長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

「文鳥カフェ」っていうのが面白かったけど

『まんがでわかる ピケティの「21世紀の資本」』
(〔まんが〕小山鹿梨子・〔監修〕山形浩生、宝島社、2015年6月)
を読み終える。

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■実際に『21世紀の資本』の訳者による監修だけに、
エッセンス本だけど理論内容には忠実。
格差社会なんだ、ということも、よくわかる。
しかし、なんでも漫画にしちゃう日本って、すごいな。

■平凡な事務労働者である主人公が、
ピケティいうところの「資本」をうまく活かして
所得を得ている人たちと「文鳥つながり」で出会い、
悩みながらも啓発され、
最終的に「文鳥カフェ」を開業するというお話…(苦笑)。

■結局「雇われてまじめに働くより開業だ」みたいなオチだけど、
そんなに上手くはいかないよ、的な人物もちゃんと登場してて。
監修の山形さんは「あとがき」で
「ピケティが売れてあちこちの雑誌記事や解説書で、r〉gなんだ
から真面目に働くなんてバカらしい、みんなも資本を持とう、
投資をしよう、株やFXや不動産がお勧め~、といった話が乱舞して、
訳者としては倒れそうになることしきり」と釘をさしています。
ピケティのメッセージはそこではないのだ、と。

■しかしいずれにせよ、この本を読んでも、やはりすっきりしない。
それは資本主義のそもそもに対する解明ではなく、事実と現実に
どう対応するか、ということだから(だからこそ有益な側面もあるわけだが)。
そして、労働者の団結なんて発想はこの漫画からは1ミリも出てこない。

■というわけで、私たちの生きている資本主義社会のそもそも、
根源を知りたい、学びたい、となれば、やはりマルクスなわけで。
10月15日(木)から、
89期岡山労働学校「経済学教室~ピケティからマルクスへ」はじまるよー!!

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