長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

29日に今年最後の講師仕事。その冒頭の話。

来週29日、今年最後の対外講師仕事があります。
ひだまりの里病院(民医連加盟)の職員全体学習会で
安保関連法(戦争法)がテーマ。
2000万署名の活動の出発点にするとのこと。

なんか、今年のラストにふさわしい内容ですね。
がんばらなくちゃです。


冒頭、こんな話から入ろうと思います。


この問題は、目に見えて、すぐには生活を侵食しません。
来年、安保関連法が施行されたとしても、
みなさんの日常に当面変化はないでしょう。

でも、もし自分や自分の大切な人が当事者になったときには、
もう取り返しがつきません。
フランスで同時多発テロがありました。テロはどこで
起きるのか予想ができません。ある日突然、今までいた人、
今までともに生活していた人がいなくなるのです。
それは、とんでもない痛みであり、取り返しがつかない喪失なのです。
どこの国の人でも同じです。いま内戦で苦しむシリアの人びとなども、
そうした痛みを現に強いられています。

そんな痛みを、私たち日本人はいやというほど体験しました。
第2次世界大戦です。アジアで、日本で、無数の喪失と悲嘆が生まれました。
私たちは、歴史から学べるはずです。過去からは学べます。
そうした経験や痛みの記憶を継承できる存在です。

もう2度とそうした取り返しのつかない痛みを経験させない。
これが、日本の「戦後」のあり方ではなかったでしょうか。
そのために、憲法が生まれ、平和国家として歩んできたのです。
私たちは、この「戦後」をこれからも続けていく責任があります。

この安保関連法の反対運動のなかで、ママたちが会を立ち上げ、
「だれのこどもも殺させない」というスローガンをかかげました。
これは、とっても人権感覚あふれたスローガンです。
殺す側も殺される側も同じ命です。自衛隊員も殺させない。
日本人も、世界中の人たちも、尊い、同じ命をもっています。
それを想起させてくれるスローガンです。
その尊い命を奪うものを、手段を、放置しない。
そのための「不断の努力」を私たちに求めているのが日本国憲法です。

また今、間接的に、じわじわと、「生活」や「仕事」、
そして「人権と民主主義」が息苦しくなってきています。
みなさんの職場はどうでしょうか。生活はどうでしょうか。
私たちの生活と、国のあり方はつながっています。
戦争に向かう国家は、
私たちの生活や人権をかえりみません。置き去りにします。
私たちの暮らしが息苦しくなっていきていることと、
今回の戦争法の問題は、つながっているのです。
そのことも、今日は考えていきたいと思います。