最近読み終えた本。
『生活優先の原理ー福祉社会への条件』(松原治郎、講談社現代新書、1973年)
さすがに古さを感じたが、いくつか問題意識ももらう。
生活は、健康で安全に生きられること、
豊かに(ゆとりと文化)生きられること、
人間的な人生や暮らしを続けられるという安心感。
コミュニティーも。
「どうしてもいま必要なのは、『生活とは何か』、
『幸福とは』、『生きがいとは』、『それを確保
してくれる条件とは』を、それこそ原点にもどって
考えなおしてみることのようである」(104P)
『ここまで進んだ!格差と貧困』(稲葉剛・青砥恭・唐鎌直義
・藤田孝典・松本伊智朗・川口洋誉・杉田真衣・尾藤廣喜
・森田基彦・中西新太郎、新日本出版社、2016年4月)
憲法で社会権が明記されている日本で、
ここまで生活が壊され、人権が崩れている。
まさに、この分野でも、立憲主義を政治に取り戻せ!
と叫ばなければならない。
『雑学の威力』(やくみつる、小学館新書、2016年4月)
面白かった。
やくさんが指摘する雑学の具体的恩恵は以下。
①コミュニケーション力、会話力がアップする
②周囲の人から面白がられ、ウケがよくなる
③好奇心が高まり、色々なものに興味がわいてくる
④趣味の範囲が広がり、人生が格段に楽しくなる
⑤発想が豊かになり、仕事にもいい影響を与える
⑥物事に対する理解力が上がり、自分に自信がつく
「知るという行為は、毎日を楽しく過ごすために欠
かせない姿勢」
「人間生きていれば、新しい何かを知ることのない
日はありません。・・・人生は知らないこととの遭遇の
連続なのです。それらが自分にとって有益であろう
がなかろうが、それらを知ることが楽しいことだと
思えば、生きていくことが楽しいものにならないは
ずがありません」(7P)
「豊かな人生を送るために必要なのは、いつまでも
枯渇することのない好奇心だと断言できます。この
好奇心がある限り、いくつになっても生きているこ
とに飽きることはないでしょう。知りたいという欲
求は、それほど強力なものなのです」(78P)
「ここが肝腎なのですが、漠然と成長を自覚するに
とどめず、口に出して言ってしまうことです。『今
日もひとつ賢くなった!』」(78P)
『18歳選挙権時代の主権者教育を創るー憲法を自分の力に』
(佐貫浩監修・教育科学研究会編、新日本出版社、2016年6月)
学校教育における政治教育のあり方と現状、
「政治的中立性」とは、主権者教育とは、
などなど、あれこれ整理できた。
根本は憲法と民主主義を染み込ませる実践。
「国民主権とは、国民が国家をつくり出すという
理念であり、社会的正義の発見、決定主体は、
人権主体としての個人の側にあるということを
意味する。国家と人権の関係におけるコペルニ
クス的転回の上に現代の人権体系があり、主権者
教育があり、政治学習がある」(22P)
「教育=学習一般において、知識を獲得し、討論
をし、自分の意見をつくり出す能動的な展開を
たどるためには、『表現』が不可欠である。表現
とは、自らの意見の形成の過程であり、他者との
応答責任を背負ったコミュニケーションの場に
参加して自分の考えを客観化し、発展させていく
重要な学習の段階である。生徒が自分の考えを創
り出すためには、価値の自由が保障されるととも
に、表現の自由が全面的に保障されなければなら
ない」(27P)
「真に主体的な判断力を獲得させる教育は、当然
にも、社会に対する主体的な意見表明の要求をも
高める。だからこそ、政治学習の展開は、『政治
活動』の自由を求める」(32P)
「『関心がない』『わからない』『投票しても、
どうせ社会は変わらない』・・・これら3つの否定の
『ない』が肯定に変わるような主権者教育が必要
である」(53P)
「民主主義的体験の欠如が『どうせ、変わらない』
という意識形成の原因になっていると考える」(58P)