長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

2015年 学習教育運動セミナーin茨城

7日(土)~8日(日)は、労働者教育協会主催の
「2015年 学習教育運動セミナーin茨城」でした。
茨城の潮来(いたこ)ホテルが会場でした。潮来は初めてでした☆
あやめが有名らしいですけど、時期は6月だそうです。

私は、1日目の講義を担当しました。
「理論学習を力に、青年が活躍する運動に」
というテーマです。

「活躍」というよりは、
「育ちあう運動に」というイメージで話をしました。

■どんな組織でも、人間の集まりである以上、「教育」という
営みがある。職場も、労働組合も、いろいろな団体も。
ただ、職場や労働組合は、教育そのものを目的としているわけではない。
だから教育は第1の課題にはならない。が、教育のない組織に未来はない。
なぜなら人が育たないから。生き生きしないから。
当然、理念や目的の達成はおぼつかなくなる。
教える、育ちあう、学びあう、高まりあう。こうしたことを
組織のなかの運動文化にしていく必要がある。目的意識的に。

■労働者教育の目的は、労働者が労働者らしくなることである。

■「育つ主体と環境」について。育つ主体はあくまで相手。
相手に内的な力がある。育つ必然的な力がある。
でも、場や環境やきっかけや栄養素がないと、育つことができない。
主体は相手だけれど、外的要因も大事。「たまたま」(偶然)を
たくさん準備すること。多彩なきっかけ(不純でもよい)。
出会い、学び、気づきの場。仲間との相互作用。

■対象の変化をとらえるための心得。変化の法則性。
量的変化と質的変化。肯定をふくんだ否定。矛盾が発展の原動力。
目的意識的に矛盾をつくる。それが発展の契機に。

■教えるということは、学ぶこと。教えるほうも不完全。
育てる人以上に、自分が自分の成長に貪欲か。自己投資しているか。
ピカピカ光る背中をもつ人のまわりをウロウロできるか。

■育ちあう場の前提条件は、民主主義。とくに表現の自由の保障。
人間集団の力関係を完全にフラットにすることはできない。
「力」をもっている側の姿勢が問われる。日頃のコミュニケーション大事。
「~しあう関係性」への発展。

■基礎理論学習で自信をつける。現象から本質へ。
認識の出発点はあくまで部分。そこから認識を発展させる作業が必要。
でもそれはめんどうくさい。たいへん。
そもそも論を大事にする。そもそもとは?
ピケティとマルクスの違い―下流と上流(結果と原因)。

■基礎理論を繰り返し学ぶことで「活動への自信」がつく。主体性の獲得。
哲学、経済学、階級闘争(社会発展)の理論。
たとえば、日本の雇われ組の現状を、太い線でとらえる。社会科学が不可欠。

■労働者が労働者らしくなる。そして労働組合が労働組合らしくなる。
たたかいへの自覚。連帯という生き方。敵を見誤らない力。団結という喜び。

■階級的自覚―この自覚をつくるには、どんな学習が必要か?
概念理解の大切さ。概念に習熟し、概念を繰り返し使うことで新しい表現へ。
階級的自覚は、自分(たち)の生き方を歴史的にとらえる力にも。
連帯は世代をこえる―たとえば有休休暇を勝ち取ったフランス労働者への連帯。

■労働学校運動の実践をヒントに。岡山労働学校の経験と教訓。
学びあい高まりあう集団学習をどうつくるか。さまざまな工夫。
学習協自体の総合的力量が問われるのが労働学校運動。

■問題意識。総合的に運動を展開する必要。担い手の育成。
労働運動の学習教育活動の前進が不可欠。

■1人ひとりを大事にしない政治、憲法なんか関係ないという政治。
ならば私たちは、運動のなかで、1人ひとりを大事に、育ちあう組織をつくろう。
歴史の岐路に立つ情勢を切りひらくのは「人」であり、
「自発性」「団結・連帯の力。
いま学習運動も、歴史から問われている。おおきく飛躍しよう。


・・・てな感じの内容でした。
ちょいハイスピードでしゃべりすぎましたが、
みなさん新鮮に受けとめていただいたようです(感想文を読むと)。

教育の本質って、応用力が高いと思います。
だから、運動のなかでの教育活動を、もっともっと一般化したいし、
運動のなかに教育の文化をつくっていきたいと思います。

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会場のようす。
キラキラした会場で話すの苦手ですが、がんばりました。

講義後、神奈川学習協から『学習の友』の拡大実践、
埼玉学習協から労働学校の実践報告がありました。

で、分散会を行いました。
ちょっとひとつの分散会の人数が多すぎだったと思います。
7~8人がいちばんいいんですけどね。
もっと運営面についても事前に相談しておくべきだったかと反省。

さて、夜の懇親会も楽しく行われました。
地元の茨城のみなさんも多数参加していただいていて、
歓迎の気持ちがたいへん伝わってくるものでした。感謝。

このセミナーは関東からの参加者が中心だったのですが、
知り合いの若い人が何人も参加してくれていて嬉しかったです。
でも全体的に若い人が少なめでしたね。課題です。
(西日本は若い人の割合が高いのです。運動の反映でしょうか)


2日目(8日)は、
労働者教育協会の相澤幸敏事務局次長(元日本医労連書記長)が
第2講義「みんなが元気になる、労働組合の教育活動」
というテーマで講義。相澤さんの経験や教訓をふまえて、
労働運動における学習教育活動の現状と課題、
基礎理論学習などをどう位置づけるかなどを問題提起。

よく整理された、そして具体的なお話で、
現場のみなさんのお力になったのではないかと思います。

2日目も分散会をし、講義をふかめ、経験を交流しあいました。
最後に全体会を行い、参加者の感想発表(良かった)、
労働者教育協会の杉井静子副会長(弁護士)の閉会あいさつなどが
ありました。杉井先生、2日間丸まる参加でした。

参加は全体で67人。
今後に活きてくる、セミナーになったと思います。

来年は、10月8日~10日に
2016年全国学習交流集会inヨコハマ(神奈川)があります。
ここに、また全国の運動の経験と教訓を持ち寄り、
学びあいたいと思います。