳癌からの転移による「死」を意識しながらの展開に。
偶然と必然、選択とは、不運と不幸など、
おふたりの関係深化とともに。理屈とあいまいさが同居。


『白ゆき姫殺人事件』(湊かなえ、集英社文庫、2014年)

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ミステリー小説。殺人事件と犯人仮説をめぐる関係者の証言で構成。
しかし芥川の「薮の中」のよう。
人によって事実の見方が変わり、人物評価もコロコロ変化する。
なにが真相なのか? 後半最後の展開で、え!?となった。

引き続き研修講師してます

アップしていませんでしたが、
林精神医学研究所(林病院、ひだまりの里病院)の
中堅職員研修で「患者の人権・自分の人権~相方がALSとなって」の
講義を月2回のペースで続けています。

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11月19日(木)の研修

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11月24日(火)の研修

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12月1日(火)の研修


相方の話をするのも回数重ねてきましたが、
「私だったらこんなふうにはできない」と思われない、
特別視されないように話にすることが大事。
問いかける姿勢が欠かせません。


何人かの感想をご紹介します。

■私自身、普段業務をしている中で患者さんの後ろにある
生活までを見ることができているか、振り返るきっかけに
なりました。特に入院が長期になることが多い環境の中で
も、1人の生活者として接する視点を忘れないでいたいと
思います。ALSについては知らなかったこと、誤解していた
ことがたくさんありました。ALSを近くで見てきたからこそ
聞けるお話を聞くことができた。

■生活と人権の関係が理解できた。実際の生活と社会資源を
どうからめていくのかが、とてもリアルにわかった。
QOLって言葉はよく聞くけど、QOLが落ちてからQOLを
上げる経過を見れて、感動しました。

■パートナーの方が大学病院に入院した際、病院に対しての
違和感で、①看護師のタメ口、②看護をしてない、③医師
の告知の内容、に衝撃を受けました。一番不安で苦しい
時期に、患者を1人の人間としてみてくれないと感じる辛さ
に心が痛みました。患者をスーパーの魚の切り身のように
思ってしまう医療はまだまだあります。今日のお話を心に
留めて、医療従事者のあり方について考えていきたいと思い
ます。すべての人が自己決定ができる社会を目指していき
たいと思います。

■検査入院した大学病院や、オムツについての自治体職員の
対応には驚きました。同時に、病院・自治体 対 患者・申請者
(国民?)では容易に強弱関係ができてしまうこと、弱者は
自分の希望や権利を押し殺してしまいがちになることも感じ
ました。どんな立場でも状況でも「自分らしくいられること」
は奪えない権利で生きる活力なので、それを実現できるため
に日頃から人権感覚をみがき、おかしい事へ声をあげる力を
育てることが大切だと思いました。「レスパイト」「本当の
自立観」「病気になる前の生き方が大事」など、とても勉強
になりました。

相方の誕生日

きのう(30日)は相方の誕生日。

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ALSと診断を受けて4回目の記念日です。
最近は体調が不安定で、介護もなかなかたいへんな状況でしたが、
一昨日ときのうと、幸せな時間をいただきました。

日曜日(29日)は民医連時代の仲間たちが
オンラインで誕生日会をしてくれて、
近況交流ふくめ久しぶりの集まりに心暖まりました。

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日頃関わってもらっているヘルパーさんや訪問入浴、
訪問看護のみなさんからも、
たくさんのお祝いの言葉やメッセージなど頂き、
あらためて多くの方に支えられていることを実感。

さらにきのうは嬉しいニュースが。千葉の民医連の病院から
『ひめは今日も旅に出る』の43冊注文があったと、
出版社の方から連絡がありました。

そしてきのう夕方、ソワニエ看護専門学校の
レポート採点をしていました。
今年はとくに相方とALSの話をした講義が印象に
残った学生さんが多かったです。
私たちの発信を受けとめ、学びにしてくれているみなさんの言葉に、
こちらが力をもらっています。まだまだがんばらねば。

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昨夜は相方の好きな高級牛肉(笑)とケーキでお祝い。
これからも人生を楽しみ、引き続き発信していきます!

広島で、四國五郎と幹部養成基礎講座

金曜日(27日)は広島でした。

ランチを食べてから平和公園へ。
原爆死没者追悼平和記念館でしていた
「時を超えた兄弟の対話」をみました。

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絵画と詩でヒロシマを発信し続けた四國五郎。
その生き方を決定づけたのが、
当時18歳だった弟・直登の被爆死と彼の残した日記だった。
動画映像のナレーションは木内みどりさん。
胸にせまる言霊であった。


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14時からは、広島民医連・幹部養成基礎講座の5回目。
今日は職場づくりが中心テーマ。

課題本『ザ・コーチ』の受けとめ交流、
私からの問題提起30分を受けての職員育成の課題と悩み交流、
さらに新入職員に民医連を語るプレゼントレーニングと盛りだくさん。

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それぞれの経験と言葉が響きあい、高まりあった時間でした。
関われて幸せ。 来月、最終回です。

ケア、防災、いいこと、コロナ、アルコール

最近読み終えた本。


『ケアするのは誰か?~新しい民主主義のかたちへ』
  (ジョアン・C・トロント著、岡野八代訳・著、白澤社、2020年10月)

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フェミニズムの立場からケアや民主主義を問い直す論考と問題提起。
トロントのケアの定義が広くて新鮮だった。
ケアの普遍性と相互性。社会や政治もこの視点で見る!

「市場は、誰が、どのようなケアを受け取るかについて、
倫理的な決定ができません」(23P)

ケアとは、
「わたしたちがこの世界で、できるかぎり善く生きる
ために、この世界を維持し、継続させ、そして修復
するためになす、すべての活動を含んでいる。世界
とは、わたしたちの身体、わたしたち自身、そして
環境のことであり、生命を維持するための複雑な網の
目へと、わたしたちを編みこもうとする、あらゆる
ものを含んでいる」(24P)
「この世界の隅々に至るまできちんと動かそうとする
努力」(25P)


『人に寄り添う防災』(片田敏孝、集英社新書、2020年9月)

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激甚化する災害のなかで、私たちはどのような
心構えでそれと向き合うのか。
被災地での聞き取りや防災会議での経験ふまえながら、
悩みも率直に吐露。
個人の事情や心情まで配慮しながら
「人が死なない防災」を考える良書。

災害時の要配慮者(高齢や障害で逃げづらい人)対応の問題では、
西日本豪雨災害時の真備町のことが詳しく紹介されてます。
災害時における「自助・共助・公助」の関係性とその変遷も。


『いつもいいことさがし 3』(細谷亮太、暮らしの手帖社、2020年9月)

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尊敬する小児科医のエッセイ集。
「暮らしの手帖」の連載をまとめた第3弾。
なんと20年以上欠かさず連載を続けてこられたと。
文に人が表れるというけど、細谷先生の文章はまさにそう。
優しいまなざしは不変。


『コロナ・パンデミックと日本資本主義~科学的社会主義の立場から』
              (友寄英隆、学習の友社、2020年11月)

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副題にあるように、著者が特に力を入れたのが、
科学的社会主義の立場から体系的にコロナ・パンデミックを考察すること。
いやはや、多面的で射程広い研究で、さすがです。


『アルコール問答』(なだいなだ、岩波新書、1998年)

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ものすごく面白かった。
いわゆるアルコール依存(アルコール中毒とも言われる)と
向き合ってきた精神科医の臨床知がつまっている。
しかも対話形式での叙述でわかりやすいし読みやすい。
アルコール中毒の歴史もわかるし、これは名著ですな。

むかしは、アルコール中毒などはなかった。
そもそも毎日お酒を飲めるような人はごく一部だった。
資本主義によってお酒が商品化され、大量生産され、
安価になったためだと。だからアルコール問題は
最初から社会問題として立ち現れてきた。目からウロコ。