長久啓太の「勉客商売」

岡山県労働者学習協会の活動と長久の私的記録。 (twitterとfacebookもやってます)

ナチス、幻夏、夜明け、暇と退屈、社会地図、台湾

最近読み終えた本。

■『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』
(小野寺拓也・田野大輔、岩波ブックレット、2023年7月)
評判どおりの良書。研究蓄積の上にたった論証で、
わかりやすくも書かれている。ありがたい。事実から解釈、そして意見へ。
ナチス支配や政策の入門書としても素晴らしい。

■『幻夏』(太田愛、角川文庫、2017年)
冤罪って、ほんとうに辛すぎる。日本の警察や司法の
構造的問題に切り込みつつ、ミステリとしても十分読み応えあり。
『犯罪者』『天上の葦』も読まなきゃな~。

■『夜明けのはざま』(町田そのこ、ポプラ社、2023年11月)
『52ヘルツ』の町田さん新刊舞台が家族葬専門の葬儀社!
…ということを新聞の書評で知り、即買い即読み(葬儀もの大好き…)。
人の死に関わる各々の立ち位置、背景、葛藤と決断。
登場人物みなの人生を応援したい気持ちになった。

■『暇と退屈の倫理学』(國分功一朗、新潮文庫、2022年)
ヒマとタイクツについて、こんなに大真面目に思考していた
哲学者(ハイデッガーとか)がいるんだな〜と。
まあしかし、ヒマに飢えている労働者からしたら
呑気な議論だとも感じてしまう。面白い視点もあったけど。

■『格差と分断の社会地図』(石井光太、日本実業出版社、2021年)
雑な主張もあるし、最後の若い人へのメッセージもイマイチ。
だけど、格差と貧困、「あたりまえ」の環境がない中で
生きる人たちの声やストーリーがたくさん読めるのは良し。
自分の生きている世界は狭いという自覚は大事。

■『台湾のアイデンティティ 「中国」との相克の戦後史』
(家永真幸、文春新書、2023年11月)
3月に台湾旅行を予定していて、その予習。
複雑で単純化できない台湾の戦後史が、中国や日本との
関わりのなかでコンパクトに学べる。
もう少し経済的な視点からの分析がほしかったような。