長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

学習運動もスタイルの大幅な問い直しが必要だな

きのうは介護休みの1日。
朝からコマゴマと動く。

美食家の相方は、ALSとなっても
嚥下(えんげ。食べ物を噛んだり飲んだりする力)はまったく衰えず、
「あれが食べたい」「これを買ってきて」の
要求水準がまあ高いこと。
たとえ患者となっても、自分の尊厳の水準を下げないこと。
これ大事やな。

 

そして今日、
とある月刊誌の座談会
「コミュニティ・オーガナイジング(CO)で労働組合の再生へ」の
資料が送られてきた。さっそく読む。

COとは、社会運動の実践科学を体系的にまとめたもの。
「運動理論がなさすぎる」と思っていた問題意識と重なりあい、
非常に刺激的な座談会。

みずからの運動スタイルも大幅な問い直し必要。

運動技術のテキスト化は必須だと思います。

午後、とある団体専従のわかものと喫茶店で1時間ほど話。
最近の問題意識、活動上の悩みなど交流。

「組織の構成員1人ひとりがどうエンパワーメント
(力をつける)されるのか」についても。

カギは集まりの場の質であり、
会議や集会、学習会の持ち方と話。

こういう運動論のテキスト誰かつくってほしい。
まじで。

技術化(一般化)できれば、誰でも訓練方法がわかり、
習得の時間もぐっと短縮できます。


参考までにメモしときます。10年前に読んだ本より。

「技術は知識の形によって個人から個人へと伝えられる
もので、しかもその経験法則を一般化しつつしだいに
高められていくものである。模倣が原理の徒弟式訓練は
無意識的であるために長期間を要し、一方、科学的なう
らづけをもった理論による教育は、短時日ですぐれた効
果を発揮するのである。では、技能は技術よりも低い
レベルかというと、そういう関係ではない。技能は技術
化され、新しい技術には新しい技能が要求され、絶えず
これをくり返しながら技術は発達していくのである」
    (川島みどり『ともに考える看護論』1973年)


加えて、『人間として看護婦として』(及川和男・盛岡
看護学セミナー共著、あゆみ出版、1978年)からも。

「看護の技術化という命題は、これまでの経験やコツに
たよっていた看護を、そのなかから法則性をひきだすこ
とによって個人的技能から全体化し、集団としての看護
のレベルアップにつなげていけるもの」

「個々の具体的特殊的な看護実践の体験を普遍化し、導
きだした法則性をその後の実践に意識的に適用し、そう
することによって看護技術を伝えあい、全体的に水準を
向上させていくという方法意識

「看護の技術化ということは、セミナーの当初より中心
的に考えてきたことです。よい看護というものは、1人
や2人がすぐれた看護をしてもだめなんですね。チーム
全体がいかに高まるか、ということが重要なんです。で
すから、セミナーの事例検討会でも、たとえよい看護の
事例が報告されても、参加者の意見があまり出ない時は
ほんとうに成功したとは言えません。よく討論をし、み
んながしっかりとつかんで、それぞれの職場に持ちかえ
って実践し定着させていかなければだめなわけです。そ
のためには、きちんと技術化するという点が大事なんで
す」



労働組合の「運動・活動技術」なんかも、
テキスト化が必須だと思います。

会議の持ち方、方針のつくり方、団体交渉の仕方、
人と人をつなげる技術、人を動かすスピーチ方法、
学習会の持ち方・・・などなど。

誰も労働組合活動の訓練なんて、受けてませんから。
右も左もわからずに役員や専従になっている人が
どれだけいるでしょうか。

「みて覚えて」「経験していくなかで習得」する
ことも必要ですが、技術化されたテキストがあれば、
習得スピードも早くなり、
新しい技術化へのサイクルも生まれます。

今は、まったくこの運動技術の継承どころか、
技術の後退局面にあるような気がします。

男性問題、正社員消滅、心の鍛え方、わがままに

最近読み終えた本。
このペースだと、今年は去年の半分ぐらいしか
本読めないですね。


『男性問題から見る現代日本社会』
    (池谷寿夫/市川季夫/加野泉 編、はるか書房、2016年)

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男性のジェンダー問題を扱った本はまだ少ないけど
本書はかなり全般的で良い。
育児のマネジメントをするか「手伝い」範囲か、
がんばりを継続するうえので「手抜き」の大事さなど、
ふむふむ。


『正社員消滅』(竹信三恵子、朝日新書、2017年3月)

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正社員・非正規雇用の区別と内容の
激変状況がわかりやすく学べる。

「私たちはいま、二つの『正社員消滅』に直面して
いるといえるのではないだろうか。ひとつは、非正
社員の増加による労働現場からの文字通りの『正社
員消滅』。そしてもうひとつは、『名ばかり正社員』
に象徴されるように、もはや正社員であることが
『安定と安心の生活』を全く担保しなくなったとい
う意味での『正社員消滅』だ」(はじめに)


『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』
         (荒木香織、講談社+α新書、2016年)

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前ラグビー日本代表メンタルコーチが著者。
1973年生まれの同世代の活躍はうれしい。

そして、内容も。
これ、スポーツじゃない「運動」方面にも応用できる。
経験や感覚にたよりすぎない、
科学や理論にもとづいた判断やアドバイスの大事さ。
メンタルスキルは訓練。
表紙の五郎丸のキック前動作は3年かけて訓練したとか。

目標の立て方、不安やストレスへの対応なども、説得力高い。
めちゃおすすめです。

以下、自分用のメモです。

「自分でコントロールできることが多いほどモチ
ベーションは高まる―研究でそういうことがわか
っています。つまり、誰かに言われてやるのでは
なく、主体性をもって取り組むことで、モチベー
ションは高まり、維持できるのです」(70P)

「エディさんは、言われたことだけを従順にこな
すという態度をもっとも嫌っていました。『がん
ばります』と言うだけの選手のコメントは大嫌い
でした。自分で具体的な課題をみつけ、考え、向
上しようとする姿勢をつねに忘れない。選手には
そうあってほしいと考えていたのです」(72P)

「ほめることが大切だというのは、『ほめられれ
ばうれしいから、やる気が出る』ということもも
ちろんあるのですが、いちばんの理由は、言葉で
『よかったよ』と言われることで、『ほめられた
ときのことを記憶する』ということです。記憶す
ることで、自分のいいところを確認できる。そう
やってうまくいったときの感覚、身体の感覚や心
の感覚を覚えておくと、次も連続して成功させる
自信につながるということが、研究で明らかにな
っているのです」(95P)

「スポーツ心理学では目標設定について40年以
上研究がされていますが、この『がんばりマス』
目標が『いちばんいけない』とされています」(104P)

「『結果に関する目標』をひとつ立てたなら、
『パフォーマンスに関する目標』と『過程に関す
る目標』がそれぞれいくつかないといけません。
そうしないと、必ず結果を出せる行動につながら
ないからです」(108P)

「『少しがんばれば達成できる』 スポーツ心理学
では、そういう目標を設定するのが、いちばん適
切だとされています」(108P)

「大事なのは、何をすればリラックスできるか、
自分で理解しておくこと。なんとなくそれをする
のではなく、意識的にリラックスするためにする
ことが重要です」(145P)

「ストレスとは、簡単に言えば『自分ができると
思っていること』と『やらなければいけないこと』
の差によって生じます』(149P)

「人は、環境や情報(ストレッサー)に対して自
分自身がどのように反応するかにより、それがス
トレスであるかストレスでないかを決定します」(150P)

「『失敗』と考えれば、後悔するか、そのままス
ルーしてしまうけど、『経験』ととらえれば、う
まくいかなかった原因を探り、対策を考えるはず
です」(163P)

「コーチは指導法について学ぶように心がけるべ
きですし、そのような機会を与えてもらうべきで
す」(180P)


『わがままに生きる哲学ーソクラテスたちの人生相談』
        (多世代文化工房著、はるか書房、2016年)

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思っていた内容とちがったなあ。
人間関係や仕事、人生について具体的な悩みをもつ
相談者からの問いに、世代の異なる回答者たちが答える内容。
答えのバリエーションが豊かなのが良い。

春がやってきましたね

きのうは相方と満開の桜を
ながめるドライブに。旭川や玉島など。

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曇りがちの天気ではありましたが、
充分に満喫できました(車からですけど)。

相方も沖縄以来の外出で満足したようです。
春ですね。


わが家のにゃんずも相変わらずです。

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明日は、花見できるか?

今日(8日)は午後から事務所へ。

パチポチパチポチ、学習会レジュメ3つを完成させる。
これで来週は勤通大入門コースの書き物仕事に注力できそう。
労働学校などの組織活動もがんばらねば。

18日からソワニエ看護専門学校での
12年目の「ものの見方」授業も始まり、
1回目の内容そろそろ考えないとー!

ということで、時間。
相方から指示を受けた中華弁当買って帰ります。

明日は、花見できるかな。晴れてね。

いきいき労働組合活動をテーマに

きょうのお昼は、
倉敷医療生協労組の玉島協同病院支部にてお昼休み学習会。
「いきいき労働組合」がテーマで16人の参加。

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労働組合のそもそもから、
活動の難しさはどこからくるのか、
おかしいと思える気づきと言葉を発する力は
たまたまをたくさん準備する、など。

その後感想交流をひと言ずつ。

参加されていた、
ソワニエの卒業生の看護師さんが終了後、
「先生またソワニエ行かれるんですか?」と。
「再来週からまた行くよ」と。

こういうめぐり合わせも嬉しいですね。

問われているのはこちら

きのう(6日)の午後は、
香川民医連の新入職員研修会にて講師仕事でした。

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この研修会には4年連続でこさせてもらっていますが、
いつも感じるのは「問われているのはこちら」ということ。

新しい環境、新しい人間関係。
医療人・社会人としてのスタートをふみしめた彼ら。
胸に秘めていることもそれぞれでしょう。
その彼らに、ぼくは何を語り、考えてもらいたいのか。
ありきたりでなく、彼らに届く言葉や振るまいとは…。

これはぼく自身への問い直しの機会にもなっていると思います。
フレッシュな新人さんと時間を共有できるって、ほんとありがたいです。...

講義の内容は、
絵本『わたし』を使って考える人間観。
権とは何か?
ものの見方の大事な姿勢とメンテナンスの大切さ…、
という流れ。

間にグループワークを3回入れて、
「意見を出しあう、議論することによって
認識を豊かにしていく」ことを味わってもらう訓練も。

持ち時間の3時間があっという間。楽しかったです。

 

学習運動・中国ブロック研修会2017

上記の研修会を6月に開催します。

テーマは 「学ぶ楽しさを職場で広げる」です。
中国5県の学習運動組織の共同の取り組みとなります。

とき : 6月3日(土)14:00~6月4日(日)12:30
会場 : 倉敷物語館(岡山県倉敷市阿知2丁目23−18)

◆岡山以外の参加者で全日程参加の方は各自で
 倉敷駅周辺などのホテルの予約をお願いします。
◆定員:40名
◆参加費:1000円(1日のみの場合は500円) 
◆主催:中国5県学習運動組織 後援:全労連中国ブロック協議会
□連絡先:岡山県労働者学習協会 TEL&FAX 086-232-3738

【タイムスケジュール】
<6月3日> 13:30~ 受付開始
       14:00~ 開会、自己紹介
       14:30~ 問題提起①
        「学ぶ楽しさを職場で広げる~岡山での経験をふまえ」
         講師/長久啓太岡山県学習協事務局長 70分予定
        休憩はさみ、その後グループ討論60分、終了17:30
18:00~懇親会を予定(実費負担)。

<6月4日>  9:00~ 受付開始
        9:30~ 問題提起②
        「オルガナイザー(組織者)とはなにか、どう育ちあうか」
        講師/吉儀和平島根県学習協副会長 60分予定
        休憩はさみ、その後グループ討論50分、参加者発表など
        終了12:30

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「経済」5月号の『資本論』第1巻大特集!!

雑誌『経済』の5月号、現ブツきたー!
ということで昨夜、ちょっとだけパラパラめくる。

大特集『資本論』第1巻150年…!
5月号ぜーんぶ資本論。資本論だらけです。

ひとつひとつの論文やエッセイ含め、
ゆっくり味わって読みたいなり。

これは買いですよ。

じつはワタクシも第3篇「絶対的剰余価値の生産」の
解説を書いてます。
ほかの主要な論文の執筆者は、
みな大学の先生(だった方もふくめ)。
ぼくだけなんか浮いてる(←高卒)ような気もしますが、
まあ、とりあえずご笑覧ください。

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飼猫のりんもニャント!な様子。

憲法の心に耳をすます~連載8回目

毎月、山口県の医療生協健文会の機関紙
「健康のひろば」に連載している憲法の話、8回目です。

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 憲法は、私たちの人権を保障するものです。人権が
保障されるとは、「私が私でいられること」です。と
ころで、国家権力と国民との関係以外でも、「私の人
権」が侵害されやすい領域があります。それが会社と
労働者の労使関係です。

労使関係に介入するワケ
 
雇う人(使用者)と雇われる人(労働者)の関係は
法的には対等ですが、実質は雇う側のほうが圧倒的に
立場が強いです。労働者はひとりで会社と労働条件の
交渉ができません。「いやならやめてもらっていいで
す」「別の人を雇います」と言われてしまいます。労
働条件は生活の質と直結しているにも関わらず、労働
者はひとりでは交渉できないのです。
 この労使関係を自由契約にまかせておくと、労働条
件は悪くなり、極端な低賃金や長時間労働がはびこり
ます。電通という会社に殺された24歳の高橋まつり
さんのように、過労死も起きてしまいます。そこで憲
法は、労使関係に介入します。
 介入その1。労働条件の基準を法律で定め「使用者
に守らせなさい」と国家に命令します。27条2項で
す(「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関す
る基準は、法律でこれを定める」)。これを根拠に一
連の労働法がつくられています。その中心は労働基準
法です。

憲法は労働組合の活動を応援
 
介入その2。労働者が労働組合をつくり団体交渉し
て労働条件を労働基準法以上のものに改善・向上する
ことを全面的にバックアップします。憲法は、労使関
係のうち労働者のほうに一方的に肩入れしています。
それが28条の労働基本権です。団結権・団体交渉権・
団体行動権の3つを法的に保護し、労働者のたたかい
を応援します。
 労働者が団結し労働条件を交渉する。ときにはスト
ライキも構えてたたかう。このことなしに、労働者の
人権は守れません。使用者と対等になれないからです。
労働条件にこだわりましょう。労働者が声をあげるこ
とは、「私が私でいられる」ことを保障するものです。
憲法は、やっぱりみなさんの味方なのです。

哲学・経済を楽しく学ぶ

土曜日(1日)は、
徳島自治労連の「徳島自治体一般労組」を中心にした
哲学と経済学の学習会で講師。日帰りで徳島に。

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参加は十数名で、4時間みっちりの特別講座。
哲学を1時間20分→感想交流。
経済学を1時間20日→感想交流。
という流れ。

写真のように「楽しく学ぶ」ことができたどうかは
わかりませんが、みなさん熱心に聴いていただき、
感想交流もたっぷりできたと思います。

徳島自治労連は数年前まで200人足らずの組合員数が、
現在は600名を超えさらに拡大中だとか。すごいですね。
学びを力にしようということも、
その原動力になっているのだと思います。

3日間、充実してました。

「行けるときに行っとこうツアー2017第2弾in沖縄本島」
の3日間、充実でした。昨夜、無事に岡山に帰ってきました。

相方は岡山にいるときより調子も良く、
暖かい気候ときれいな景色、美味しい食事で、
これ以上ないリフレッシュになったと思います。

次の第3弾旅に向けて自信もつきました。
一緒に旅してくれた友人にも感謝です。

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